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★天体観望入門(星空の楽しみ方)のカテゴリー記事一覧


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ベランダからでも星は見えますが、今の日本の市街地では、光害のため1〜3等星(ひどいところでは2等星)くらいしか見ることができず、星座を結ぶこともできないような状況です。
以前は書籍などで観望におすすめの場所を調べていましたが、ネットなどの情報の充実により現在はネットを使用してロケハンしています。
今回は私が観望地候補を探すために行っている方法をご紹介します。

●前提条件として
・新月期を狙う
月が出てしまうと、どんな暗いところにいっても星は見えなくなってしまいます。
以下のサイトで月の出入りを確認し、候補日を決めましょう。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1236679789

・候補日の星空をプラネタリウムソフトでシミュレーションする。
候補日にどのような天体を観望できるかをプラネタリウムソフトでシミュレーションします。ぜひ見たいものはプラネタリウムソフトに登録します。
Skysafari、KStarsはシミュレーション、観望対象のリスト登録など便利な機能をもっています。
このとき、見たい天体が多い方角もざっくり確認しておきます。

・光汚染マップで観望候補地を調べる。
光汚染マップを用いて、近くの暗い場所を探します。
その際、見たい天体の方角に都市が少ない場所(暗さ)を確認します。
南であれば、候補地の地図の下方向を確認し都市が無く、暗いところが候補地になります。

・Googleマップで最終チェック
光汚染マップで候補地をいくつか選定したら、グーグル・マップで候補地を表示します。
航空写真→ストリートビューでその候補地でどのように空が見えるか確認します。
障害物などがある場合、近くの別の場所を確認します。
航空写真で現地が舗装されているかも確認しましょう。(夜露の量が全く違います。)
併せて、コンビニ、道の駅などのキーワードで近くにそれらの施設があるかを確認します。トイレ、食料や飲み物の買い出しなど近くにこれらの施設がある場所は便利です。

上記で候補地、観望日時を決定します。
ルート、住所なども調べておきます。


・当日
ナビに観望地を登録します。
ナビをお使いで無い方は、グーグルマップのルートをプリントアウト、もしくはスマホのグーグルマップに登録します。
グーグルのアカウントを作っておけば、PCと情報を連動できます。
SCWウェザーニュースなどで当日の天気を確認します。
夏であろうとも防寒具などは念の為、持っていきます。
折りたたみの椅子なども用意しておくと楽です。

装備などは後日新たな項目で記載します。


以上です。

ネットが普及し、現地に行かなくてもある程度必要な情報が手に入ります。
このように準備しても薄雲などでだめなときもありますが、うまく行けば、天の川を肉眼で見ることもできます。
少しの事前準備で見に行ったときの充実感が全然異なりますので、ぜひ上記参照してご準備ください。




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観望地が決定したら観望に必要になる装備を整えましょう。
といっても、最初からガチガチに装備を整える必要はありません。
星を見るために必須となるものを以下に記載します。

●スマホ+プラネタリウムソフト(SkySafari(Plus以上のグレード)、予備バッテリー、ケーブルなど、車なら充電プラグ、ケーブル
スマホはGps、フラッシュライト、地磁気センサー、ネット環境などを屋外でも使用できる天体観望必須アイテムです。天体を楽しむのであれば、携帯はスマホにしたほうが断然良いです。
スマホをかざせばGps、地磁気センサーにより、現在見ている方向の星空がSkySafariに表示されます。
外で観望するときにはMacよりはるかに手軽ですし、スマホにしかできない機能も多いです。(Gps、地磁気センサー、屋外でのネット環境など)
Mac持っていく場合でもテザリング機能を持つ機種であれば、ネット環境を共有できます。

SkySafari(Plus以上のグレード)をおすすめする理由は、以下3点です。
1.拡大表示した際、銀河、星雲、星団の写真が縮尺に合わせて表示されます。(Plus以下のグレードでは写真の数が圧倒的に少なくなります。)このソフト以外でこれだけ豊富に写真を縮尺にあわせて表示できるソフトは見当たりません。

2.Mac版SkySafari(Plus以上のグレード)で設定した観望リスト、設定などを簡単に同期できます。

3.今後望遠鏡などを制御したいと思ったときも、対応機器が豊富です。

SkySafariに関しては設定、使用方法をこちらにまとめました。
とにかくスマホは天体観望の必須アイテムです。
これがあれば、ライト、コンパス、星図、星座早見盤など必要なくなりますし、それらを使用するよりも圧倒的に便利です。

SkySafariはMac、スマホ・タブレットいずれでも使用でき、設定環境を簡単に共有できるおそらく唯一のソフトです。(実はWindows+スマホでは実現できる組み合わせがありません。)
ちょくちょく半額セールをしていますので、その時を狙って購入しましょう。
残念ながら英語版しかありませんので、どうしても日本語表記がほしい方は、別のプラネタリウムソフトを追加してください。

●防寒具(上下とも、夏場でも)
標高が高い場所などは夜は夏場でも非常に冷えます。
夏場であっても防寒具は必須です。
冷えは足元から来ますので、秋口以降は防寒靴、防寒用の帽子、手袋、マフラーなども用意しておいたほうが良いです。
自然を舐めてはいけません。後悔しないためにも徹底した防寒を。

●防虫剤(蚊取り線香(ライターも)、虫除けスプレーなど)
冬以外は必須です。自然=虫たくさんですのでしっかり準備しましょう。

●新聞紙、折りたたんだダンボール、ピクニックシートなど
観望時、立ちっぱなしはとてもしんどいです。。
ピクニックシートだけでも良いですが、新聞紙や、ダンボールなどを敷くと地面の冷たさを緩和できます。
寒ければ、屋外生活者のように体に巻きます。(笑、温かいですよ)
全くおすすめしませんが、ライターももっておけば、本当に緊急事態になったときは燃やして暖をとったり、避難時の目印になります。(そこまで奥地に行くのは避けましょう。。日本でもまだ驚くほどの秘境はあります。)

●水筒(お湯またはコーヒー)、カップラーメン、カップスープなど
夜間の外での行動は想像以上に冷えます。
疲れるとお腹も減ります。
温かい、コーヒーやカップラーメン、スープなどは体を温めますし、空腹をしのげます。(おにぎりは冷めるとまずいです。。)

最低限必要になるものは以上です。

車で観望地に行った場合はしんどくなったら車に逃げ込みましょう。
バイク、自転車、徒歩でしたら、上記をバッグに放り込んで向かいましょう。
(電車の場合は終電時間を逃さないように。。。)

●心の備えと危険への備え
観望場所に他の人もいたら挨拶を心がけましょう。
暗闇で機材を広げてじっとしているのは相手にとってかなり威圧感のある状況になります。
他の目的で来た方の邪魔になっているかもしれません。
人が多くなり、明らかに自分がその人達の邪魔になっていると感じたら、こちらからお詫びをして確認を取りましょう。声をかけづらい場合は、別の観望場所に移りましょう。(クレームが入って観望や撮影が禁止されてしまったら自分も見れなくなりますし、他の方にも迷惑がかかりますよね、公共の場で行動しているというモラルを持ちましょう

郊外の夜間という特殊環境ですので注意も必要です。動物(シカ、イノシシ、クマ)、蛇、蚊などの昆虫、そして人です。
心配な方は有識者(天文趣味の方、アウトドアが趣味の方)に相談してみましょう。
コメントいただければ私のわかる範囲で説明します。


大都市なら100km、地方都市なら10〜20km離れれば、天気、季節が良ければ天の川が見えるでしょう。
流星群の季節に合わせても良いですね。
双眼鏡や望遠鏡が必要リストに無いですが、それらは星空にはまって欲しくなったときに購入で十分だと思います。
ぜひ、天の川の見える満天の星空を体験してみてください。(私は感動しました。)
下の写真は私がよく行く観望地です。昨年引っ越したばかりですが、以前ご紹介した方法で観望地を探しました。
地方都市、自宅より車で20分です。
うまく探せば天の川にありつけます。








入門編で、まず星を見るのに適した場所の記事を書いたことを不思議に思う方も多いでしょう。
なぜかというと、昔と比べて都市部に住む方が本当に星が見づらい環境にあるからです。

以前の記事に記載の通り、車をお持ちの方なら少し遠出すれば驚くほど星の見える場所がたくさんあります。

星に興味がある方は、機材に目を向けるよりまず、綺麗な空を見て欲しいと感じています。
今回は実際環境によりどのくらい星の見え方が違うかをシミュレーションしてみようと思います。

シミュレーションに使うのはMacの天体アプリ一覧で紹介したStellariumです。

このアプリは肉眼で見る星空の見え方にかなり近いシミュレーションを行うことができます。日本語にも対応していますし、無料ですのでSkySafariと共にインストールしておくことをおすすめします。


では早速シミュレーションしてみましょう。
来年の夏の南の空、9時ころでシミュレーションを行います。
夏は天の川の中心部分があり、星空が非常に綺麗な季節です。


まずは大都市の空(クリックして確認してください。)

img_A01.png

都会にお住まいの方には見慣れた景色だと思います。

地上絵が牧歌的過ぎますが、見える星の数はだいたいこんなものですね。(空の色はもっと汚いですね。。)星座が結べません。

一つだけ妙に明るい星があります。この位置にこんなに明るい星はありませんので、これは惑星ですね。
なんとも寂しい空ですが、天体観測でよく使われる4cm8倍の双眼鏡で見るとこんなふうに見えます。
対象は夏であればぜひ見つけて欲しいメシエ天体のM7(散開星団)です。


(クリックして確認してください。)

img_1.png

おや、中心部分に小さな星の集まりがありますね。
散開星団は図鑑などの写真では興味をそそりづらい存在ですが、実際見ると細かな星がキラキラ輝いていて非常に綺麗に見えます。
天体観望には高い倍率の双眼鏡は向きません。口径が大きく(集光力が高い)倍率の低いものを使用します。
たかだか4cmの双眼鏡でも人間の目の30倍以上の集光力がありますので、肉眼では見えない対象を見ることができます。

では今度は街灯のない地方都市の郊外あたりをシミュレーションしてみましょう。


地方都市の郊外(街灯なし)(クリックして確認してください。)

img_2.png

今度はそこそこ星が見えてきました。画面の中心に蠍座があるのがわかりますね。
では双眼鏡で見てみましょう。


(クリックして確認してください。)

img_3.png

M7(散開星団)の星の数もぐっと増えました。
なかなか見ごたえが出てきましたね。

では、最後に大都市より100km〜150kmくらい離れた高原で見た星空をシミュレーションしてみましょう。

大都市より100km〜150kmくらい離れた高原(近くに灯りなし)


(クリックして確認してください。)

img_4.png

星の数がとても増えましたね、今度は逆に星が多すぎて蠍座がわかりづらいくらいです。蠍座のしっぽあたりからぼんやり雲みたいに見えるのが天の川です。
驚くことに肉眼でもM7のような明るい散開星団は確認できるようになります。

前々回ご紹介した観望地の探し方で観望地を見つければ車で1時間半〜2時間くらいでこのくらいの星空を見ることができます。


この空を双眼鏡で見ると(クリックして確認してください。)

img_5.png

このように視界一面が星で埋まります。(実際はもう少し見えるかも)

現在では地方都市でも街の明かりが強く、自然環境に悪影響を与えることから明るい夜空のことを光害と呼んでいます。将来に向け、考えなくてはならない問題ですね。

星に興味のある方は、ぜひ少し足をのばして天の川が見える星空を見てください。
自然の素晴らしさと共に、本当の星の美しさを体験することでますます興味が沸くことでしょう。




天体観望を行うには若干準備、知識があったほうがより楽しむことが出来ます。

注意事項、必要な知識、道具を列記します。

まず、注意事項として、見る対象により得意となる機材が異なります。
図鑑の写真のような姿を肉眼で見たいという方はご注意下さい。
簡潔に申しますと、図鑑に良く出てくる対象は望遠鏡を使っても肉眼で同じように見えません。

例として図鑑で美しい姿を見せるバラ星雲などは、どんなに大きな望遠鏡を使ってもこのような姿に見えません。


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バラ星雲(光害地(2等星が見える程度)ベランダにて撮影

理由としては、散光星雲(ガスが反射して色が見える星雲)などの赤い色の星雲は、肉眼では目の感度から色が認識できず、望遠鏡にカメラを設置し長時間露光しないと赤いガス成分を感光しないためです。そのため、天体写真愛好家は赤の感度が高いフィルムや、デジカメではCCDのフィルターを交換したりして対応しているのです。アンドロメダ銀河なども中心部以外は暗く、同様に長時間露光して姿を現す対象になります。
同様に図鑑でおなじみのアンドロメダ銀河(M32)も双眼鏡や、望遠鏡などで肉眼で見るとぼやけた煙のような姿にしか見えません。
他の銀河は大きな望遠鏡でもぼやけた星のような見え方です。
これらの対象は天体写真で長時間露光をすることで図鑑で見られるような姿になります。

では、気軽に楽しめる対象は何になるのでしょう。

以下に機材毎に記載します。


●肉眼で楽しめる対象(暗い場所で)

流星群

・天の川

・月

・(大きな)散開星団

・(明るい)二重星


●双眼鏡で楽しめる対象

・天の川

・(大型の)星雲銀河

・(大型の)球状星団

・(大型〜中型の)散開星団

・月

・(明るい)二重星


●望遠鏡で楽しめる対象

・月

・惑星(写真よりはかなり小さい。)

球状星団

星雲銀河(写真とは異なります。)

・(中型〜小型の)散開星団

・二重星


意外と肉眼でも楽しめますよね。
このように見る対象によっても使う機材が異なりますし、望遠鏡と一口に言っても様々な種類があり、得意とする対象が異なります。

こちらの記事で紹介したシミュレーションしてみると大まかにどのような雰囲気か掴むことができます。

はじめての天体観望では気軽さを重視するなら、スマホのプラネタリウムソフト、肉眼、手持ちで使える双眼鏡くらいから始めると良いでしょう。

特に双眼鏡が得意とする、散開星団は図鑑などで見るよりはるかに美しい姿を見ることが出来ます。




星を楽しむには目、双眼鏡、望遠鏡などいろいろな方法があります。
そこでの見え方を大きく左右する要素として、視野角と倍率があります。

視野角とは見える範囲を角度で表したものです。


大まかな目安として

・目→左右約90度程度(上下は6〜70度程度)

・手持ちの双眼鏡→約7〜8度

・大型の双眼鏡→約3〜4度

・入門用の望遠鏡の低倍率(30倍程度)→約2度

・入門用の望遠鏡の高倍率(100倍程度)→約0.5度


機器を使うと一気に視野角が狭くなるのがわかるかと思います。
角度でイマイチわからないという方は厚紙に7mmの穴を開けて覗いてみると簡単にシミュレーションできます。


○双眼鏡の視野

厚紙を目から10cm離して穴から見える景色が約8度です。
どうでしょうか、星を探すのかけっこう大変だと思います。
でもなれてくればなんとか明るい星は穴から見ることができると思います。


