昨日久々にWindows、SharpCapを使ってPlateSolvingの結果が芳しくなかったので、ちょっと考察してみることにしました。
普段はラズパイ4でEkosを使用していますが、こちらに関してはラズパイ3で環境を作った頃から安定していたので、昨日使用したWindows環境との相違点を洗い出します。(カメラ、レンズ、マウンドは同じです)
●Windows、SharpCapでのPlateSolving環境使用したSolver・AllSkyPlateSolver(Astrometry.netラッパー、32ビット(シングルスレッド)、
インデックスファイルは画角計算で算出されたもの(4207~4212))
・ASTAP(オリジナル解析、インデックスファイルはG18(長焦点対応インデックス)、64ビット)
解析に使用した画像・SharpCapのカラー画像(RGB24ビットモード、カラー、BIN2)、おそらくFITインデックスなし、2秒露出
マウントの位置情報はASCOMデバイスHubにてSharpCap、CielSkaycharts、AllSkyPlateSolver連携済み
●ラズパイ4、KStar、EkosでのPlateSolving環境使用したSolver・Ekos内蔵Solver(Stella Solver(Sextractorでの明度解析→Astrometry.netでの位置解析(
マルチスレッド))、インデックスファイルは
4219~4202、オプションのTycho2(4119~4107)も全てインストール
※上記の他、Astrometry.netローカルサーバ(インデックスファイルは上記同様)、ASTAPを使用可能(G17をインストール)
解析に使用した画像・Ekosのアライメントウインドウで設定した画像(モノクロ、BIN2、ダウンサンプル2)、FITインデックスあり、2秒露出
※INDIのCCDドライバは撮像画像を自動でマウント位置情報を付加したFITSファイルに変換している
解析範囲はどちらも直径30度にしてあります。
今までに色々使ってきましたので、大分解析グセがつきました。(苦笑)
実は
Astrometry.netのローカルサーバはシングルスレッドでしか解析してくれません。Ekosに関しては最近独自に
星を検出するためにSextractorを使用し、Astrometry.netサーバを
マルチスレッドで計算できるStellaSolverが組み込まれました。
これが功を奏して解析速度が半分くらいに速くなりました。
しかし、このシステムが無く、ローカルAstrometry.netサーバを使用して非力なラズパイ3を使っていたときでもほとんど失敗なしで8秒位で解析してくれていました。
Linux環境に乗り換えて疑問に感じたのはEkosとCCDCielを併用して使用したとき、
明らかにEkosの方が解析の失敗が少ないということです。
CCDCielはStellaSolverが出来る前のEkosの環境(ローカルAstrometry.netとASTAP)と同じですが、
CCDCielを使用してPlateSolvingすると解析が失敗することが非常に増えます。使っているドライバや解析設定は同じなので、CCDCielとEkosの違いは
解析する画像の処理にあるのではないかと感じています。実際EkosでEAAを行っている記事を再確認すると、アライメントWindowに表示される画像は
非常にノイジーですが、コントラストが高く、かなり星が多く写っています。このことから、EkosのアライメントWindowで解析用に撮影される画像は
ドライバ設定を自動的に変更してかなりゲインアップしているのではないかと考えられます。Astrometry.net(StellaSolverも同様)は多少ノイジーであっても、
画像が軽く星が多く検出出来る画像の方が解析の成功率が高くなるのではないかと推測します。更に使っているうちに気づいたのは、
オプションのTycho2インデックスを追加したほうが解析の成功率が高くなったということです。あくまでも推測ですが、Astrometry.netのインデックスファイルは領域によって精度にばらつきがあるのかもしれません。
オプションのTycho2インデックスを追加することで、時間はかかっても精度不足を補えるのではないかと考察できます。
Ekosでもこの設定でASTAPを使用すると成功率が低くなります。
ASTAPの成功率が上がるのは
ある程度の画素数、露出時間をかけた品質の良い画像になります。
