エンドユーザーにとっては3者ともオープンソースで多数の機器に対応してくれるありがたい存在です。
ブログタイトルがMacで天体と銘打っていますが、天体機器の制御に関してはWindows+ASCOMが実は一番長かった(過去形)りします。(ASCOMはかなり情報がクローズドなのであまり知識はありませんが。。)
私自身は現在天体機器の制御はシングルボードコンピュータのみで行ってしまっています。
速度的にも不満がありませんし、消費電力が少ないので重いディープサイクルバッテリーの呪縛から離れられるのが一番の要因です。
(Macで消費電力の少ないMINIPCが登場してくれたらおそらく乗り換えます。)
上記3者を使い比べてみて、私が感じたそれぞれの特徴を記載します。
これから始める方の参考になれば幸いです。
●ASCOM
.Net FrameWorkを利用する天体機器通信制御のサーバ・ドライバによるミドルウェアになります。
通信といってもTCP/IPではなく、シリアル通信をメインにして(USBもシリアル通信です。)動作しています。
.Net FrameWorkを使用しているためWindows専用になります。
大きな特徴としてはWindows環境でネイティブに動く唯一のミドルウェアなので、海外のメーカーなどはASCOM準拠のドライバを開発していることです。
●長所
・ドライバ開発にメーカーが参与している。
・使用者が多いのでネットに情報が多い。
・多数の機器のドライバがある。
●短所
・プラネタリウムアプリやCCDアプリが独自に組み込んでいるドライバよりかなり低速(特にCCDドライバ)
・不安定、ネットワークサーバ・ドライバなのに、INDIやIndigoのようにネットワークドライバとして使用できない。(ローカル接続のみ)
・技術情報がほとんど配布先に無い(PCがどのような処理をしているのかがいまいち不明)
●INDI
ネットワーク通信(こちらはIP通信)を利用した天体機器通信制御サーバ・ドライバセット、クライアントに対してはASCOM同様ミドルウェアのような存在で接続されます。
しかし、実質専用となるKStars・Ekosでほとんどの天体機器通信制御が出来てしまうため、この環境で使用される情報が多く、実質KStars・Ekosとのセット扱いになっています。
対応したクライアントもASCOMほどではないが多数あります。
●長所
・軽量、IP通信を利用しているためローカルのみならずリモート通信制御も可能。
・ネット上に開発情報が多数。
・多数の機器のドライバがある。
●短所
・メーカー関与がほぼ無い
・そのためかドライバの管理項目にばらつきがあり、不明要素が多数ある。
・ドライバにより初期状態の安定性のばらつきが多い(そもそも動作させるための初期設定がされていないドライバが多数。)
●INDIGO
INDI環境のMac用のサーバ・ドライバ、アプリなどを開発していた担当者が、INDIのプロトコルを基に独自に新規設計した制御環境。自社サイトにINDIに対しての優位性などが記載されていますが、技術情報が明確に示されていないため詳細は不明です。(実際に使用してみるとINDI環境との差異は操作系以外は不明です。大した違いはないような。。設定などはしやすいです。)
●長所
・軽量、IP通信を利用しているためローカルのみならずリモート通信制御も可能。
・サーバ・ドライバ以外にも自社が開発した天体機器制御アプリがあるため、それらを利用すれば一通りの環境が揃う
(天体機器制御アプリはMacのみ)
・多数の機器のドライバがある。
●短所
・メーカー関与がほぼ無い
・情報がかなり少ない(INDI以上に人柱必須)
・自社が開発したアプリ以外でサーバ・ドライバをフルに利用出来るクライアントが無い。
(INDIドライバ互換モードも使用できますが、その場合はINDIバージョン1.7に低下(現在は1.85))
どれも一長一短です。
ポイントとなるのは最も高速に利用できるローカル環境(ASCOMはローカルのみ)でのクライアント対応状況ですが、INDI、Indigo共Windowsではローカル環境でサーバ・ドライバを利用できません。(リモートドライバでしか使用できません。)