○大型の双眼鏡の視野

厚紙を目から20cm離して穴から見える景色が約4度です。
このあたりになると星を見つけることも大変になると思います。
何かしら星を探すための道具が欲しくなってくる視野角です。

以降40cmで2度、80cmで1度、160cmで0.5度になります。

倍率が高くなるとどれだけ見たい対象を導入するのが困難かわかるかと思います。
望遠鏡というと倍率を考えがちですが、きちんと作られた望遠鏡でだいたい口径の10倍程度が最高倍率と考えてください。

以前にも記載しましたが、高倍率での観望に適した対象は惑星、球状星団、銀河くらいです。


では実際に100倍での対象の見え方をシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションはおなじみのStellariumです。


まずは月

img_0-1.png

素晴らしいですね、月は入門用の望遠鏡でもよく見える対象です。
100倍だとちょうど視野いっぱいになります。



次は球状星団(M2)

img_1-2.png

こちらは実際にはこんなに良くは見えないです。
相当空が暗いところで見てこの半分くらいかもしれません。



土星

img_2-3.png

予想以上の小ささですね。
しかしよく見ると輪も見えますし、気流が良ければ表面の模様も見えます。



木星

img_3-2.png

こちらも予想以上の小ささですね。
しかし、よく見ると縞模様も見えますし、衛星も楽しめます。

どうでしょうか、期待以上のものもあれば、がっかりという対象もあるかと思います。
高倍率で楽しめる対象ももちろんありますが、視野角が狭くなるため、対象の導入は難しくなります。

星雲、星団、銀河、惑星、月などそれぞれに適した視野角、倍率がありますので、こちらの記事で紹介したシミュレーションなどを使用して対象に合わせて楽しんでください。




天体観望といえば、まずはとにかく望遠鏡と考える方が多いでしょう。
しかし、この観望入門を読んでいただけると気づいた方もいらっしゃると思いますが、見る対象によって適した機器が異なります。

暗い場所であれば双眼鏡で楽しめる対象も多く、すぐに望遠鏡を購入するよりは双眼鏡とスマホアプリなどで見たい対象を探せるようになってから望遠鏡を検討しても遅くはないと思います。

体験上一番先に手に入れて便利に使用できるのはスマホアプリです。
PC用も優秀なアプリが揃っています。

私は用途に合わせてKStars、SkySafari、ステラリウムを使い分けています。
StarryNightやステラナビゲータ、Equinox Pro、スーパースターなどのアプリも購入しましたが、現在では上記の3つでほとんど済ませています。

スマホではSkySafari、MacでKStars、SkySafari、ステラリウムを使用する感じです。
以前記事にも書きましたが、これらのアプリで実際に望遠鏡の視野をシミュレーションしてみると雰囲気がつかめます。

望遠鏡で強拡大して楽しめるのは月、惑星(木星と土星くらい)、球状星団になります。
月、惑星以外は目で見るのが困難な対象なので対象の導入が必要になります。
今なら廉価に自動導入の望遠鏡がありますので、そのあたりからスタートするのも良いでしょう。その場合は鏡筒はマクストフカセグレンか屈折をおすすめします。

写真を撮りたいとなると一気に敷居が上がります。
廉価な自動導入タイプは経緯台と呼ばれる水平、垂直動作の架台ですが、これで撮影できるのは月、惑星くらいです。
暗い対象ではこのタイプは視野が回転してしまうため、赤道儀が必要になります。
こうなるとどんなに安く見積もってもセットで20万を超えます。

目で見るのであれば大きい望遠鏡ほど分解能が高くなるので、ドブソニアン架台を用いた反射望遠鏡なども候補にあがります。

このように用途によって様々な選択肢から選ぶことになります。

いずれにしてもある程度星空のことを把握していないと使いこなせませんので、まずは星を見ることに慣れる環境を作ることをおすすめします。
スマホアプリ、双眼鏡くらいであれば出費も大きくなく、その後もずっと使用できますので、このあたりからスタートすることをおすすめします。
(とは言っても、欲しくなると我慢できないものですよね(笑))




双眼鏡や望遠鏡を手に入れると、いろいろな対象を見てみたいと思うでしょう。
しかし、この記事でも記載したとおり、それらの機器で思い通り対象を導入するのはなかなか大変になります。

導入支援装置などを作成するのも一つの方法ですが、その前に有名所の星座をおぼえておくと双眼鏡くらいの倍率であれば目に見えない対象もかなり探しやすくなります。

いずれにしても現在であれば天体アプリでシミュレーションしながら星座との位置関係などをある程度把握すると格段に導入できる確率が上がります。

こちらの記事を読みながら事前に見たい対象を登録しておくと迷子になりづらくなります。

では、具体例で対象の探し方を記載します。




●二重星団を見てみる
秋、冬を代表する散開星団です。双眼鏡や、小型の望遠鏡でも非常に綺麗に見えます。では、どのようにして探すかを示します。

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私は星座線を利用しながら追加線を引いていく方法をよく使います。二重星団の位置をよく見ると、カシオペア座から追加線を引っ張ると探しやすいことがわかります。

カシオペア座はWの形をしていますが、よく見るとWの2つの三角形の角度が鋭角な側と鈍角な側に分けられると思います。Wの頂点の星(Navi)と鈍角側の三角形の頂点の星(ルクバー)を先で結んだ線を1とした場合、そこから直線上に1.5倍くらい先にあります。(点線部分)

もう一つの探し方は、カシオペア座のWの頂点の星(Navi)とペルセウス座のα星(ミルファク)を結んだ線の中間地点と見ることもできます。

このように星座や、明るくてわかりやすい星を基準におぼえやすい追加線を設定すると探しやすくなります。

同様の方法で別の対象も探してみましょう。




●アンドロメダ銀河を見てみる
こちらも秋、冬を代表する銀河です。(意外と見ても楽しくありませんが、、)双眼鏡や、小型の望遠鏡でもぼやっとした姿を簡単に確認できます。
暗い場所であれば肉眼でも確認できます。

では、先程同様追加線を設定して探してみましょう。

085.jpg

明るくて見やすい対象ですが、探せと言われると意外と探しにくい対象です。

まずは秋の大4角形のペガスス座を見つけます。(その中のアルフェラッツを基準星の一つにします。)
そしてカシオペアの鋭角な三角形側の頂点のシェダルを見つけます。
アンドロメダ銀河はちょうどこの中間地点くらいですが、二重星団のように直線上に結べません。

そこでもう一つ基準となる星を見つけます。オレンジ色のアンドロメダ座のミラクです。

アルフェラッツ、ミラク、から二等辺三角形を作るとアンドロメダ銀河の位置になります。
秋の大4角形の中で、どの星がアルフェラッツかを見分けるためにカシオペア座のシェダルを使用すると間違えません。

このように、星座、星座中のα星やβ星など見て確認しやすい対象を結び、わかりやすい形を作って導入すると双眼鏡くらいであればかなり高い確率で見つけることができます。

プラネタリウムアプリを見ながら、対象を探しやすい補助線を探してみましょう。
その後、実際の空で試すと実際の空のイメージとプラネタリウムアプリのスケール感を把握できるため、習得が早くなります。

対象導入の一つの方法としてお試しください。





一口に天体趣味と言ってもさまざまな楽しみ方があります。
雑誌の記事のようにタイプ別に記載してみます。

気軽に読み流しながらお楽しみいただければ幸いです。


●神話や、星空の神秘に魅せられたタイプ

一般的に知られている星座はギリシャ神話が基になっています。そのストーリーに魅せられて星に興味を持った方もいらっしゃるでしょう。星にまつわる物語はギリシャ神話だけではなく、各国にあります。

これらを調べたり、星空と照らし合わせながら楽しんだりするのも楽しいでしょう。

このような文系的な楽しみ方とは別に、宇宙の誕生や、星、銀河、星雲、星団の種類など星空を見ることで、天文学的な興味を持つ方もいらっしゃると思います。
天文学は高度な計算もありますが、壮大な神秘性までありますよね。
そういったことを調べていくのも知的な楽しい趣味になると思います。


●空の美しさに魅せられた星空探求タイプ

人里離れた場所で、天の川が綺麗に見えるような美しい星空を体験して興味を持った方、観望会などで惑星、月、星雲、星団、流星などを見て興味を持った方もいらっしゃるでしょう。
俗に眼視派と呼ばれる方ですが、見る対象によって更に細分化されます。


●肉眼のみでみたい派

天の川が見えるような綺麗な星空を楽しみたい、流星を見たいという方がこのタイプですね。星空が綺麗に見える自分だけの場所を探すのも楽しいですね。


●低倍率の対象を楽しみたい派

天の川の星々や、その中にある星雲星団、ほかには彗星を探して楽しみたい方がこのタイプですね。

このタイプの方は双眼鏡(小型、大型)や低倍率が出しやすい焦点距離の短い望遠鏡を使用しています。これらを使うと目では見えない対象も探すことになるので星図の読み方を覚えたり、導入支援装置などを活用している方もいます。

このサイトでもプラネタリウムソフトを用いた導入方法や、導入支援機器の自作記事も掲載していますのでぜひ参考にしてください。


●中・高倍率の対象を楽しみたい派

星雲星団の詳細、惑星、月の詳細など、天体の細部を見て楽しみたい方がこのタイプです。

入門用の小型望遠鏡から、大型の望遠鏡や架台までありますが、高倍率で対象を観望するとなると大口径で精度の高い望遠鏡が有利になります。
特に球状星団や、惑星などは望遠鏡の口径が大きく影響する対象です。

倍率も高くなってくればおのずと視野は狭くなりますので、対象の導入は難しくなってきます。導入支援機器や、自動導入機器など大型で高額な機器を揃えて楽しむ方が多い派閥です。



以上が目で見て楽しみたいタイプです。
他にも星空イベント参加派、プラネタリウム観望派といった用意されたプログラムをイベントやレジャーのように娯楽として楽しむ方もいます。

ひとえに眼視派といっても多種多様ですね。



次は特に日本では人口の多い写真撮影が趣味の方です。


●空の美しさを撮影したいタイプ

星空を撮影したいという方も天体趣味の方に多いですね。
しかし、撮りたい内容によって機材が異なってきます。

機材ごとに派閥があるような。。


●固定撮影派

星が線のように伸びた写真を撮る方です。
景色などを含めて夜の風景写真としての完成度追求される方が多いです。


●星景撮影派

ポータブル赤道儀や小型の赤道儀とカメラレンズを使用して天の川や、星座、さらには夜の風景までを一枚の写真に収める写真と撮る方です。固定撮影同様夜の風景写真としての完成度追求される方が多いです。


●星雲、銀河、星団撮影派

赤道儀と望遠鏡を用いて星雲、銀河、星団のクローズアップ写真を撮影する方です。

直焦点撮影という望遠鏡に直接カメラを接続し、それとは別にガイドカメラにより、赤道儀を精密にガイドしながら拡大しても星が点に写るようにして撮影を行っています。対象の大きさによって適切となる望遠鏡の種類も異なるため、複数機材を活用している方もいます。

撮影も複数枚の写真をスタッキングして精度を上げたり、ダーク画像でノイズ削減、フラット画像で周辺減光を抑えたりと撮影後の画像処理にもこだわる方が多いです。


●惑星撮影派

こちらも赤道儀と望遠鏡を用いますが、拡大率がかなり高いため、星雲、銀河、星団撮影派の機材とは異なり、アイピースにアダプターをつけて撮影する拡大撮影や、バローレンズを用いた直焦点撮影を行っています。

現在では動画を撮影し、動画のフレームをスタッキングと呼ばれる手法で精度の高い一枚の写真に仕上げる方法を用いて仕上げています。

その他、太陽、月、彗星、変わったところでは人工衛星を撮影する方もいます。



次は天体趣味で意外と多い自作派です。


●天体機器を自作したいタイプ

天体機器は望遠鏡、架台、撮影機器、制御機器、アプリなど多彩に組み合わせて目的となる観望や、撮影が行えるようになります。
これらの機器を自作して楽しむ趣味の方もいます。




●望遠鏡制作派

プラモデルのように制作できる望遠鏡製作キットから始まり、反射望遠鏡の鏡面制作から鏡筒まで全て自作する方もいます。
本格的な方は、測定機器や工作機器も揃えて自分だけの望遠鏡を自作しています。


●架台自作派

赤道儀や経緯台など架台となる部分を自作する方もいます。
自作として代表的なのはドブソニアン経緯台ですが、ドブソニアンタイプを制作する方はだいたい鏡筒もオリジナルで自作しています。
ポータブル赤道儀なども自作例としては多いです。


制御系自作派

工学系や電子工学系の方はフォーカサーや、赤道儀の制御機器、制御用のプログラムを自作する方もいます。プログラムは制御系だけではなく、画像処理や、計算ソフトなど多岐にわたります。


●環境自作派

星を見る環境そのものを自作する方もいます。
(天体ドームや、スライディングルーフなど)



天体と一口にいってもさまざまですね。

一部分だけをかじっている方もいれば、一部分のみ集中して行っている方、いくつかのタイプを横断的に楽しむ方や、高額な機材を揃えなんでもできるようにしている方、観望や撮影ではなく、機材の収集を楽しむ方もいます。

かなりマニアックに見られがちな趣味ですが、文系から理系まで本当に幅広く楽しむ部分があり、金額も0円〜数千万円まで多様に広がります。
ここには記載しなかった楽しみ方をしている方もいらっしゃるでしょう。

趣味であれば楽しみ方は自由です。

ご自身の興味に合わせてお楽しみください。





ネットを使えば住んでいる街の近くで行われている観望会の情報などが簡単に手に入ります。

天文台が主催するもの、地域が主催するものなどさまざまですが、望遠鏡でいくつかの対象を観望することが出来ます。
中にはイベント化している大規模なものもあり、見て回るだけでも楽しいものもあります。


星祭2
星祭1


写真は長野県の原村で毎年行われている星祭りです。
多くのメーカーが出店しており、購入を検討している機材などが安く販売されていたり、いろいろな情報を聞くことが出来ます。

各地から天体観望を趣味にする方が望遠鏡を持って集まってきますので、夜になると大規模な観望会が始まります。

この星祭りは大規模なものですが、各地でさまざまな観望イベントがおこなわれていますので、星に興味が出てきたら参加みるのも良いでしょう。

天体観望では見る季節によっておすすめの観望対象が異なります。
天の川がある、夏と冬は望遠鏡、双眼鏡いずれでも楽しめる観望対象も多くこれから天体観望をはじめてみたいと言う方にはおすすめの季節です。

適した観望地は光害を受けない場所で、更に標高の高いところがおすすめですが、冬に高原などでの星空観望は、冬山の経験がない方にはかなり危険です。

私のおすすめの観望方法は一つ前の季節の深夜以降に次の季節の観望対象を見ることです。

プラネタリウムソフトがあれば簡単にシミュレーションできます。

春であれば夏、秋であれば冬の対象を深夜以降に見るのです。
(もちろんその季節の対象も楽しみます。月があると一気に星が見えなくなりますので、シミュレーション時に月の出入りは必ず確認しましょう。)

