Ekosスケジューラーを使用する場合の共通の留意事項・各ドライバの設定、Ekosの各モジュールの設定が既に出来ていて問題なく動作する状況になっていること
・パーク機能を使う場合はドライバにパーク設定が保存され、問題なく動作する状況になっていること
・万が一に備え、機器を停止、監視できる環境が整っていること
・自身で問題を解決出来るスキルを身に着けていること、取り組みが自己責任である自覚を持つこと
以上留意事項です。Ekosスケジューラー機能を使用する上でどれも重要な要素ですので不足ない状態で取り組んでください。
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ではいよいよ運用編に入ります。
私自身もスケジューラは3年ほど使用しておりませんので思い出しながらの記載です。
運用方法などは、機材によっても異なってくるかと思いますので、一例としてご確認ください。
スケジューラを使用する場合は事前準備が必要になります。
Ekosスケジューラ機能使用前の準備事項1.撮影対象の選定スケジューラの検索機能、座標の直接入力、Fitsファイルの登録、KStarsの”ObservationPlanner”と4つの登録方法がありますが、
”ObservationPlanner”を使用して南中時刻を確認しながら対象を選定していくのが楽です。
(OvservationPlannerの使い方は
こちらに記載してあります。)
ドイツ式赤道儀の場合には
南中前のグループと、
南中後のグループを別けて登録しておくと架台に無駄な動きがなくなりますのでトラブルが起きづらくなります。
その場合は
南中前グループは南中に近いものを最初に、離れるほど後に撮影するようにスケジューラに登録します。(南中後のグループは逆に離れているものを最初に、近いものを後にします。)
フォーク式の赤道儀は子午線問題がありませんので、ある程度自由にスケジュールしても構いませんが、対象移動の距離が短い流れにしておいた方がスムースにスケジュールが進行します。
2.各モジュールの事前選定Ekosの各モジュールは
事前に動作確認等を行って、問題なく動く確認をしておく必要があります。その中でも事前に作業を行っておかなければスケジューラーに設定できない項目がいくつかありますので記載します。
・キャプチャモジュールのシーケンス保存キャプチャモジュールで事前に対象に合わせた撮影シーケンスファイルを作成しておかないとスケジューラーに登録出来ません。下図
赤枠部分を設定して撮影スケジュール、冷却CCDの場合は冷却状態の設定、フィルターローテーターを使用する場合はフィルター種類などを設定して撮影シーケンスとして保存してください。(緑枠部分)
・アライメントモジュールで対象が真ん中に来る設定にアライメントモジュールで対象を真ん中に移動させますので事前に設定しておきます。
架台によって挙動が変わります。
トラッキング状態+Syncボタンで真ん中に来るものは、ラジオボタンを
”Sync”に、その状態では真ん中に移動してくれない架台の場合にはラジオボタンを
”Slew to Target”にします。
3.使用するオートガイドの選定と各種設定プロファイルエディタで使用するオートガイドを選定しておきます。(
下図赤枠部分)
あとは設定したオートガイダーで適切に動作するように事前に設定をしておきます。
Ekosスケジューラでディザリングなどを行いたい場合はオートガイダーで設定しておく必要があります。(インターナルガイダーを使用する場合はディザリング設定はオプションボタンで行うことが出来ます。)
4.Park機能の確認(使用する場合は)Park機能を使用する場合は事前に確認・ドライバへのパークポジションの登録が必要になります。
ここで注意してほしいのは、
ドライバにパーク項目があっても正常に機能していない場合があるということです。(このあたりの詳細は
こちらの記事に記載してあります。)
Park機能が使えるかを簡単に調べる方法がありますので、以下に記載します。
1.ドライバのパークポジションなどは設定して保存しておく
2.パークポジションに移動する
3.マウントの電源を切り、KStarsやEkosなども終了する。
4.マウントの電源をオンにする。
5.KStarsやEkosを起動し、ドライバを接続しPark解除ボタンを押す(マウントモジュールのマウントコントローラーにあります。)
上記で架台に緯度経度日時が送信されており、アライメント終了状態になり、GOTOなどが使えるようであればParkに対応していることになります。場合によっては上記パーク解除後とんでもない方向に鏡筒が移動する場合もあります。上記チェックは架台をすぐに停止出来る監視状態で行ってください。その後は、
前回概要編でご説明した項目に登録して下図のスタートボタン(緑枠部分)を押せばスケジュールした時刻、進行で撮影が始まります。
前回ご紹介した
赤枠A~Fはそのまま
おすすめの設定順にもなります。
その順番で設定していけば登録が円滑に進みます。(AとFに関してはチェックボックスのチェックを入れるかを慎重に考慮してください。)

Ekosスケジューラーはリストの上から順番に撮影されていきます。時刻設定して登録すれば、
時刻順に対象が上から順に並び変わります。時刻設定ぜずに(ASAPなどで)登録したい場合は最後に撮影するものを一番最初に、以降逆順に登録していきます。
最後にスケジューラは使いこなせば非常に便利なツールです。
しかし、全てを自動化するということはそれなりに
リスクも伴うことになりますので、動作確認などをきちんと行った上で取り組んでください。
うまく運用するコツは、
可能な限りシンプルなスケジュール作成を心がけることになるかと思います。事前に対象の順番(架台の移動が少なくなるような)を決めたり、天体ドームで固定観測をするのでなければ使用しない項目(ドームパーク、パーク)などを外すなどして、極力シンプルなスケジュールになるように設定することをおすすめします。
(私は上図のAとFの部分は全て外して運用していました。)
設定などが心配な方は事前にシミュレーションドライバで動作確認してからご使用の機器の設定を行うことをおすすめします。
以上でEkosスケジューラーのご説明は終了になります。
これでINDI関連に関してはだいたい記事に掲載できたと思いますので、INDI関連のまとまった記事は一区切りになるかとおもいます。
今後も天体観望や撮影で面白そうなことをご紹介していこうと思いますのでよろしくおねがいします。
追伸
私が3年前スケジューラーで運用していた頃、所有する赤道儀AdvanceVXはドライバ、マウント共にパーク設定がありましたが、ドライバ側の解釈違いでパーク機能を使うことが出来ませんでした。(現在は赤道儀を運用できていませんので不明です。)
フォーラムでやり取りした所、原因は
Parkに対する開発者の認識違いにありました。
(これらのことは
この記事にまとめてあります。)
自動化をするということは、これらの機能が自動的に進行してしまうことになります。
ASCOMやINDIなどのオープンソースを使用するということは自ずとそれらのリスク管理も自身で取り組む必要があるということになることを念頭においてください。(自動化の場合は特に注意が必要です。)動作チェックを慎重に行い、不明点などは機器のメーカーやドライバの開発者に確認を取って万全の体制で運用してください。