INDIの場合はローカル環境でサーバ・ドライバを使用できるのはLINUX、MACの2択。
Indigoの場合もローカル環境でサーバ・ドライバを使用できるのはLINUX、MACですが、クライアントがMacの自社アプリ以外ありませんのでMac一択になります。
このように現状ではどこかピースが欠けた状態です。
・Windows+ASCOMは低速、不安定、しかしメーカー開発のドライバ有り。
・MacはINDI、Indigoどちらもローカル環境でサーバ・ドライバを使用可能、しかしどちらもメーカー開発のドライバ無し、Mac自体がWindowsのMINIPCに位置づけられる省電力のPCが無い。環境構築は最も楽(群を抜いて楽です。)
・LINUXはINDIでローカル環境でサーバ・ドライバを使用可能、しかしどちらもメーカー開発のドライバ無し、システムも軽量なのでシングルボードコンピュータでも利用可。但し、環境構築が面倒。
一番の解決策はWindowsでもINDIやIndogoサーバ・ドライバが動作してくれるか、Macが省電力のMINIPCを作ってくれるかのいずれかですが、現状どちらもありません。
私は現状ではシングルボードコンピュータ+INDIを選択しています。(消去法的な選択です。MINIPCくらいの処理能力ではASCOMは低速で不安定すぎました。処理能力の高いPCは電力消費量が。。それならMacMINIにINDIかIndigoでも良くなりますが(環境構築楽ですし)、メーカー開発のドライバが無いので、動作確認など自己責任になります。(電力消費量も。。))
うーん。。天体機器制御などはニッチな領域になるので劇的な変化が見込めそうにありません。
当分この状態が続きそうです。
皆さんならどの環境を選びますか?(っていうまでもなくWindowsですかね)
追記
現在2021.5
indigoはWindows環境でAPTとステラショットが対応しています。
Linuxでindigoネイティブのクライアントはありません。
ブログタイトルがMacで天体と銘打っていますが、天体機器の制御に関してはWindows+ASCOMが実は一番長かった(過去形)りします。(ASCOMはかなり情報がクローズドなのであまり知識はありませんが。。)
私自身は現在天体機器の制御はシングルボードコンピュータのみで行ってしまっています。
速度的にも不満がありませんし、消費電力が少ないので重いディープサイクルバッテリーの呪縛から離れられるのが一番の要因です。
(Macで消費電力の少ないMINIPCが登場してくれたらおそらく乗り換えます。)
上記3者を使い比べてみて、私が感じたそれぞれの特徴を記載します。
これから始める方の参考になれば幸いです。
●ASCOM
.Net FrameWorkを利用する天体機器通信制御のサーバ・ドライバによるミドルウェアになります。
通信といってもTCP/IPではなく、シリアル通信をメインにして(USBもシリアル通信です。)動作しています。
.Net FrameWorkを使用しているためWindows専用になります。
大きな特徴としてはWindows環境でネイティブに動く唯一のミドルウェアなので、海外のメーカーなどはASCOM準拠のドライバを開発していることです。
●長所
・ドライバ開発にメーカーが参与している。
・使用者が多いのでネットに情報が多い。
・多数の機器のドライバがある。
●短所
・プラネタリウムアプリやCCDアプリが独自に組み込んでいるドライバよりかなり低速(特にCCDドライバ)
・不安定、ネットワークサーバ・ドライバなのに、INDIやIndigoのようにネットワークドライバとして使用できない。(ローカル接続のみ)
・技術情報がほとんど配布先に無い(PCがどのような処理をしているのかがいまいち不明)
●INDI
ネットワーク通信(こちらはIP通信)を利用した天体機器通信制御サーバ・ドライバセット、クライアントに対してはASCOM同様ミドルウェアのような存在で接続されます。