深夜以降であると確実に民家の明かりは減りますので、1ランク上の観望環境が整います。車で少し遠出しても交通量が少ないですし、春の終わりや、秋の終わりなど中途半端な季節を選べば、観光客なども少ないため泊まるとしても、宿泊施設も空いていることも多く、ゆったりと遠征できます。

春は霞んでいたり、梅雨などもありますが、新月期の雨上がりを狙えば空の状態も悪くありません。秋は台風後は空が澄んでいますので観望には最適です。

このように少し季節を先取りして観望すれば、暑さ、寒さの厳しい季節の観望対象も軽装備で観望できますし、観光シーズンから外れるので、ゆっくり楽しめます。

週末時間が取れたり、うまく休日が取れた場合はぜひお試しください。
(山に行く場合はどの季節でも十分な防寒対策をお忘れなく、季節によっては防虫対策も必要です。




天体観望となると望遠鏡というイメージがあります。
しかし、初心者が気軽に購入できる金額の製品では観望して楽しめる対象が実はそれほど多くありません。

惑星や、球状星団、銀河などを楽しめるくらいのサイズ、分解能、明るさで見るとなるとかなりの口径が必要になります。

そうなると機材も大掛かりになり、扱いも楽ではありません。
月は入門用の望遠鏡でも十分に楽しめますが、惑星や、球状星団、銀河などは見えるといった感じで苦労して対象を導入しても感動が薄いかもしれません。

そこで、おすすめなのが双眼鏡です。
双眼視すると片目で見るより明るさが増し(1.4倍程度)、細かい部分も見やすくなりますし、とにかく目が疲れません
入門用の望遠鏡3万〜4万円くらいのものを購入するのであれば、双眼鏡でその価格を出せば、かなりの高性能機を手に入れることができます。

私のおすすめは、口径7センチ以上の大型機(倍率は15〜25倍程度)、口径3〜4センチの手持ち用(倍率は8倍以下)2台を購入し、同時に使用する方法です。(大型機は三脚、三脚アダプタが必要になります。)

手持ち用の双眼鏡を探索用、天の川流しなどに使用し、対象の場所を確認したら大型双眼鏡で観望するスタイルになります。

上記2台の双眼鏡を購入しても望遠鏡よりかさばりませんし、機種を選べば2〜3万円で購入できます。(セレストロン製品など)

お金に糸目をつけなければ防振双眼鏡などは驚くほど詳細に対象を確認できます。

図鑑ではしょぼい散開星団も、双眼鏡では非常に綺麗に見ることができます。
暗い夜空での天の川流しは、視界いっぱいに数え切れないほどの星がひろがります。
望遠鏡と異なり正立像なので、星座や対象の位置を覚えやすくなります。

大型機では三脚が必要になりますが、望遠鏡の架台ほど大掛かりなものを使う必要はありません。ビデオ用の三脚などで十分代用できます。

私自身も望遠鏡購入後に双眼鏡での観望の楽しさに気づきましたが、これから始める方はこの記事などを参考にして双眼鏡での星空観望もぜひご検討ください。
(この楽しみ方は空の暗さが重要になります。ロケハンなどで自分だけの観望地も見つけてお楽しみください。)
※双眼鏡の海外生産製品は稀に視軸ずれがありますので、交換のできる国内販売店で購入することをおすすめします。
もう一つ、ズーム製品は双眼鏡のメリットである視野の広さが損なわれるためおすすめしません。
使いやすさなどを調べるためにも、できれば手にとって実際に見ることのできる販売店で確認してから購入することを強くおすすめします。


多くの書籍では、星図、コンパス、星座早見盤など使用する天体観望を記載していますが、現在では多くの方が、スマートフォン、タブレット、ノートPCを所有しています。

スマートフォンに使いやすいプラネタリウムソフトをインストールするだけでも観望対象を探すことが非常に容易になりますし、コンパス、フラッシュライトの代わりにもなります。

本格的に使用する方は自動導入機器のコントロールや、撮影機器のコントロールまで可能になります。
その撮影機器もデジタルカメラや、PCで制御する天体カメラなどデジタル機器が使用されています。

デジタル機器は現在では天体観望においてなくてはならない存在であると言えます。

今回はデジタル機器を利用した観望環境をご紹介します。
ご自身のライフスタイルに合わせた観望環境の構築の一助になれば幸いです。



●観望補助として活用

スマートフォン・タブレットに使いやすいプラネタリウムをインストールして使用します。プラネタリウムソフトであれば見たい対象の現在地、現在時刻での方位・高度角を確認できますし、GPSを内蔵しているスマートフォン・タブレットであれば、空にかざせば向けた方角の星空を表示してくれます。

星雲・星団などを写真で確認できるプラネタリウムソフトもあります。

フラッシュライトのソフトや、コンパスのソフト、インターネットの天体情報サイトなども用意しておけば、観望地で必要な情報を得ることもできますし、設置、撤収の時のライトの代わりにもなります。

お手持ちの双眼鏡や、望遠鏡にスマートフォン・タブレットのプラネタリウムソフトとモバイルバッテリーを加えれば立派な観望環境が完成です。

こちらの記事にSkySafariの使用方法を、こちらの記事には観望地にあると便利なものをまとめてありますので興味ある方はご確認ください。



●導入支援・自動導入のコントローラーとして活用

こちらの記事に記載したSkySafari(Plus以上)には本格的な導入支援、自動導入架台のリモートコントロール機能が搭載されています。

エンコーダーを用いた導入支援架台は現在では残念ながら国内で市販されていません。国際光器で架台にエンコーダーを設置できる機器や、コントロールボックスが販売されています。自作についてはここここに記載していますので、機器の天体導入を簡単に行いたい方はぜひ挑戦してみてください。

自動導入架台は各社から多数販売されています。

スマートフォン・タブレットのSkySafari(Plus以上)で制御する場合は無線のコントローラーが必要になります。SkyFiという商品もありますし、RaspberryPi3以降であれば自作もできます

ご自身の環境に合わせてご検討ください。



●EAA(電視観望)として活用

人間の目ではなく、天体カメラなどを望遠鏡や、カメラレンズなどに接続して電子の目で観望するスタイルになります。

機材としては自動導入架台、天体カメラ、モータフォーカサー、望遠鏡・カメラ・レンズなど天体撮影で必要となる機器似たような構成になりますが、ライブスタッキングなどを用いてリアルタイムに観望することに特化したものになります。

デジタル機器の発展と共に現れた観望スタイルと言えるでしょう。

当ブログでも複数ページで紹介しています。

環境構築は難しくなりますが、リアルタイムに目で見えない対象を色付きで観望できます。興味ある方はこちらの記事こちらの記事をご参照ください。



追伸

こちらの項目では天体初心者のための観望入門として記載していますが、天体の楽しみ方として天体撮影を行っている方も多数いらっしゃいます。
当ブロクでもこちらの記事こちらの記事で天体撮影に関わる情報を掲載していますが、撮影に興味がある方はネットに多くの情報がありますので検索してみてください。(固定撮影、星景撮影、直焦点撮影(星団、銀河、星雲)、惑星撮影(コメリート撮影、バローレンズでの拡大撮影)、天体の動画撮影(タイムラプス撮影)などのワードで検索すると情報を得やすくなります。)

これらも現在ではデジタルでの撮影が中心になっており、それぞれの撮影方法にあわせたPCでの画像処理が必須となっています。

観望などをおこなっていて、望遠鏡などの機材が欲しくなってきたとき、一体どれを選べば良いのかお悩みの方も多いと思います。

実は望遠鏡は口径、焦点距離によって得意な対象が異なります。
撮影を行うか否かによっても選定が変わってきます。

肉眼や、双眼鏡などで星見に慣れてから機材を検討するのがおすすめですが、まずは購入していろいろとおぼえていきたいと言う方もいらっしゃるでしょう。



ここでは、観望に焦点を絞り、機材選びの考慮点を説明します。



●架台について

・経緯台
 水平、垂直に動く架台です。手動・電動・自動導入タイプがあります。

・赤道儀
 地球の回転軸に合わせて動かせる架台です。こちらも手動・電動・自動導入タイプがあります。

天体観望に使用される架台は上記2種類に大別されます。
赤道儀は長期露光の天体撮影用とお考えください。

観望のみであれば経緯台のほうが簡単に扱うことができます。
入門向けの架台は経緯台になっているものが多いですが、安定感の良い架台が使用されているものでないと、ぶれて使い物になりません。

望遠鏡のみに目が行きがちですが、観望を快適に行うために最も重要な部分の一つです。

最初の一台としておすすめなのは現在であれば自動導入タイプの経緯台です。
観望から長期露光を必要としない月、惑星撮影まで対応できます。



●望遠鏡(鏡筒)について

市販されているものは大別して3種類あります。(こちらは後日記載します。)
倍率に目が行きがちですが、まずは以下のポイントを確認しましょう。

・口径と焦点距離
望遠鏡選びで非常に重要な要素になります。
口径が大きいと分解能、集光力が高くなり高倍率で対象を確認したときにも像が破綻しづらくなります。カタログで確認する場合は有効径と記載されています。(単位はmm)

焦点距離はその望遠鏡の主鏡(対物レンズ)が焦点を結ぶ距離になります。(単位はmm)
この距離が長いと低倍率は出しづらく、高倍率向けとなり、焦点距離が短い場合は低倍率向けになります。

焦点距離(mm)÷アイピースの焦点距離(mm)=倍率になります。

分解能・集光力も考慮して口径(cm)☓10倍程度がその機材に適した最大倍率と考えてください。



倍率ごとに適した対象を記載します。

・低倍率(20〜40倍程度)→散開星団、月、天の川流し、大きい星雲

・中倍率(60〜80倍程度)→星雲、月、球状星団、銀河

・高倍率(100倍以上)→惑星、月、球状星団、銀河、小さな星雲


口径が大きくなるほど焦点距離が長くなるため、結果として低倍率観望はしづらくなります。
逆に小口径の望遠鏡では分解能、集光力が低いため高倍率観望は難しくなります。

こちらの記事に記載したプラネタリウムソフトのシミュレーションも購入検討に役立ちます。

カタログを見るときには、これらのことも考慮してご検討ください。



望遠鏡の種類は後日記載します。







以前の記事の続きになりますが、今回は望遠鏡の種類を記載します。

現在市販されている望遠鏡は大きく分けて3種類あります。
それぞれの種類ごとに特徴を記載します。

焦点距離(mm)÷口径(mm)=望遠鏡のf値となり、数字の少ないもののほうが写真で撮影したとき、同じ露出時間の場合明るく写せますが、収差が悪くなる傾向があります。

f値の数字が大きいものは逆になります。
一般的にf値が小さい望遠鏡は撮影用に使用されることが多いです。



●屈折式(単焦点〜中焦点が主流)

対物レンズで集光するタイプです。

入門タイプのアクロマートレンズと、レンズにED、フローライドなどを用いて、各収差を低減したアポクロマートレンズを用いるものがあります。
口径に対しての金額は高くなりますが、後に述べる反射望遠鏡などと比較して光軸調整などのメンテナンスがほとんど必要ないため、アクロマートレンズの屈折望遠鏡は入門タイプの望遠鏡に採用されることが多いです。

アポクロマートレンズを用いたタイプはf値が小さい望遠鏡が多く、撮影用として使用されることが多いです。(非常に高額です。)



●反射・ニュートン式(単焦点〜中焦点が主流)

凹面をした反射鏡で光を集めるタイプの望遠鏡です。

その中でもニュートン式は最も構造が簡単で、口径に対してコストが安いメリットがあります。
レンズを透過する屈折式と異なり色収差がありません。
しかし、筒内の気流により像が乱れたり、光軸修正が必要になったりと、屈折望遠鏡と比較してメンテナンスが必要です。

大口径を活かしたドブソニアンタイプなどで使用されることが多いです。

f値の小さいタイプは補正レンズを使用して撮影にも使用されています。

反射タイプは屈折タイプと異なり構造上焦点までの間に必ず副鏡やスパイダーと呼ばれる副鏡を保持する金具が必要になり焦点像に影響を与えます。
(経験上屈折望遠鏡より像が淡くなります。)



●反射・カセグレン式(長焦点)

主鏡に凹面鏡、副鏡に凸面鏡を用いて屈折望遠鏡と同じように後ろから観望するタイプです。
カセグレン式にはいくつか種類があり、市販されているものは純カセグレン、シュミットカセグレン、マクストフカセグレンなどがあります。

共通事項としては副鏡の凸面鏡で像を拡大するため、大きな口径の望遠鏡でもニュートン式に比べて、コンパクトに設計されていることです。

ニュートン式が一枚の凹面鏡で集光するのに対して、凹面鏡、凸面鏡の2枚で集光するため、収差を抑えることができます。
主鏡である凹面鏡のf値が小さいため、光軸などを調整する場合はニュートン式以上にシビアになります。

大口径であればあるほど小さなf値でも焦点距離が長くなるため低倍率が出しづらくなります。しかし分解能、集光力が高いため高倍率の対象を細部まで観察できる可能性が高くなります。

小口径の望遠鏡は低倍率が出しやすいけれど、分解能、集光力が高いため高倍率がきびしくなります。

しかし、これはあくまで望遠鏡の性能のみで記述した事項になり、実際には大気の影響も受けるため、大口径であっても上空の気流の流れが早い場合はぼやけたような像になってしまいます。

取扱いなども考えるといきなり大口径の望遠鏡を入手しても調整やセッティング、持ち運びなど大変な要素が多くなります。

8〜12センチ程度の屈折、15〜20センチ程度の反射が扱いやすさで無難な選択になるかと思います。

倍率によって適した対象も異なるため、どのような対象に力を入れるかを検討しながら選択するのが良いでしょう。

望遠鏡が大きくなるほど対応する架台も大きく重くなります。
希望する望遠鏡が絞られてきたら、架台の耐荷重も必ず調べましょう。

この2回の記事で面倒だな、と感じた方はもう少しプラネタリウムソフトでのシミュレーションや、裸眼や双眼鏡などの観望を行って空に慣れてから検討したほうが良いかもしれません。

前回の記事でおすすめした自動導入タイプの経緯台の耐荷重は5kgなので、おのずと屈折8〜10(10cmはギリギリ)、反射は〜15cm程度に絞られます。
ドブソニアンを除けばそのあたりが入門用の一つのラインになるかもしれません。

楽しみながら、迷いながら自分にあった望遠鏡を手に入れましょう。




天体の観望や、撮影を行うと天候と月の存在が気になります。(暗い空が望める環境も)

この趣味をしている方は、遠征をするのであれば晴天率が高く、周りに明かりが少ない(または無い)ところを探し、当日の天候や月の出入りを調べてなるべく良い条件のときに観望・撮影を行っているかと思います。