品質の良い画像を用意すると大分成功率が高くなりますが、それでもAstrometry.netよりは成功率は劣ります。
ここまで検証したところでWindowsのシステムと照らし合わせてみましょう。
Windowsは残念ながら
ネイティブのAstrometry.netサーバがありません。Astrometry.netでの解析はエミュレーションで行っています。(AllSkyPlateSolverもAstrometry.netラッパーの一つです。)
しかし、
Windowsが動作するマシンの方が圧倒的に処理速度が速いのでエミュレーションでの動作の遅さは相殺できると考えます。ASTAPに関してはネイティブに対応しているのでLinux環境と同じです。(処理速度が速いためラズパイより圧倒的に速くなるはず)
ではなぜ昨日SharpCapからの解析が失敗ばかりだったのでしょうか。
上記から考察するに
一番大きな原因は処理をするための画像にあると考えられます。
Linuxでの検証を基にすればPlateSolvingで解析するときはSharpCapの画像を以下のように変更すると成功率が高くなる可能性が高くなります。
●AllSkyPlateSolverで解析する場合・カラー→モノクロに変更
・Bin2
・FX項目のブーストをオン
・有料版を使用している場合は稲妻マークをオン
・ゲインは高め
・ラズパイ同様4219~4213のインデックスも追加、Type2も含めインデックスファイルを手動で入れる(ラズパイからコピー)
SharpCapにはダウンサンプルは無かったと思いますので画像を縮小することはできませんが、ノイジーでもとにかくモニターで多数の星が見える状態に調整したほうが解析の成功率が高まる可能性が高くなると思います。
AllSkyPlateSolverは焦点距離や撮像素子のピクセル数から自動的にインストールするインデックスを計算してくれますが、
実はこれが解析を失敗させる原因の一つになっているのではないかと推測できます。インデックスファイル自体はWindowsもLinuxも同じなので、ラズパイ同様かなり画角の広いインデックスファイルからオプションのTycho2インデックスまでぶち込んでおいたほうが解析の成功率が高くなる可能性があります。
ここで、問題になるのが
AllSkyPlateSolverがオプションのTycho2インデックスを読み込んで解析に使用してくれるのか、ということです。使用してくれれば確実に成功率が高くなると思いますが、読み込まない場合はそれなりでしょう。。。●ASTAPで解析する場合・カラー→モノクロに変更
・Binは使用しない(画素数の多いカメラの場合は2)
・FX項目のブーストをオン
・有料版を使用している場合は稲妻マークをオン
・ゲインは若干高め
・露出を長めに(4~8秒)
ASTAPの場合短編が1000ピクセル以下になると解析の成功率が下がってしまうようです。
Astrometry.netと比較してかなり画像の質を上げないと成功しづらくなります。
ゲインはノイジーにならない程度に留め、その代わり露出を長くして認識される星の数を増やします。
Linuxでの経験則ではAstrometry.netよりは若干解析速度は速いですが、解析の成功率は低めです。
Windowsを使用していて気になったのはAllSkyPlateSolverの処理の遅さと解析成功率の低さです。
ラッパーなのでネイティブのサーバよりは処理速度が落ちるとしても明らかに速度が遅すぎます。。(Astrometry.netは設定が決まれば結構高速です。)
ネイティブのAstrometry.netサーバ同様オプション設定などをテキスト記述出来る場所(Configファイル)が見つかればコピペで変更できるかもしれませんが、独自仕様の場合はお手上げです。(ダウンサンプルとか。。この辺ご存知の方いらっしゃいますか?)
もし、設定などが固定されてしまって変更できない場合はWindowsの場合はASTAP使用したほうが良いかもしれません。
(アストロアーツのステラショットとか処理速度や成功率どうなんでしょうね?)
追伸
ラズパイからインデックスファイルをコピーしたところ無事Tycho2ファイルも含め認識されました。
しかしダウンサンプルほか様々なオブション項目を記述する設定ファイルが見つかりません。
Linuxで使用していたときにもオプションの記述により成功率が変化しましたのでこの部分が調整できるといいのですが。。