しかし、実質専用となるKStars・Ekosでほとんどの天体機器通信制御が出来てしまうため、この環境で使用される情報が多く、実質KStars・Ekosとのセット扱いになっています。
対応したクライアントもASCOMほどではないが多数あります。
●長所
・軽量、IP通信を利用しているためローカルのみならずリモート通信制御も可能。
・ネット上に開発情報が多数。
・多数の機器のドライバがある。
●短所
・メーカー関与がほぼ無い
・そのためかドライバの管理項目にばらつきがあり、不明要素が多数ある。
・ドライバにより初期状態の安定性のばらつきが多い(そもそも動作させるための初期設定がされていないドライバが多数。)
●INDIGO
INDI環境のMac用のサーバ・ドライバ、アプリなどを開発していた担当者が、INDIのプロトコルを基に独自に新規設計した制御環境。自社サイトにINDIに対しての優位性などが記載されていますが、技術情報が明確に示されていないため詳細は不明です。(実際に使用してみるとINDI環境との差異は操作系以外は不明です。大した違いはないような。。設定などはしやすいです。)
●長所
・軽量、IP通信を利用しているためローカルのみならずリモート通信制御も可能。
・サーバ・ドライバ以外にも自社が開発した天体機器制御アプリがあるため、それらを利用すれば一通りの環境が揃う
(天体機器制御アプリはMacのみ)
・多数の機器のドライバがある。
●短所
・メーカー関与がほぼ無い
・情報がかなり少ない(INDI以上に人柱必須)
・自社が開発したアプリ以外でサーバ・ドライバをフルに利用出来るクライアントが無い。
(INDIドライバ互換モードも使用できますが、その場合はINDIバージョン1.7に低下(現在は1.85))
どれも一長一短です。
ポイントとなるのは最も高速に利用できるローカル環境(ASCOMはローカルのみ)でのクライアント対応状況ですが、INDI、Indigo共Windowsではローカル環境でサーバ・ドライバを利用できません。(リモートドライバでしか使用できません。)
INDIの場合はローカル環境でサーバ・ドライバを使用できるのはLINUX、MACの2択。
Indigoの場合もローカル環境でサーバ・ドライバを使用できるのはLINUX、MACですが、クライアントがMacの自社アプリ以外ありませんのでMac一択になります。
このように現状ではどこかピースが欠けた状態です。
・Windows+ASCOMは低速、不安定、しかしメーカー開発のドライバ有り。
・MacはINDI、Indigoどちらもローカル環境でサーバ・ドライバを使用可能、しかしどちらもメーカー開発のドライバ無し、Mac自体がWindowsのMINIPCに位置づけられる省電力のPCが無い。環境構築は最も楽(群を抜いて楽です。)
・LINUXはINDIでローカル環境でサーバ・ドライバを使用可能、しかしどちらもメーカー開発のドライバ無し、システムも軽量なのでシングルボードコンピュータでも利用可。但し、環境構築が面倒。
一番の解決策はWindowsでもINDIやIndogoサーバ・ドライバが動作してくれるか、Macが省電力のMINIPCを作ってくれるかのいずれかですが、現状どちらもありません。
私は現状ではシングルボードコンピュータ+INDIを選択しています。(消去法的な選択です。MINIPCくらいの処理能力ではASCOMは低速で不安定すぎました。処理能力の高いPCは電力消費量が。。それならMacMINIにINDIかIndigoでも良くなりますが(環境構築楽ですし)、メーカー開発のドライバが無いので、動作確認など自己責任になります。(電力消費量も。。))
うーん。。天体機器制御などはニッチな領域になるので劇的な変化が見込めそうにありません。
当分この状態が続きそうです。
皆さんならどの環境を選びますか?(っていうまでもなくWindowsですかね)
追記
現在2021.5
indigoはWindows環境でAPTとステラショットが対応しています。
Linuxでindigoネイティブのクライアントはありません。
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