月は最も地球に近い天体で身近なものですが、非常に明るいため星雲・星団など暗い対象を観望する際には非常に厄介な存在になります。

しかし、逆に捉えれば誰でも確認することができ、入門用の廉価な望遠鏡でも驚くほど詳細な姿を観望・撮影することができます。
(入門用の望遠鏡で写真と同等以上に見えるのは月だけかもしれません。)

撮影に関しても非常に明るいため、接続アダプタさえ用意すれば簡単に写すことができます。

天の川が見えるような環境であれば機材がなくても星空を十分楽しめますが、機材を購入したならまず月を観望・撮影してみることをおすすめします。
図鑑にあるような詳細なクレーターなど堪能することができますし、撮影に関しても最も難易度の低い対象の一つです。

月であれば見る場所が町中であっても問題ありません。
最も身近で、観望・撮影両面において満足ができる対象です。


moon.jpg


天の川を実際ご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
都会では絶望的な空ですが、大都市部であれば100km程度、地方都市であれば2〜30km移動すれば、日本でもまだ天の川を眺めることが出来ます。

夏と冬は天の川が非常に綺麗に見える季節です。
この記事を記載している現在は、梅雨真っ只中ですが、梅雨の晴れ間の夜中であれば夏の天の川を条件よく見ることができるので興味ある方は下記ご参照ください。

天の川が見える条件
・周辺、及び空が暗いこと(外灯もNG、グーグル・マップなどで事前に周囲の環境を確認すると役立ちます。)
・見る時に空に月が無いこと(新月付近がベスト、月の出入りはここを)
・天の川の方向の空に都市が無いこと(ロケハンはここをご参照ください。)
・車・バイクなど公共交通機関以外の移動手段をもつこと


夏の空

上の写真はステラリウムで夏の天の川をシミュレーションしたものです。
去年の夏前くらいに長野県の美ヶ原で見た空はこのシミュレーションに近いものでした。
この記事は2019年6月27日に書いていますが、その時期であればだいたい23時くらいに天の川の中心部をシミュレーションのように見ることが出来ます。(上記条件が揃ったらですが。。)

晴れてさえいれば春は夏の天の川を見るのに絶好の季節です。(夏同様の星空が上るのが深夜のため、街明かりの影響が少なくなります。)
場所探しに関しては以前記事に記載しましたここを、持っていくものに関してはここをご参照下さい。

天の川は肉眼でも充分に楽しめます。
双眼鏡をお持ちの方は、蠍座のしっぽ(天の川の中心部)〜はくちょう座くらいまで眺めると無数の星と共に星雲、星団を確認することができます。

天の川が見えるような空であれば小さな双眼鏡が天体観望に充分役立つことが実感できると思います。
都会からだとちょっとした小旅行になりますが、天の川を見たことが無い方はぜひ一度実物をご覧になってください。
(ちょっと感動しますよ(多分、、わたしはこれで双眼鏡にハマりました。。))


夏休み期間中に地域の科学館や天文台のイベント情報を調べてみましょう。
8月には3大流星群の一つであるペルセウス座流星群があるためほとんどの施設ではそれに合わせて観望会などのイベントが開かれています。

解説員の方の説明を聞きながら流星群を観望できますし、望遠鏡などで他の天体を見せてくれる施設もあります。
流星群は肉眼での観望になりますので機材も必要ありません。
流星群観望が星空への興味のきっかけになることも多いようです。

主な流星群の時期はここをご確認ください。

流星と聞くとこれら流星群を想像しますが、この趣味をしていると、流星は日常的に見られるもの(双眼鏡・望遠鏡の視野に飛び込んでくることも)という認識を持つ方が多いと思います。

流星とは関係ありませんが、空を見上げると飛行機、人工衛星なども頻繁に飛んでいます。
(天体趣味の方の中には人工衛星を撮影することを趣味にしている方も)

いきなり街灯の無い山間部などに行くことに抵抗のある方は、施設が主催するイベントに参加してみるのも良いかと思います。

観望環境の良い施設であれば、流星以外に沢山の星や、条件が良ければ天の川まで見ることができるかもしれません。
もっとも気軽に始められる観望の一つですので、夏の観光計画の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

152.jpg

上図は2019年8月13日(極大期)夜10時の星空のシミュレーションです。
中央の印が放射点と呼ばれる中心部になります。
放射点は北東方向ですが、流星はかなり広範囲に飛びますので、広い範囲をのんびりと観望してみてください。




タイトルは夏に向けてですが、すでに夏になってしまいました。。

ようやく梅雨も明け、夏空の観望シーズンになりました。
夏は天の川の中心部を見ることができる季節です。

天の川の中には多数の星雲・星団が存在しています。
これらの対象のいくつかは双眼鏡に適したものになりますし、天の川を中心部から上に見上げていくと多数の星とともに容易に探し当てることができます。

以下双眼鏡での観望方法や観望対象をご紹介します。

●双眼鏡について
手持ちで使うものが一台あると便利です。
対物レンズの口径が3〜5cm、倍率が6〜8倍程度のものがおすすめです。

フラットナーと呼ばれる視野を平坦にするレンズが接眼部に内蔵されているものは視野の隅まで星が点像になり見やすくなります。

ケンコー プロフィールド 7X32

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賞月観星プリンスED8x42WP(ブラック)

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上記はいずれも条件を満たした機材になります。
プロフィールドは私も所有していますが、価格の割には良く見えます。

双眼鏡にはポロプリズムタイプダハプリズムタイプがあります。
上記の機材はいずれもポロプリズムタイプになります。
ダハプリズムタイプの方が口径に対してコンパクトですが、星を見る際は構造的にダハ稜線と呼ばれる光条が気になることが多くなります。

ダハプリズムタイプで選択したい場合は以下のキーワードを追加して確認してください。
・位相差コーティング→光条が減ります。
位相差コーティングがされているものは、ある程度の高級機になりますので双眼鏡で留意するようなポイントはクリアしていく機材が多いです。

双眼鏡は人それぞれで見やすさが異なる機材です。
近くに双眼鏡を置いている店があればチェックして購入することをおすすめします。

手持ちの場合はどうしても手ブレが気になります。
一気に高額商品になりますが防振双眼鏡は天体用途として非常に役立ちます。

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私も所有していますが、口径以上に非常によく見えます。


大型の双眼鏡であれば対空型が首が疲れずに楽に見えます。

Vixen/ビクセン 38068-8 HF2-BT126SS-A 対空双眼鏡セット

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私は二つ前の型で倍率固定のものを所有していますが、星雲・星団を観望する機材としては対空型で首に負担がかからない大型双眼鏡は非常に優れていると思います。(両目なので目が疲れない、対象の詳細まで見やすい、明るい、正立像などなど)
但し、望遠鏡並みに設置が大変になります。。


余談はここまでにして本題に戻ります。

●観望場所・時期について
観望場所はなるべく暗い場所を探しましょう。周囲が暗くても近くに街灯があると一気に見える星の数が減ります。
この記事を参考にしてより星が綺麗に見える場所を探してください。

月が出ていると同様に一気に見える星の数が減ります。
ここを参照して月の出入り時刻を確認して月の出ていない時間帯に観望しましょう。

上記のような手持ちで使用できる双眼鏡が得意とするのが、星群や大きめの星雲・星団です。
夏はこれらが多数見えますので空の条件が良ければかなり楽しい季節です。
(虫除けと防寒(夏でも)は忘れずに)


では、双眼鏡でおすすめの観望対象をご紹介します。
下図のシミュレーションは2019年8月20日、21時で行っています。
観望する日時によって見え方が変わってきますのでプラネタリウムソフトなどで確認しましょう。


169.jpg

南の空を見てみましょう。上図はほぼ人の視野に合わせています。
赤丸は上記で紹介した双眼鏡の視野になります。
連番は見る順番、線は視野の移動の流れになります。

1.まずはサソリ座のアンタレスを導入します。空の状態が良ければ右斜め下に大型の球状星団M4が見えます。

170.jpg

1部分の拡大図


2.サソリ座の形をたどりながら視野を移動します。尾の部分を上に上がると散開星団M7、M6が視野に入ります。M7は大きいのでM7を見つけてからM6を確認しましょう。

171.jpg

2部分の拡大図


3.そのまま上に視野を向けるとM8(ラグーン星雲)、M20(三裂星雲)が見えます。残念ながらガスの色は見えません。(白っぽく見えます。)

172.jpg

3部分拡大図


4.更に少し上に視野を向けるとM24、M23が導入できます。M24は銀河の中心部分の星群、M23は散開星団です。

173.jpg

4部分拡大図


5.わずかに左斜め上に視野を移すとM17、M16が見えます。空が暗ければいずれもガス部分が白っぽく見えるはずです。下には先程導入したM24も視野に収まり非常に賑やかです。

174.jpg


その後線を左斜め上方向にたどって、夏の大三角形のある天頂付近まで見ていきます。
途中でM26や、M11なども視野に入ってきます。


175.jpg

わし座のアルタイル、琴座のベガ、白鳥座のデネブを結ぶと夏の大三角形になります。
特に白鳥座は天の川をまたぐ形でできており、非常に多くの星を見ることができます。

6.白鳥座のβ星アルビレオです。この星は二重星になっておりこのクラスの双眼鏡ではギリギリ2つに見えるかといった感じです。周囲にも沢山の星が視界を埋めとてもきれいな眺めです。

176.jpg

6部分拡大図


7.サドル付近は非常に星の密度が濃い星群です。その中に散開星団M29もあります。6のアルビレオから7のサドルまでは星の密度が濃い星群が続いていますのでぜひゆっくり確認してください

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7部分拡大図(右側が北)


8.白鳥座一等星デネブ付近には北アメリカ星雲があります。空の状態が良ければガス部分がごくうっすらと見えるかもしれません。その北側には散開星団M39もあります。
(7、8部分は天頂付近のため、プラネタリウムソフトの星図がひっくり返ってしまいました。それぞれ右、右斜め下が北になります。)

178.jpg

8部分拡大図(右斜め下が北)


このようにひと繋がりで星雲・星団・星群を観望できます。
夏の空はこれ以外にも見どころが沢山あります。

上記を一例として観望をお楽しみください。






夏に向けて最後の記事はこの夏見頃の木星、土星になります。
入門者が最もはじめに見たがる対象だと思いますが、なぜ最後に持ってきたのでしょうか。

実はその1〜その3に比較して機材の取扱い、導入共に難しくなるからです。
木星、土星といった惑星を観望するにはある程度の高倍率が必要になります。(目安として100倍以上、細部も見るなら200倍以上)
そしてその高倍率を得るためには望遠鏡が必須になります。

この高倍率というのが曲者で、ある程度しっかりと機材の選定をして、セッティングもきちんと行わないと対象を導入できませんし、もし導入できたとしても綺麗に見えません。
デジカメなどは時代とともにすごく進化していますが、天体望遠鏡は大きく・重く・調整箇所が多く・使いこなすのにユーザーの工夫とお金が必要になる機材です。。。。(使わないときのかさばり方も。。よほど好きでないと使用することも管理することも大変な世界だと感じています。(私など序の口の手前))


では、惑星観望を行う上での留意事項を記載します。

1.架台部分
(高倍率に耐えうる)しっかりとした三脚、架台剛性、少しずつ望遠鏡を動かせる微動装置など、高倍率での観望でストレスにならない丈夫で操作性の良い架台が必要。

2.望遠鏡本体
高倍率での観望に耐えうる設計(レンズや主鏡の精度、焦点距離・F値など)、フォーカス部分の精度(ガタツキが無く剛性が高い構造)

3.接眼レンズ
希望する倍率が得られる焦点距離の接眼レンズ、精度

4.プラネタリウムソフトなど現在の惑星位置を確認できる環境を用意
惑星、月などは星座早見盤や星図には掲載されていません。
天体は赤経、赤緯という座標で位置を記録していますが、惑星は太陽の周りを、月は地球の周りを周りながら太陽の周りを回っているため赤経、赤緯の座標で表せません。
現在はプラネタリウムソフトで簡単に現在の位置を計算できますので、使いやすいプラネタリウムソフトを揃えておきましょう。

5.星があまり瞬かない(大気の状態が良い)
惑星など高倍率観望の場合は大気の状態が落ち着いている必要があります。(大気が落ち着いていないと高倍率の観望ではボケて対象が見えます。)
星を見て瞬きが少なければ観望に適しています。
尚、他の天体と比べて空の暗さに対してはそれほどシビアではありません。(月明かりがあっても大丈夫)
しかし、上空の気流は大事な要素になりますので、星を見て瞬きが少ない時を選びましょう。


まずは本体(架台、望遠鏡)が快適に高倍率で観望できるものでないといけません。
実はこの条件を満たしている入門機が非常に少ないのが現状です。
ホームセンターなどで売っている1〜2万の入門機は高倍率をうたっていても、架台強度、望遠鏡の精度、フォーカス部分の精度などの条件を満たしているものがほぼないといっていい状態です。

この記事にも記載しましたが、高倍率だと視野角も非常に狭くなります。
その上望遠鏡は高倍率にも耐えうるように対物レンズや主鏡の枚数が少なく、焦点を直接接眼レンズで拡大するため上下左右が反対に見えます。

そのためファインダーと呼ばれる小さな視野の広い望遠鏡がついており、ファインダーを見ながら対象を導入するのですが、そのファインダーも上下左右が反対に見えるものがほとんどです

なので、明るいうちにファインダーを調整して望遠鏡の見える位置と揃える必要があります。
土星や木星は明るいのでまだファインダーで探しやすいですが、上記を踏まえて操作にコツが必要になることを覚えておいてください。

一部の販売店でこれらの状況に対応した入門機もあります。

しかし、高倍率での観望用途で今後の発展性も考慮すると、手動経緯台の望遠鏡セットで4〜5万、赤道儀や電動架台であれば10万円以上のセットが入門機と考えるのが無難かと思います。

望遠鏡の倍率は望遠鏡の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離になりますが、分解能・集光力は対物レンズ・主鏡の口径で決まります。
(だいたい対物レンズ・主鏡の口径(単位はセンチ)の10倍〜20倍が無理の無い最高倍率と言われています。)

先程の計算式ですと望遠鏡の倍率を上げるためには接眼レンズの焦点距離が短い方が有利なことがわかると思いますが、あまり短い焦点距離の接眼レンズは非常に見づらくなります。
なので、だいたい5〜6mmを接眼レンズの上限(できれば8mmくらい)として考えて希望する倍率を出せる望遠鏡を選ぶと良いです。
(例:接眼レンズ5mmで100倍の倍率を得るためには、焦点距離は500mm必要になります。200倍だと1000mm)

と、このように高倍率観望はいきなり敷居が上がります。
写真まで撮影しようと思うと電動追尾をする経緯台か電動追尾する赤道儀が必須になります。(最低15万以上プラスカメラと考えてください。)

