以前の記事でAlpacaについて少し触れましたが、その時は本家が作るASCOMのTCP/IPラッパーなのかなといった認識でしたが、詳しく調べていくとAlpacaサーバ・ドライバなる情報が出てきました。
どうやらAlpacaは既存ASCOMドライバをTCP/IPで他の環境で使えるようにするラッパーと、Alpacaサーバ・ドライバによるTCP/IPサーバ・ドライバの総称ということらしいです。
既存のASCOMはそのまま残し、ラッパーとなる
ASCOM RemoteでTCI/IPを使用したマルチクライアント対応を図り、新規に開発されるAlpacaサーバ・ドライバでマルチクライアント・TCI/IP対応(ASCOMドライバ互換)を行うといったことになるようです。
書いてあることだけ読めば理想的ですが、いくつか懸念があります。
・既存のASCOMサーバ・ドライバの改善はどうなるか?正直ASCOMのネットワーク実装(COM)が現状不具合になることが多く、ASCOM自体も正式にWindows10に対応していません。ドライバをマルチクライアントで使用するにはメーカー側がマルチクライアント対応したドライバを開発しているか、POTHHubを使用する必要があります。
昨今流行りのPlateSolvingなどを使用するとなると複数アプリの連携が必須になりますのでマルチクライアント対応ドライバか、POTHHubでの連携が必要になりますが、私の環境(使用機器)では正直まともに動いたことがありません。
既存のASCOMの開発がこのような状態で別規格を作ってしまうと混乱するようにも感じてしまいます。
既存のASCOM環境をきちんとWindows10に対応させ、全てのドライバがマルチクライアント対応、及び64ビット・32ビット両対応になれば少なくともWindowsで動かす限りは安定するはずです。
少なくともASCOMで上記部分の改善はしっかり取り組んでほしいですね。(じゃないとAlpacaRemoteで他の環境でASCOMが使えるようになったとしてもまともに動きませんので。。。)
・Alpacaサーバ・ドライバってどこで入手できるの?発表されてからそこそこ時間が経過しましたが、本家サイトにAlpacaサーバ・ドライバのダウンロードページがありません。
ネットなどでいろいろ探してみると個人の方がAlpacaドライバを配布していたりします。
どうやら、本家ではまだサーバ・ドライバの配布状態には至っていないようでドライバ開発キットやチェッカーの配布にとどまっているようです。
現状を見てのあくまでも予想ですが、既存ASCOMドライバを残しながらラッパーを被せて他環境でも使用できるようにしながら、緩やかにAlpacaサーバ・ドライバに切り替えていく作戦なのでしょうか?
そうなると切り替わるのに非常に時間がかかりそうです。(カオス状態になる予感も。。)
AlpacaでASCOMのCOM環境から脱却という姿勢は大いに評価できますが、これだけ発表されてから時間が経過しているのにラッパーしか発表されていないというのは非常に心配な状況です。
MacユーザーやLinuxユーザーはラッパー被せてまでASCOMを使いたいとは思っていないことをしっかり認識してほしいですね。(INDIやINDIGOで不自由なく機器制御ができますので、もしAlpacaがそれらより優れていたら乗り換えたいです。)
個人的にはずるずると古い環境を引っ張るのではなく、すっぱりとAlpacaに切り替えてほしかったです。現在EAAで使用しているマウントがドライバのバグでまともに動作しなくなってしまいましたので、この機会にAlpacaを試そうかと考えましたが、
まだ残念ながら試せる環境自体がなさそうです。ドライバは天体機器を制御する上でもっとも重要な部分になります。
アプリの方はさまざまな連携ができる環境が整ってきましたが、ドライバの不具合で連携が出来ないことが散見されます。
天体機器のドライバは他の環境では当たり前になってきているPlug & Playに対応していませんし、ASCOMのデフォルトではドライバを一つのアプリでしか利用できません。(連携のためにPothHubがありますが、前出になりますが、私の機器では正直全てまともに動いたことがありません。。マルチクライアント対応のドライバはわずかです。)
現在は消去法的にINDI環境を使用していますが、Alpacaの動向によってはユーザー(特にWindows)が安定環境を手にするのは時間がかかるかもしれません。。。(共倒れになるとかは本当に勘弁してほしいです)
個人的には
小難しいことを考えなくても繋げば動くという環境が早く整ってほしいと感じています。(まだ見ぬAlpacaはそのような環境を実現できるのでしょうか、そうなることを心より願います。)
規格ばかり増えて安定環境が作れないとか本末転倒ですね。
良い方向に進みますように。。。。。
追伸
冷静に考えると、ハードメーカー発の統合環境ってとても少ないですね。(ASIAirProくらい?)
ハートメーカーがアプリまでセットで面倒見てくれれば、動作の安定性は担保されそうです。
現状だとCelestronかZWOでしょうかね。
ZWO社のASIAirProがINDI本家のStellarMateより安定していたり、使いやすいのは自社のハードへの動作チェックや操作体系を考察しているからでしょう。
天体撮影が趣味のユーザーに頼っている割には天体望遠鏡メーカーからはこのような統合環境アプリが出てきませんね。
CelestronやSkyWatcherなどの大手がこれらの開発に着手してくれれば大分環境が整うのにな。。
(そう言えば、以前ミードで出していたような記憶が。。。会社自体が体力ダウンして過去のものになってしまいましたが)
なんか、今の天体機器のドライバの状況ってUVCが登場する前のWebCamに似てるように感じます。。。(独自ドライバの安定性に依存(大体安定していない(苦笑))、OSによってはドライバ自体が無い、自己責任の汎用ドライバの乱立など。。)
天体機器のドライバもUVCのように統一規格に。。。。ならないか。。。。。。