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上の写真は以前私が口径235mm・焦点距離2350mmのシュミットカセグレン式反射望遠鏡を自動導入赤道儀に載せて追尾しながらカメラで動画撮影したものになります。
動画からフレームを取り出し、スタッキングと呼ばれる処理をして画像を仕上げます。

赤道儀は小型、望遠鏡は中型サイズの分類になりますが、総重量30キロ以上ありますのでそんなに気軽とは言えません。

最初は観望会や、天文台などで見せてもらうのが良いかもしれませんが、自身で環境を作って観望・撮影などを行うのでしたら上記を踏まえて準備をしてのぞんでください。

以下に入門用としておすすめできそうなものをいくつか掲載しますので検討の一助としてお役立てください。

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手動経緯台・屈折望遠鏡セット(アクロマート):扱いなど無難なセットです。8cmくらいの対物レンズで焦点距離を無理していないとそこそこ惑星も楽しめます。写真などは難しい。その他の使いみちとしては大型双眼鏡の載せ替えなどになります。


ビクセン ポルタII ED80Sf

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感想(0件)



手動経緯台・屈折望遠鏡セット(アポクロマート):後々写真撮影したくなったときに望遠鏡が撮影用に使えます。(架台は電動赤道儀が必要です。)


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自動導入経緯台・反射望遠鏡セット(マクストフカセグレン):入門用だとこれが一番おすすめ、コスパ最高。経緯台ですが自動導入で追尾までしますので惑星の撮影は可能です。(斜めにして赤道儀として使っている方も)
望遠鏡のF値が長いので、低倍率用途には向きません。(双眼鏡と載せ替え)


あとは、サイズが非常に大きくなりますが、置く場所があって観望(プラススマホ撮影程度)に特化させるならSky Watcherの自動導入ドブソニアンなどもコスパが高いと思います。
但し、反射望遠鏡なので光軸調整などは必要になります。


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余談:自動導入赤道儀・反射望遠鏡セット(シュミットカセグレン):私のセットです。中級向けくらい
※反射望遠鏡はマクストフカセグレンタイプを除いて光軸調整など初心者向きでない調整が必要になります。
調整を頑張れるなら屈折望遠鏡と比較して廉価で口径が大きいタイプを選べます。(その分架台も大きいものが必要になりますが。。。)
架台を日本製の自動導入赤道儀にするとプラス10〜30万以上かかります。

惑星を綺麗に見ようと思うといろいろな意味でけっこう大変です。。。
しかし、見えたときにはかなり嬉しい対象なので上記を確認して取り組んでみてください。



星空を観望・撮影する際の注意事項を記載します。(現地への持ち物はこちらこちらを)

注意する方向性は大きく分けて2方向です。

星を見る・撮影をするための注意事項と観望場所で過ごすための注意事項になります。

星明りは非常に暗いものです。意識して見るための準備を行わないといつまでたってもきちんと見ることができなくなりますので注意や準備が必要になります。

それとは別に、星空を観望・撮影するために自宅以外の別の場所に行く際に準備や注意が必要になります。
キャンプ場など設備の整ったところもありますが、屋外(しかも暗闇)で過ごすには準備をしておかないと危険なこともありますので、ご確認ください。


星を見に行く際の注意事項
観望地は山奥や海岸など街明かりが無いところを探す方が多いと思います。
そのような場所では自宅の庭などとは異なり、かなりの自由度がなくなることがあります。
どのようなことに注意が必要かを記載します。

1.防寒・防虫対策を
標高が100メートル上がると気温が約0.6度下がります。山などに行く際は夏であっても防寒対策を行ってください。
屋外で見晴らしのいい場所の場合、風が吹くと体感温度が更に下がります。
植物などが多いところでは夜露もかなりあります。
現地で数枚重ね着ができるよう準備しておきましょう。(厚手で風を通さない衣類が適しています。)
足元にはキャンプ用の銀マットなどを用意しておくと冷えません。
夏場であっても、充分な対策をしてください。

同様に虫の被害に会わないための注意、刺された場合のケアの対策も必要です。
防虫スプレーや蚊取り線香などの防虫用品や、虫に刺された場合の炎症を止める薬、バンドエイドなど準備しておきましょう。


2.トイレの有無の確認
近くにトイレがあるかも前もって確認しておきましょう。
見過ごされがちな項目ですが、山奥や、海沿いなどなかなかトイレ(コンビニなども)がありません。
気温が下がるとトイレが近くなりますので、トイレの有無の確認は必須事項になります。
万が一に備えて携帯トイレやトイレットペーパーも準備しておくと安心です。


3.水と食料の準備を
屋外での行動(しかも気温が低い)は想像以上に体力を消耗します。
携帯できる食料品や、温かい飲み物などを準備しておきましょう。
温かい飲み物は体を温める効果もあります。


4.携帯電話の電波確認
電波が全く届かないところだと万が一の場合の連絡ができません。
もし、観望場所が電波が来ていないところであれば撮影など長時間の滞在は避けましょう。


5.野生動物
山奥などにいくと想像以上に野生動物と遭遇します。
食べ物を出しっぱなしにしておくのは避けましょう。
野生動物は警戒心が強いのでまず人間には近づいてきませんが、鳴き声などが近くで聞こえた場合はまずは車内など安全な場所に移動して様子を見てください。機材より身の安全を優先しましょう。


6.公共のマナーを守りましょう
観望地が自分の土地で無い場合は、注意してください。
立ち入り禁止区域に入らない、騒がない(騒音を出さない)、長時間同じ場所に居座らない、ゴミは持ち帰る、車のエンジンをつけっぱなしにしないなどは最低限のマナーとして心がけましょう。
これらのマナーが悪いとその場所への立ち入りが禁止されたり、通報されたりする場合があります。
自分だけではなく、他の方にも迷惑がかかる可能性がありますので充分に注意してください。



観望・撮影の際の注意事項
せっかく観望地にいっても、観望、撮影に必要な情報を把握しておかないと楽しみが半減してしまったり、うまく観望・撮影ができなくなってしまいます。
観望・撮影の際に注意する項目を記載します。


1.街灯の有無の確認
どんなに暗い場所にいっても街灯の光が目に入るとたちまち星は見えなくなります。
街灯の光が届かない場所=真っ暗な場所 を探しましょう。


2.現地の天気、月の出入りの確認
山や海は天候が変わりやすいものです。特に星空観望・撮影では雲が出てしまうとNGなので、事前に現地の雲の状況を調べておきましょう。
上記街灯と同様に月が出るとたちまち星は見えなくなります。
こちらは事前に調べることが出来ますので観望地に行く際は月が出ていない時間を狙いましょう。


3.最低5分は暗闇に目を慣らす
人間の目は暗順応(暗闇で目が見えるようになる)するまでだいたい5〜10分かかります。
観望や撮影の準備が終わったらライトを全て消して最低5分間くらいは目が暗順応するまで待ちましょう。


4.観望・撮影前は赤い光の暗いライトで
せっかく目が暗順応してもライトをつけたりすると再度暗順応のやり直しになります。
星図などを見たい場合や、捜し物がある場合は赤い光の暗いライトと使用しましょう。
(スマホアプリにもあります。)
赤い光は人間の目には優しいですが、カメラの撮像素子には関係ありません。
撮影を開始する前にライトは全て消灯しましょう。(自分のライトです。他の人のライトが入った場合は再度撮り直しましょう。間違っても文句を言ったりしないようにしましょう


5.スマホのバックライトは最小で
星を見るような環境では想像以上にスマホのバックライトが眩しく見えます。
バックライトの設定を最小値にしておきましょう。
それでも眩しく感じる場合は赤いフィルムなどを貼っておくのも手です。

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観望地に行く前に準備しておきましょう。


6.観望・撮影時は他の人に迷惑をかけないように
上記の公共のマナー同様ですが、観望・撮影という行為自体が機材を広げて居座りを行う行動であることを自覚しましょう。他の人の迷惑になるような行為を慎む必要があります。
騒がない(騒音を出さない)、他の人の邪魔になるようなら撤収、ゴミを散らかさない、そして間違っても自分の撮影の邪魔になるなどの注意をしないなどを心がけてトラブルの原因を作らないようにしましょう。


以上星空観望・撮影での注意点を記載しました。
街明かりが年々増加して、綺麗な星空を見ることができる場所は少なくなってしまいました。
星がよく見える観望地は山奥、市街地から外れた海岸など自宅で星空観望・撮影を行うより気をつけることが増えます。
冷静に考えれば当たり前のことばかりですが、現地でのトラブルはだいたい上記の準備不足や認識不足からくることが多いと感じます。
自宅で観望・撮影をして慣れてから観望地を探しても良いでしょうし、各地で行われている星空観望会に参加するのも良いでしょう。いずれにしても上記注意点の認識は必要になります。
ご自身で観望地を探し、楽しむ場合の多くは公共の場を利用することになるかと思います。その場合は特に自身が迷惑行為に該当しないような配慮が必要になるかと思います。

記載しませんでしたが、恐喝・強盗を行う輩の存在も意識する必要があります。

星空観望・撮影は夜の屋外での行動になりますので一定の注意は必要です。上記留意して楽しく安全に星空観望・撮影をしていただけると幸いです。


今年の夏は天候に恵まれず雨や曇りばかりでした。
気がつけば季節は秋。。

秋の夜空を楽しむ方向に気持ちを切り替えましょう。

さて、夏は数回に分けておすすめの観望ポイントなどを記載しましたが、秋の夜空はどうでしょうか。
南の空に関しては1等星がひとつだけ(フォーマルハウト)というなんとも淋しげな夜空になります。

しかし、実は秋は晴れてさえいればかなり観望を楽しめる季節でもあります。
暗い対象が多いため、ぜひとも空の暗い観望地を見つけて楽しんでください。(秋ともなると夜はとても冷えます。防寒対策もしっかりと行ってください。)


おすすめ観望対象その1 月
中秋の名月と呼ばれるように秋は月が非常に綺麗に見える季節です。
月は眼視、双眼鏡、望遠鏡いずれにおいても楽しめる対象です。
団子とともにのんびり月見というのもオツなものです。

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月は観望、撮影いずれも楽しめる対象です。


おすすめ観望対象その2 はくちょう座〜ケフィウス座〜カシオペア座〜ペルセウス座あたりまでの天の川と星雲・星団、星群
この記事に掲載した星景写真の辺りは双眼鏡で観望するととてもきれいな星域になります。
一帯に天の川があり、星雲・星団、星群の宝庫となっています。
暗い場所で双眼鏡で観望すれば、見る対象を決めなくても充分に楽しめるほど多くの星群、星雲、星団を眺めることができます。おすすめははくちょう座サドル付近の星群、デネブ付近の北アメリカ星雲、M39、ケフェウス座近辺の星群、M52、カシオペア座ルクバー付近のM103、NGC654、NGC663、NGC659が一望できる星群、ペルセウス座二重星団、ミルファク付近の星群(C39)などでしょうか、非常に見応えがあります。

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はくちょう座とカシオペア座を見つけると探しやすくなります。プラネタリウムソフトで確認してみましょう。


おすすめ観望対象その3 土星(今年は)
惑星は年ごとに見える場所が変わりますが、今年の秋は土星が見えます。
秋は夏同様気流が安定することが多いので、望遠鏡をお持ちの方はぜひ観望してみましょう。
土星は撮影対象としても楽しめます。頑張って撮影に挑戦してみるのもいいかもしれません。

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土星は毎年輪の幅が異なります。気流が安定していればカッシーニの隙間が見えるかも


おすすめ観望対象その3 流星
この記事に掲載されているように実は流星は年中飛んでいます。秋にも小規模ですが流星群があります。(過去のしし座流星群はすごかったようですが。。)のんびり観望できるときにはいくつか流星を確認できるでしょう。
(経験上、秋は火球を見ることが多いです。)


おすすめ観望対象その4 アンドロメダ銀河
写真を撮影する方はアンドロメダ銀河を狙ってみましょう。月の4倍もの大きさがあるお隣さんの銀河ですが、眼視ではあまり面白くありません。しかし、写真撮影であればかなり満足できる対象になります。
銀河など暗い対象はガイド撮影と呼ばれる撮影方法が必須になりますので機材も本格的になります。
秋の夜長に本格的な撮影方法にチャレンジするのも楽しいかもしれません。



おすすめ観望対象その5 深夜まで粘って冬の夜空を楽しむ
この記事に掲載していますが、秋は冬ほど寒さも厳しくないため夜中まで頑張って冬の観望対象を楽しむのに適しています。冬はオリオン座の脇に天の川(夏と比較して薄いですが)が広がり、さまざまな観望対象があります。夜更かしができる日であれば、冬の観望対象を先取りして楽しんでしまいましょう。

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深夜2〜3時ころの南東の空のシミュレーション、水色文字部分が星雲・星団・銀河になります。


秋の夜空の楽しみ方をご紹介しましたが、南天の地味さとは裏腹に結構幅広く観望が楽しめる季節です。
くれぐれも防寒対策をしっかりとして澄んだ秋の空を楽しんでみてください。

今年(2019)は天気の悪い日が多かったのですが、晩秋あたりから天候が持ち直してきた感じです。

秋の夜空の記事を書いたと思ったらもう冬・・・
一年が流れるのは早いものです。

冬は夜も長く空気も澄んでいるので実は観望には最適の季節です。
しかし、気温が低いため徹底した防寒対策が必要になります。

空気は澄んでいますが、上空と地表の温度差が高いため気流が悪く、惑星など高倍率での観望にはあまり適していません。
低倍率の観望や、撮影などは見どころも多いため楽しめるでしょう。
(バッテリーの持ちが著しく悪くなりますが。。)


冬の観望で覚えておいてほしいこと(見どころ探しのコツ、観望対策など)

0243.jpg

上図の水色文字が星雲・星団になります。
南東から北西にかけて星雲・星団が集中しているのがわかるかと思います。
この部分が冬の天の川となります。
天の川付近は星雲・星団が密集していますので、双眼鏡などで夏同様天の川を流すように見ていくと効率的に星群、星雲、星団などを観望ができます。

観望中の注意点としてはとにかく防寒です。
保温性の高いインナーウェア、風の影響を防ぐレインウェア、手足の防寒など、徹底した防寒対策を行ってください。
地表からの寒気はダンボールやウレタンマットを足元にひくだけでもかなり効果があります。
星が綺麗に見える場所=寒い場所です。
せっかく空が綺麗でも、防寒対策ができていないと観望どころではなくなります。
天体観望に適したウェアは釣具屋、ワークマンなどで探しましょう。


おすすめの観望対象その1 東〜南東にかけての星雲・星団群(オリオン座・牡牛座・ぎょしゃ座・いっかくじゅう座付近)
冬の星空銀座と呼ぶにふさわしい賑やかな場所です。
下図を参照しながらご説明します。

0242.jpg
(2019.12.15 21時の空をシミュレーション)

まずは最も探しやすいオリオン座を見つけましょう。
双眼鏡でみると真ん中の三ツ星自体が星群のように微細な星々が集まっています。
目では確認できませんが、左側のアルタニク付近に有名な馬頭星雲と燃える木があります。
写真のようには見えませんが、双眼鏡では多数の星が煌めいて見えます。

三ツ星の下に小三つ星があります。
真ん中には有名なオリオン星雲があります。
これは双眼鏡でも見ることができます。

オリオン座の星々を楽しんだらベテルギウスからたどってバラ星雲、クリスマスツリー星団などを楽しんでみましょう。
バラ星雲も写真のようには見えませんが、散開星団のように星の密集地帯として観望できます。
クリスマスツリー星団はその名の通り、クリスマスツリーのような形に見えます。

次は少し見上げて牡牛座の1等星アルデバランを探してみましょう。この付近は双眼鏡向けのヒアデス星団があります。

更に見上げるとプレアデス星団(スバル)があります。

いずれも双眼鏡や、小さな望遠鏡でも楽しむことができる対象です。


更に東側を見ると、ひときわ明るい黄金色の星があります。
これがぎょしゃ座のカペラになります。

カペラを見つけたら周辺の明るい星で5角形が作れるのがわかると思います。
これがぎょしゃ座になります。

ぎょしゃ座を見つけたら5角形の中を双眼鏡で覗いてみましょう。
M36、37、曲玉星雲などを見ることができます。

実はこのあたりは天の川になり、他にもいくつか星団があります。

ぎょしゃ座の少し下にはM35があります。

慣れてくるとこのあたりをグルっと短時間で観望できます。


ちょっと長くなりましたね。。
続きは次回にしましょう。



前回の記事では南東〜天頂付近の対象を紹介しました。

今回は天頂から北西にかけて、及び天体現象などを紹介します。

おすすめの観望対象その2(前回から連番) 北東〜北西にかけての星雲・星団群(ペルセウス座〜カシオペア座〜ケフェウス座付近)

この領域は秋におすすめしたところと重複しますが、カシオペア座がより高く登っており空気も澄んでいるので、微恒星が更に綺麗に見えることが多くなり楽しめます。



0245.jpg

まずは前回記載したぎょしゃ座のカペラからカシオペア座にかけて双眼鏡を流すように見ていきます。
中間あたりにペルセウス座のミルファクがあります。
この星の周辺は非常に多くの星が散りばめられた領域になります。(星群と呼んでいますが正式には大きな散開星団です。(Mel20))
小さな双眼鏡でも充分に楽しめる対象です。

ミルファクからカシオペア座に向かう途中に有名な二重星団があります。
カシオペア座のルクパー(角度の浅い方のW字の頂点の星)とミルファクを直線的に結んでいくと見つけることができます。(Wの浅い方の直線を約1.5倍位伸ばしたところにあります。)

ルクバー付近にはたくさんの散開星団がまとまっています。(M103、NGC659、NGC663、NGC654)
どれも淡い対象ですが、空の状態が良ければ密集した数多くの微光星を楽しむことができます。

カシオペア座のカフ(角度がきつい方のWの始点の星)の隣にはNGC7789(またはMel245)があります。

上記いずれも散開星団ですが、無数の微光星が散りばめられた散開星団は双眼鏡や低倍率の観望では非常に楽しめる対象だと思います。

カシオペア座のカフからケフェウス座に向けて視点を動かすとM52が見えます。

ケフェウス座は星座としては地味ですが、カシオペア座同様天の川の中に星座がありますので双眼鏡などで見ると無数の微光星が密集しています。


おすすめの観望対象その3 流星群

12月中旬には双子座流星群(2019年の極大12月15日午前4時ころ)、1月初旬にはしぶんぎ座流星群(2020年の極大1月4日午後11時ころ)があります。
どちらも三大流星群に数えられる流星群になります。

流星群観望のコツはとにかく暗いところに行き広い範囲をぼーっと見る(笑)ことです。
しぶんぎ座流星群はなかなか良い条件で見ることができそうです。

冬と夏は天頂付近に天の川が登ります。
冬の天の川はしっぽの部分なので淡いですが、1等星の数も多く空も夏より澄んで暗いため観望には最適な環境です(寒さを除けば。。)

三大流星群も2つもあり、見どころがたくさんあります。(ここに書ききれなかった対象も多数あります。)
徹底した防寒対策をして冬の夜空をお楽しみください。


星占いの好きな方であれば、占いで使用される黄道12星座を全てご存知かもしれません。

生まれ月に応じて星座があり、占いの内容が記載されています。

この12星座ってどのような基準で選ばれたのでしょうか。

私はサソリ座の男ですが、サソリ座を夜空で綺麗に眺めることができるのは夏(7〜8月)です。
しかし、星座占いではサソリ座は10/24~11/21生まれの方になっていますよね。

7〜8月に見える星座なのになぜ?と感じる方もいるかもしれません。

12星座の選択方法、生まれ月の星座の秘密はタイトルに記載した"黄道"というワードが重要になります。

黄道とは地球上で見て太陽が移動する道(円状)となります。
星座占いは実は夜に見える空を中心にして選んだのではなく、地球上から見た星座と太陽の軌道上の関係性で選ばれているのです。

プラネタリウムソフトなどお持ちでしたら、黄道線を表示してみてください。
そうすると黄道線上にいくつかの星座が存在していると思います。
これが黄道12星座になります。

黄道12星座の多くの星座は1等星などがあり、星座としても探しやすいですが、蟹座のように非常に暗い星ばかりの星座(失礼)も星座占いに登場するのはこの黄道線上に星座が位置しているためです。

ほとんどの方が知っている有名なオリオン座や、北斗七星があるおおぐま座が星座占いに該当していないのも、星座が黄道線上に位置していないためです。

では、生まれ月との対応はどのようにして決められたのでしょう。

実はこれも太陽(黄道)が関係しています。

太陽が南中しているとき、重なるように位置している星座が生まれ月になっているのです。

私の生まれ月のサソリ座を例にしてみると、サソリ座は星空で観望に適しているのは夏ですが、太陽が南中しているときに重なるように見えている(実際は昼なので見えませんが)のが10/24~11/21になるということです。

これもプラネタリウムソフトがあれば簡単にシミュレーションできます。
星座なのに太陽が関係しているって意外ですよね。

しかも、この関係性を作った昔の人はそれを計算で割り出しているのです。
そう考えてみると星座占いというのも神話などの文学的な要素だけではなく、天文学に密接したものであることがわかると思います。

星空のことをおぼえるきっかけとしてご自身の生まれ月の星座からスタートするのも面白いと思います。

星座には対応するギリシャ神話もありますし、星座そのものを星空から探したり、星座を構成する星以外にも近接して星雲や星団などがいくつか存在します。

黄道12星座は黄道線上に並んでいますので、自分の生まれ月前後の星座も同時に見ることができます。
慣れてくれば、12星座から関連づけて他の星座も探すことができますし、双眼鏡や望遠鏡で対象を探すときの基準として星座を利用できるようになります。

今ではプラネタリウムソフトで簡単に季節、時刻で見える空のシミュレーションもできます。
星座の本や、星座を扱ったサイトも多数ありますのでそれらをうまく活用しながらご自身の星空観望のスタイルを見つけてみてください。



星や宇宙に興味があって、これから少し観望などを始めようという方にとって難関になるのは以下になります。

・都会にお住まいの方は星座すら見えないことが多い。
・実際の空では空が広すぎて星図で見たときのように位置を把握できない。
・観望するための機材(望遠鏡など)を何を選んだらいいのかわからない。


など、わからないことや、目的の星や対象を探すのが困難で尻込みしてしまう状況が多いかもしれません。

しかし、簡単な方法で驚くほど簡単に星空を見て星座や明るい星雲、星団を見つけられる方法があります。
少し準備するものもありますが、表題の通り3つの項目をクリアするだけで驚くほど星や星雲・星団の位置関係を把握することができますのでご確認ください。

1.スマホ(できればGPS機能が内蔵されたもの)にプラネタリウムソフトを入れる
天文系の書籍やネットなどでの情報も多数ありますが、その多くが一部の対象をクローズアップして紹介していることが多く、これから星を眺めてみたいという方にとってはそれがどこにあるのかがわからない状況になりがちです。
今から星空観望を始めるのでしたら、スマホのプラネタリウムソフトを操作することから始めるのが一番の早道になると感じます。

GPS機能がついていればスマホをかざせば方角にあわせて星図が動きますし、星座線を出すことも簡単です。
更には拡大縮小もできるので細かな部分をより詳細に調べることも出来ます。
更にスマホには星空観望に便利なライト機能やコンパス機能も使えますので、観望に必要な多くのものがこれ一台で完結します。

ネットや書籍の情報もスマホのプラネタリウムソフトと照らし合わせながら確認すれば星空のどのあたりの情報なのかを容易に把握出来ます。
無料で入手できるものもありますし、有料のソフトもあります。
有料と言っても数百円のものがほとんどですので、いくつかインストールして使いやすいものをメインに使うといいでしょう。

私がおすすめするのは
・Star Walk
・SkySafariPlus


の2つです。
どちらも有料ですが、非常に優秀なソフトで今後双眼鏡や望遠鏡を購入したときにも役立ちます。
SkySafariPlusに関してはこのサイトでも紹介記事を記載していますので、参考にしてください。

他に星空の知識を得るのに役立つソフトとして
・88星座図鑑
・星どこナビ


があると便利です。こちらは2つとも無料です。
プラネタリウムソフトを中心にしてネットや本の情報と照らし合わせたり、実際の星空でかざしながら確認すれば、星空のスケール感に早く慣れることが出来ます。

SkySafariPlusなどは拡大していけば星雲や星団を多数写真で見ることも出来ますし、双眼鏡や望遠鏡の視野をシミュレーションできるのでそれらの機材を購入したときにも便利です。

2.その季節に見える星座占いの星座とカシオペア座、北斗七星をおぼえる。
星座占いに使われる星座は黄道上にあるため、南の空で確認ができるものです。
対して、カシオペア座、北斗七星は北極付近にあり、季節・時間帯でどちらかを必ず見ることが出来ます。
カシオペア座、北斗七星のいずれかを探せるようになれば、空の北の位置を把握できます。黄道12星座でその季節に見えるものは、南側に見えますのでカシオペア、北斗七星の反対を向いて探せば良いことになります。
北と南の位置関係が把握できれば他の星座も驚くほど簡単に探せるようになります。
星座は全部で88もありますが、カシオペアor北斗七星とその季節の星座占いに使われる星座をおぼえるだけなら2〜3星座をおぼえるだけで済みます。
南北の星の位置関係を把握すれば天頂、東、西と位置関係を繋いでいくことで他の星座も探せるようになります。

3.星座望遠鏡を使う
都会の空などで2等星くらいしか見えないとカシオペア座、北斗七星くらいはなんとかわかったとしても、季節の星占いの星座がわからない場合があります。
そのようなときには星座望遠鏡と呼ばれる製品を使用すると便利です。

スコープテック × ヒノデ 星座望遠鏡

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もともとこの製品は天文マニアが天の川を観るときにデジカメのテレコンバージョンレンズと呼ばれるものを利用すると良く見えることから一部で人気が出たものですが、視野が非常に広く、星座が一望できるのでむしろ初心者の方が星座探しをするのに適しています。
(天の川が見えるような空なら、視界いっぱいに星が広がります。)

これを使うと2等星くらいしか見えない空でも4等星くらいまで確認できるようになるので星座を確認しやすくなります。

このような観望の補助として使える機材はメガネをかけている方が星を見るときにも役立てることができます。
私も両目タイプのものを使用していますが、都会などでは面白いほど星座の形を確認しやすくなりますのでなかなか便利です。

最初から望遠鏡などをと考えると敷居が上がりますし、星空の位置関係がつかめていない場合は操作以前に確実に迷子になります。
上記の3つをおぼえたり、揃えておけば非常に早く星空のスケール感を把握できますし、そこから星雲・星団など見たい対象を関連付けながらおぼえていけば星空で迷子になりづらくなります。

私は初期のころ、望遠鏡を買ってから本などを見ながら諸々覚えましたが、星空のスケール感や、目的の対象を探すのに苦労しました。
上記の方法はこの趣味を続けながら体験的に得られた知識になります。

自分自身最初の頃にこういう情報を知っていればもっと簡単だったのに。。と感じていたので記事にまとめました。
これから星空観望を始める方の一助になれば幸いです。
私のブログでも何回か扱ったテーマになります。
(これから始めようという方向けの記事としてはヘビーですが、とても重要なことと感じてます。。)

・見たい対象の探し方
・星空で迷子にならない3つの方法
・見たい対象で適した機材が異なる(その1)
・見たい対象で適した機材が異なる(その2)
・観望支援機器の必要性
・可動式目盛環とデジタル角度計を用いた導入支援装置
・Ardiunoを使用したDigital Setting Circlesその1
・Ardiunoを使用したDigital Setting Circlesその2

なかなかの記事数です(笑
なんでこんなに記載しているのかというと、答えは簡単で目に見えない天体を望遠鏡(特に入門機)などの視野に入れるのが非常に大変な作業になるからです。

最近でこそようやく廉価な入門機(とは言っても架台だけで3万円以上しますが。。)でも自動導入機器が出てきましたが、天体機器の多くが以下の状況で販売されています。

・天体を導入するためにもっとも基本となるファインダーがプア(入門機など廉価になるほど)
・そのファインダーも天体望遠鏡同様上下左右が反転して見えるので扱いづらい。
・赤道儀や経緯台の目盛りが省かれた商品が多い
・星雲や銀河などの写真がやたらと使われていてその機種でそのように見えるかのように誤解される広告が多い(誇大広告)
・その機材には適さないような倍率の高さを宣伝に用いているものもある(誇大広告)

・光学性能ばかり記載してあり(しかも実測値ではない計算値)使い方などがあまり情報にない(偏重広告)

天文業界って昔からその傾向があるのですが、やたらと銀河や星雲などを宣伝に用いる誇大広告(実際に販売している機器ではそのように見えない)や、機器の光学性能のアピールばかりが目につく偏重広告が多い状況です。

まあ、光学メーカーですから自社の製品の光学性能をアピールしたい気持ちはわかりますが、誇大広告的なアプローチはいただけません。(偏重広告も、購入希望者はそれらの情報を基に検討することになりますので。。)

それと、もう一つ重要な点として、機器の光学性能同様に重要な操作性などが、他の業界の商品に比べかなり劣っている傾向があります。(特に入門機)

特に、宣伝で使われているような銀河や星雲などは、望遠鏡の視野に導入することが困難(小さい、暗い、目に見えないものも多い)なのに、これだけテクノロジーが進んでいるのに視野に導入を補助する機器はプアなファインダーのみ、(特に入門機)コストダウンのため、観測機器として重要な役割を果たす目盛りなども省かれているものばかりです。

天体は星図などで位置が座標化されていますが、地球の日周運動で地上から見える位置は刻々と変化します。
(24時間で360度移動しますよね、例えば100倍の望遠鏡で見れば100倍の速度で天体が動くわけです。)
以前だと、目に見えないような天体は星図を頼りに座標を確認し、計算で地上座標を割り出さないと位置を確認できませんでした。

それだけ目に見えない天体を望遠鏡などの狭い視野に導入するのは非常に大変な作業だったのです。

ここまで書くと、現状での製品の矛盾が見えてきますよね。
一部をのぞいて、入門機として販売している製品の多くが、光学性能に偏重された情報や、項目によっては誇大情報も利用して販売する傾向が高い製品なのです。そして観測機器として重要な天体を導入する機構や情報が大幅に省かれたものが製品として販売されている状態に感じます。(廉価な入門機ほど顕著です)

広告写真に掲載されたイメージの天体を探し当てられたら困るからこのような仕様にしているのか?と、勘ぐりたくなるほど(笑)観測機器として天体を導入する機構が弱い。。。

極論すると安い商品はマップ情報がないカーナビのような状態(笑)で、不足部分をユーザーに委ねるような状態に近いです。(いくら安くてもカーナビにマップ入ってなかったら怒りますよね(笑)あと、反対側に動くマウスとか(笑))

となると、それらの機器を使って星空を楽しむためには現状ではユーザー側にも工夫が必要になります。

現在であれば、スマホやPCのプラネタリウムソフトを使用すれば簡単に天体の地上座標(方位、高度)を計算してくれます。
GPS付きのスマホであれば空にかざせば大まかにその位置に見える天体を表示してくれます。
双眼鏡くらいの視野であればスマホ片手に探せばさほど苦労せずに視野に導入できます。
(双眼鏡に適した天体も多数あります。)
現在の地上座標(方位、高度)がわかれば、架台に目盛りをつければ天体を導入することも可能です。(上の自作記事に製作例があります。)

スマホにプラネタリウムソフトを入れることでかなり可能性が拡がってきます。
これから天体観望や天体写真に挑戦したい方はスマホやPCなどのデジタル機器を味方につけて望んでほしいと思います。

天体観望や天体写真は初心者だけど電子工作などは得意という方は、現状で不足するデバイス(導入支援装置)を作ってしまっても良いかもしれません。
日本では使用者が少ないですが、海外ではDSC(デジタルセッティングサークル)と呼ばれる機器を天体機器に後付けして天体導入をしている方も多数います。

幸いなことに、最近では海外製品でスマホなどと連携して天体を導入してくれる廉価な機器も登場してきています。

PCが得意な方であれば自動導入機器とPCを連携してPLATE SOLVER機能を使えるようにすれば、完璧に見えない天体も導入できます。
(設定などが少し面倒な部分もありますが、観望や撮影初心者ほどPLATE SOLVER機能は有用に働くと感じます。)
PLATE SOLVER機能は撮影した写真を基に天体の位置解析をする機能です。

ファインダー位の焦点距離であれば、計算も瞬時に行われます。
しかもRaspberryPiのようなシングルボードコンピュータでも環境を作ることが可能なのです。
(これを利用して電子ファインダーを構築できないか思案中です。技術的には可能ですが、現状私の知識では簡単に操作できる環境を作ることができません。。)

天体観望や天体写真の初心者だとしてもDIYが得意な方、PCが得意な方、電子工作やプログラミングが得意な方にとっては、天体機器関係は非常に工夫や開拓の余地があると感じています。

私も、自身が取り組んだことはブログに掲載していますが、プログラミングなどの知識があればもっといろいろできるのに。。。と感じています。みなさんもぜひ工夫しながら星空を楽しんでください。

そして、面白い使い方や便利な方法がありましたら教えてください。(笑)


追伸
メーカーが量産すれば自作の数分の一の価格でDSCなどは組み込めますし、SOLVERと連動させる機器を架台に内蔵することも可能だと思うんですが、全くそのような気配はありませんね。。
天体観測を謳うのであれば、どんな対象でも観測(導入)できる工夫をしてもらいたいものです。

さらに追伸
以前ユーザーがメーカーか天文関係の偉い方か(うろ覚え)にファインダーが上下左右が反転して見づらいことを訴えたところ”宇宙に上下左右は無いので慣れろ”と答えた人がいたそうです。
そのような屁理屈をこねずにユーザーの声に耳を傾け、使いやすいを魅力的な天体機器を世の中に出してほしいですね。
(我々は地球に住んでいますし、地上をベースに上下左右のある関係性の中で生きています。その方が本を逆さまにして普通に読めるのであればその言葉も許しましょう(屁理屈返し(笑)))



コロナ騒動がなかなか収まりません。

そうこうしているうちにもう春が。。。。
季節の星空の紹介は昨年の夏にスタートしましたのでこれで四季の夜空のご紹介が完了することになります。

おすすめは、と言いたいところですが実は私は花粉症でもっとも外に出るのがつらい季節だったりします。(笑
春の夜空は霞んでいることも多く、中旬以降は梅雨もあり、初心者の方が見やすい対象がそれほど多くもありません。

と、これで終わっては怒られそうです。(笑

ちょっとシミュレーションしてみましょう。
(4月1日午後9時ころの夜空をシミュレーションしています。)

0366.jpg

まずは東側の空を見てみましょう。
春の夜空で一番有名どころの乙女座銀河団が挙げられるかと思います。
銀河の密集地で天体写真撮影で長期露光を行えば多数の銀河を写すここが出来る場所です。

ただ肉眼で観望するとなるとかなり敷居が高いです。
よほど暗い場所で大口径の望遠鏡や双眼鏡で低倍率観望をしてようやく見えるかどうかといった感じです。
満月の四倍の視直径があるアンドロメダ銀河ですら肉眼観望ではしょぼい(笑)のでこれを見て楽しめるのはなかなかのマニアかもしれません。(笑)

その東側に球状星団のM3があります。
かなり大型の球状星団なので双眼鏡でも確認できます。



0367.jpg

では次は南の空を見てみましょう。
ここでの一番のおすすめは散開星団M44です。(通称:カニ味噌(笑))
大きな散開星団なので双眼鏡ではもちろんのこと、目の良い方であれば肉眼でもぼんやりと確認ができます。

大きな対象なのですが、なかなか探すのが大変です。
黄道上にありますが、黄道12星座の中で最も暗く地味な蟹座(失礼)の真ん中にあり、慣れないと探しづらいことこの上ないです。

私は双眼鏡などで観望する場合は、以前に紹介した図形を作る方法で導入します。

しし座の一等星レグルスとこいぬ座のプロキオンをまず見つけます。
そこから上方向に視野を向け平べったい二等辺三角形の頂点を設定します。
この頂点部分に視野を向ければ導入できます。
(他には双子座のポルックスとこいぬ座のプロキオンで二等辺三角形を作っても導入できます。)

見つけることさえできれば大型の散開星団なので、小口径の双眼鏡でも楽しめます。(むしろ双眼鏡向き)

西の方にはきらびやかな冬の夜空が見えますね。。
西側が暗い環境にお住まいの方は去りゆく冬の対象をお楽しみください。


0368.jpg

では最後に北の空を確認しましょう。
おおぐま座の北斗七星付近に有名なM82、81があります。
これも銀河なので肉眼観望ではホントに微かに見える程度です。

おおぐま座付近にはこの他にもM51、M101など写真撮影に向く対象がいくつかあります。

球状星団M13も低空に見えますが、見頃ではないですね。。

肉眼観望の方は梅雨の晴れ間に深夜まで粘って夏の対象を楽しむのもいいですよ。
梅雨の晴れ間だと空も澄んでいますし、夏のように暑さや虫に苦しめられることも少ないです。

四季の最後の締めくくりだというのにサッパリとした記事になりました。(笑)
全ては私の花粉症が原因です。(笑)

当地はまだまだ寒いですが、暖かい地方の方は気晴らしにのんびり星空を観望するのもなかなか良いですよ。
M44をすぐに見つけられるようになったら初心者卒業です。

楽しみながら探してみてください。






書籍やネット、プラネタリウムなどで星空に興味を持った方が、実際に自分で観望や撮影をしてみようとするときに障壁となる項目とその対処方法をご説明します。

目的の対象を探せない、天体機器の扱い方が困難(その上高額)など、星空に興味を持った方が、なかなか趣味にできない理由が他の趣味と比べても多く感じます。

ここでは、そのような方に向けて、現状で対処できる方法をご紹介します。
キーワードとなるのはテクノロジーの活用と不足要素の補填です。

???と感じるかもしれませんが、読み終えた頃には障壁に感じている部分がなんであるのか、自分ならどう対処するのか(なんとかなるかも)を考えるきっかけになるかもしれません。

では始めていきましょう。


●興味を持った対象がどこにあるのかわからない場合の対処法
初心者の方がつまづく一番大きな要素として、星空を見ても何がどこにあるのかがわからないという状況が非常に多いと思います。

理由はいくつかあります。
その理由ごとに対処法も記載します。

★星図の読み方が難しい、天体早見盤では興味を持った対象が載っていないなど
それぞれの天体は地図同様位置情報が登録されています。
星図に記載された赤緯、赤経情報がこれにあたります。(地図でいう住所)

しかし、実際には地球が自転している(東から西に動いていく)こと、見る人のいる場所によって空での見え方が異なる(地球のどの場所で見るかによって見える場所が異なります。)ことから、星図の位置情報だけでは目的の天体を探すことができません。

見ている場所で位置を探すには、自分のいる場所の緯度経度と見る時刻から、方位角(北を基準として360度)、高度(高さ)を計算する必要があります。

こんなことは専門知識がないととても無理です。

そのため、入門用として星図早見盤が発売されていますが、見づらい、情報が少ないなど正直あまり役に立ってくれません。

●対処法
スマホのプラネタリウムアプリを購入することで上記問題を全部解決できます。
ほとんどのスマホにはGPSが内蔵されているため、現在地の緯度経度、日時などを自動的に取得して、現在地でどのように星が見えるかをシミュレーションしてくれます。
モーションセンサーに対応したプラネタリウムアプリも多いので星空にかざせば空の位置に合わせて星図をスクロールしてくれる機能もあります。

検索機能を使用すれば詳細な天体データベースの情報を確認できますし、アプリによっては画像まで見ることができます。

おすすめはこのサイトでも紹介しているSkySafariです。(上記全て対処できます。)
最近日本語化もされましたので、このソフト一本持っておけば入門用から天体機器の制御まで幅広く活用できます。

スマホのプラネタリウムアプリはテクノロジーを簡単にかつ有効に使用できる好例です。

有料のアプリでも本一冊分くらいで購入できますので、星空に興味を持った方はまずこれを揃えることをおすすめします。
(個人的には最も費用対効果が高いと思います。)

★空が明るくて星が見えない
残念ながら現在の日本の都市部では晴れていても二等星まで、良くても三等星が見えるかといった程度になります。
この状態では肉眼では星座の形がわかるものが若干あるだけになります。

このような空では残念ながら星より暗い星雲、星団、銀河などは見ることはできません。

●対処法
こればかりは暗いところまで行くのが一番効果が高いですが、都市部でも観望を助けてくれる道具もあります。

SIGHTRON サイトロンジャパン 星空観測用 オペラグラス Stella Scan 2X40 B400

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上の商品はレンズの大きいオペラグラスのような構造になっています。
もともとはマニアの方がデジカメのテレコンバーターレンズを使用して、暗い夜空で天の川を鑑賞していたのがきっかけですが、視界も広く、二~三等級暗い星まで見えるようになるので都市部での星空観望にも向いています。
(都市部でも星座の形が確認できます。)

このことからも入門者の星空確認用としてかなり利用価値が高いものだと感じます。(私は別のメーカーの同等品と自作したものを所有しています。)

下の商品は口径が30~50mmくらいの低倍率の双眼鏡です。
この程度の口径があると都会でも大型の散開星団や星雲を確認できるようになります。
望遠鏡などと比較するとはるかに視野が広い(7~9度)ので、上記プラネタリウムアプリと併用すると目に見えない対象でも結構見つけることができるようになります。

テクノロジーの活用と不足要素の補填などというと言葉は難しいですが、上記は立派にテクノロジーの活用→プラネタリウムソフト、不足要素の補完→オペラグラスや双眼鏡を利用して肉眼で見えない星を見る。
といずれも入門者の方でも導入しやすい簡単な使い方で利用できます。(コストも)


天体写真や、電視観望などに関しては後日記載します。






その1の記事で、入門者の方が星空を見たり、観望を補助するための道具をご紹介しました。

プラネタリウムアプリで天体情報を探したり、双眼鏡などで観望することで満足する方は上記記事の情報で充分星空を楽しむことができます。

しかし、より暗い対象も見てみたい、写真に収めたいとなると、望遠鏡や大型の双眼鏡、赤道儀や経緯台、カメラといった天体用の機器が必要になってきます。

その1の記事で、入門者が快適に利用するキーワードとなるのはテクノロジーの活用と不足要素の補填と記載しましたが、残念ながら天体機器を使用して観望したり、撮影したりするためには、現在販売されているほとんどの機器は大小の差はあれどテクノロジーの活用と不足要素の補填が欠けています。

現状で不足していると思われる要素を列記します。

・フルオートでの初期セットアップがない(特に赤道儀の場合は難易度が高い)
・フルオートでの対象導入がない(自動導入機でも事前設定が必要、入門機のほとんどは自動導入機構すらない)
・天体機器は上下左右反対に見える(直感的な操作ができない)
・ファインダーと呼ばれる導入支援用の小さな望遠鏡も上下左右反対に見える(直感的な操作ができない、作りもプア)
・撮影・観望とも対象によって適した機材が異なってくる(組み合わせ、準備が非常に大変)
・撮影の場合一つのメーカーでトータルパッケージされた製品がない(必然的にいくつかのメーカーの製品を組み合わせる必要がある。)
・天体用に特化したカメラの場合ドライバやPCアプリの良否により著しく操作感が異なる、市販の一眼デジカメの場合は天体撮影用に利用しやすい機能が少ない。通常のデジカメの場合は天体撮影に向いた機能がほぼない。


正直、他の領域と比較して商品としての完成度(すぐ使える、使いやすい)が劣っていると感じます。

より暗い対象を見たいだけなら実は地域にある天文台が主催する観望会で大型の望遠鏡で見せてもらったり、慶應義塾が公開しているインターネット望遠鏡(無料)を利用するのが一番お手軽です。

地域にある天文台であれば望遠鏡の操作などは解説員の方が行ってくれますので機材の扱いなどまったく気にする必要がありません。
天文台によっては見たい対象をリクエストすれば見せてくれるところもあります。

慶應義塾が公開しているインターネット望遠鏡はアマチュア用の反射望遠鏡と屈折望遠鏡にCCDカメラを装着したものをインターネットからユーザーが操作できるようになっています。
入門者でも扱いやすいように工夫されていますので、用意されたメニューリストの中にご自身が見たい対象があればアマチュアが手に入れることができる望遠鏡で天体がどのように見えるのかの参考になると思います。

インターネット天文台は海外まで探せば有料の非常に高性能なものもあります。
この辺を利用して自分が見たい対象が望遠鏡でどのように見えるか事前確認してみることをおすすめします。

上記はいずれも入門者の方でも見たり操作したりすることができるよう工夫された環境になります。
しかし、ご自身で天体機器を購入して観望や撮影を行うとなるとユーザー自身が不足要素をなんらかの工夫により解決する必要があります。

一つポイントとしてはご自身がどのようなことをしたいのか目的を具体的にすることが解決の早道になります。
天体機器をお店でセット購入すれば全て解決、となればいいのですが実際にはそのようにうまくいくものはありません。

まずいちばん大きな分岐点として撮影をしたいのか、観望をしたいのかで選択する機材が変わってきます。
しかもその大きな二択であっても見たいものや、撮影したいものによって選択が変わってしまいます。

大項目の二つを例に記載します。

●観望の場合
★散開星団や天の川の詳細、微細な星が凝縮された姿を見たい方→大型の双眼鏡、または低倍率(30倍程度)の口径が大きい望遠鏡。架台は経緯台(自動導入や導入支援がついたものがよい)、または赤道儀(自動導入や導入支援がついたものがよい)

★惑星や球状星団、銀河などを見たい方→口径が大きく、高倍率に適した望遠鏡。架台は赤道儀(自動導入や導入支援がついたものがよい)

倍率が高くなるほど目的の対象を導入するのが困難になります。
そのため、導入支援装置や、自動導入機構をもった架台の有無で快適性が大きく異なりますが、いずれの機構もある程度の機器と天文の知識が必要になります。
(残念ながら市販される機器を購入しただけではテクノロジーの活用と不足要素の補填が欠けている状況がほとんどです。)

●対処法
ユーザーの情報収集、自作などご自身が快適に使う上で不足している要素をいかに補うかが重要になります。
低倍率であれば、自作メモリ環+プラネタリウムソフトの利用、または制作難易度はさらに上がりますが、エンコーダーを利用したDigital Setting Circlesの利用も効果的です。

結構高額になりますが、後付けの市販品もあります。

市販品で最も無難なのはこの記事で取り上げた自動導入・エンコーダ付きの架台ですが、いずれも望遠鏡のサイズに制限があります。


いずれにしても入門者の方が、買ってすぐに快適に使える状況に製品がなっていないことを意識してください。

このようなことになっている原因は、趣味人口の少なさと、業界の古い体質(ベテランのユーザーも)にあると感じています。

予想以上に記事が長くなりましたので、撮影環境に関しては後日に記載します。








前回まで二回、天体入門者の障壁となる項目とその対処方法をお伝えしてきました。
今回はいよいよ興味を持つ方が一番多いと思われる撮影について記載していこうと思います。

まず、お伝えしなくてはならないことは
天体撮影は非常に特殊撮影の領域になり、入門者が手軽に試してみるといった環境が整っていないとお考えください。

自転車に例えるなら、ママチャリのようにフルセットで乗れる状態ではなく、ロードバイクを部品から組んでいく状態に近いです。
結果、今の段階では複数の機器の組み合わせや使用方法などをユーザーサイドで準備したり、知識をつけないと撮影が困難な状況です。

撮影ではなく、肉眼で星空を眺めたり、小型の双眼鏡などで観望する場合はスマホの天体アプリが非常に大きな助けになります。


なぜ、このように有効に活用できるのでしょうか。

・スマホに内蔵されたGPS、各種センサーを活用しているためユーザーが意識しなくてもそれらを観望補助として有効に利用ができる。
・肉眼や、手持ちの双眼鏡くらいの視野であればそのセンサー類が示した方向で導入などが容易
・スマホアプリ自体が天体のデータベースでもあるので入門者が学習できる。
・肉眼で見えない対象は双眼鏡などでかなり観望することができる。
・計算すると複雑な天体の現在位置情報を自動で計算し表示、各種センサーを活かし観望支援できる機能(スマホを空にかざせばその方向の天体が見える)がある

私は今までテクノロジーの活用と不足要素の補填が入門者にとってより快適な環境づくりに役立つとお伝えしてきましたが、上記スマホと双眼鏡などライトな観望であればスマホアプリがスマホが持つテクノロジーを有効活用しており、観望の補助として肉眼より更に詳細に見ることができる双眼鏡などで補填ができる環境になっているということです。


現状では、撮影となると多かれ少なかれテクノロジーの活用と不足要素の補填ができない部分があります。

天体写真を取るには幾つか機材が必要になりますのでその項目ごとにご説明します。

天体撮影は対象が夜空の星という非常に暗いものになるため、現状のカメラでは手持ちで撮影することは困難です。
必ず以下の三点の機器をベースに補助となる機材も必要になります。

・長い露光時間でもブレずに撮影できる三脚と架台、より長時間撮影するためには架台部分に地球の自転を追いかける機能が必要。
架台は大きく分けて2種類、経緯台と呼ばれる上下左右に移動ができるもの、赤道儀と呼ばれる北極を軸として地球の自転にそって回転するものがあります。現状では非常に長時間の露光を要するものはモーターや自動導入機能がついた赤道儀が使用されています。(経緯台も使用できるのですが、長時間露光になると追尾しても視野が回転してしまうので視野回転装置が必要になります。(アマチュア用の視野回転装置が現状商品としてありません))
・長い露光時間、様々な焦点距離に対応したカメラ(レンズが付け替えられるも)
・取りたい対象のサイズに合わせたレンズ(写真レンズ、天体望遠鏡など)

現状ではそれらを満たすために様々なメーカーの機器を組み合わせて環境を作っていきます。
天体の対象は非常に暗く、小さいものが多いため、架台にそれらを自動導入できる機能がついたもの、架台の追尾精度では星が点にならず流れてしまうことが多いので詳細に追尾するためにさらにカメラをもう一台設置し、PCなどでリアルタイムに位置を補正する機能(オートガイド)を追加して撮影している方も多くいます。

上記のような理由から通常撮影のようにカメラのオートで撮影できる環境ではありません。
上記機器を組み合わせても全ての領域で自動化されることもありません。どんなに高額な機器を使用しても現状ではユーザー側にセットアップが委ねられる項目が幾つかあります。


現状ではユーザがあらゆる手段を利用して情報収集を行う必要があるものと考えてください。

雑誌だけでなく、ネット、特に海外のサイトなどまで含めて広く情報を集めることをおすすめします。

では、今回のアプローチとなるテクノロジーの活用と不足要素の補填という流れで対処法をご説明します。

テクノロジーの活用という観点ではPC、もしくは現在であればシングルボードコンピュータとそのアプリと自動導入に対応した架台を用いることで以下の要素を自動化、もしくはコントロールできます。

・天体の自動導入
・詳細な位置解析(PlateSolving)
・(PCで制御できるフォーカサーを追加すれば)モニターを確認しながらのフォーカス制御
・カメラの露出時間や撮影枚数の制御
・カメラの制御項目の設定
・(ガイド用のカメラを設置すれば)オートガイド機能

他にも幾つかの制御項目のコントロールや自動化ができる項目がありますが、通常のカメラのようにオートで全て設定してくれる機能は現状ありません。

また、初期のセットアップで緯度・経度、日時情報の取得→同期、架台の初期状態のセット(経緯台であればホームポジション、赤道儀であれば極軸設定+ホームポジション)が必要になります。

その後、アライメントと呼ばれる複数の星を手動で導入、設定を行うことでようやく架台が使えるようになります。
PC、現在であればシングルボードコンピューターに天体機器を制御するための機能を追加することでかなり多くの部分がコントロールできますが、現状では赤道儀の極軸合わせやアライメント作業などをユーザーが行う必要があります。


カメラに関しては現状ではレンズを交換できる一眼デジカメタイプのカメラ、または天体用に開発された天体カメラを使用することになります。
それぞれの特徴と不足要素を記載します。

●一眼デジカメの場合
・撮像素子の特性を引き出す画像処理エンジンを搭載→画像処理エンジンを使用すると保存形式がJPEGのみ
・ライブビューなどの撮影補助機能→天体で使うためには感度不足
・動画撮影機能→天体で使うためには感度不足になることが多い

撮影に便利な特徴が多数ありますが、その幾つかは特殊撮影となる天体撮影では利用が困難ですが、
オリンパスのフォーサーズに搭載されたライブビューブースト、ライブバルブ・ライブコンポジットペンタックスのアストロトレーサーなど天体撮影に有効に利用できる機能やオプションを備えたカメラも登場してきています。

●天体カメラの場合
・ノイズをへらす冷却機能など天体撮影用に適した機能
・本体のみで撮影ができないためPCが必須→PCの制御ソフトの良し悪しで使い勝手が異なる
・一眼デジカメのような撮像素子の特性を引き出すような画像処理エンジンはない→ユーザーの後処理が必須
・画像処理エンジンが無いため、PCの処理負担が大きい→ユーザーが快適に運用できるような工夫が必要

と、現状ではユーザーが多くの組み合わせを試行錯誤しながら撮影環境を作る必要があります。

しかし、このように記載すると不足要素が明確になります。

現状で確実に不足する要素は以下
・天体用の架台設置の自動化(赤道儀の場合は極軸設定、経緯台の場合は視野回転機構(これはカメラ側に必要)
・カメラの天体用機能の追加(ライブビューブーストやライブバルブ、ライブコンポジット機能、長時間露光時のノイズ処理、PCの負担を軽減する天体撮影用のエンジンの追加など)
・上記複雑な接続を容易に行える機器側の準備(端子の一元化や組み込みなど)
・上記複雑な環境を一元管理できるPC用のフロントエンド


上記の不足要素が解消されれば、カーナビやカメラ同様、ユーザーが意識しなくても自動で操作できる環境が整うと思います。

そういった商品の登場を期待したいところですが、現状はユーザ自身でテクノロジーの活用環境の構築、不足要素の補填(補助機能の追加など)を行いながら楽む(苦しむ)ことが必要です。

私が上記を踏まえ、現状できることで提案した環境構築がこちらに記載されています。

興味ある方はご高覧ください。


追伸
個人的にも思い入れがある部分なので非常に長文になってしまいました。
これから天文に興味を持つ方を増やすというのであれば入門エリアに障壁を下げるテクノロジーの活用は不可欠だと感じています。
(多くの対象を簡単に探すことができる、見て確認できる、撮影もできるという統合環境が簡単に使えるようになるなるためには必須の要素だと思います。)

非常に低価格でクローズドループ制御を実現したAZ-GTiや正確な位置解析が可能なPlateSolving技術などラズパイクラスのSBCで実現できる時代になっています。

現状ではそれらを購入してすぐにフル活用できるソリューションがほぼありません。
(AZ-GTiを架台とした望遠鏡セットに廉価な天体カメラとASIAirなどが現状では一番近いですが、どちらかというと入門用というよりマニア用です。)

上記に上げた機器がいずれも国産でなく、他国の取り組みであるということも国産機で育った世代からすると悔しくも感じます。
光学大国でもあった日本から提案性のある魅力ある入門機が登場することを期待しています。

(個人的には親子で楽しみながら、子供の方が早く使いこなしてしまうといった環境が出来れば天文を趣味にする輪が拡がっていくように感じます。)





私は以前からずっと入門用の望遠鏡にはテクノロジーの活用と不足要素の補填が非常に重要であると考えており、何度も記事としても取り上げてきました。

これらが最も有用に働く部分は使いやすさと、天体導入の簡便化になると思います。
特に天体導入の簡便化や、プラネタリウムソフトとの連動は、都会の夜空では絶望的に使いづらかった入門用望遠鏡(プアなファインダー(しかも上下左右反転)、探すにも対象もあまり見えず探せない)の世界が一気に拡がる可能性があると思います。

Platesolving(天体位置解析機能)は非常に優れた位置解析、導入支援環境を提供しますが、環境の構築が難しく初心者向けとはとても言いづらい状況でした。

しかし今回発売されたCELESTRON StarSense Explorerシリーズはどうやら難しかったPlatesolving環境を鏡筒内部に機構を設けて、スマホの同社プラネタリウムソフトのみで実現してしまうようです。

以前にも同社には同様の機能を盛り込んだ入門用の位置づけの製品がありましたが、ハンドコントローラーではなく、スマホのプラネタリウムソフトに機能を組み込んだため、より使い勝手が良くなっているのではないかと思います。(コストもPush to(手動導入のみ)に抑えたことにより以前の機種よりかなりリーズナブルです。)

どの程度実用になるか、まだ使用報告があまりないので定かではありませんが問題なく機能するようであれば理想的な入門環境になるのではないかと思います。

ようやくメーカーから(また海外産ですが。。)入門者の天体導入の敷居を低くするためにテクノロジーの活用と不足要素の補填する考え方で製品が出てくれました。

日本の代理店はビクセンです。

子供も容易に使えるようにするためにも是非ソフトのローカライズを行って販売してほしいと思います。

キーテクノロジー自体は既に揃っていると思います。あとは今回のような使いやすさとコスト削減の工夫だけです。
多くのメーカーもこのような姿勢で入門者の敷居を下げる工夫に取り組んで、初めて望遠鏡に触れる方でも様々な対象を観望できる環境が整ってほしいと強く感じます。

ようやく梅雨明けしましたが、当地は曇り・雨つづきで全然星空を楽しめない日が続いています。。。

今年はコロナの影響もあり、あまり外出しなかった方も多いと思いますが、お盆など大型連休に旅行などを計画している方もいらっしゃると思います。

私は昨年引っ越して山の麓に住んでおりますが、昨年と比較して明らかに異なる事項がありました。

それは虫の量です。。。

長雨や湿度が高い日が続いた影響があるのかもしれませんが、今年は例年になく虫が大量に発生しています。
山や海で星空を。。。と考えている方は今年は特に虫に注意してください。

ヤブ蚊、ダニ、ノミ、ヤマヒル、ブヨ、ハチ、ツツガムシ、ムカデ、アリなど都市部とは比較にならないほどたくさんいますし、毒が強い虫が多いため刺された後のダメージもかなりあります。。

このような害虫は予防も大切ですが、刺された後の処置も大事な要素になりますので、記載しておきます。

防虫について
まずは刺されないに防虫剤を準備しましょう。
経験上最も効果のある成分はディートです。
以前は高濃度製品は海外製品の個人輸入以外購入できませんでしたが、デング熱など感染病の予防対策から日本でも高濃度の製品が発売されるようになりました。(海外製品にはもっと強力なのもありますが。。)

【第2類医薬品】医薬品 サラテクト リッチリッチ30 200mL

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上記はディート30%含まれている製品になります。
ディートの使用量が多いと長時間効果が続きます。(防虫効果は低濃度のものと変わらないようです。)

ディートは非常に虫除け効果が強いですが、12歳以下の子供は使用を控えた方が良いようです。
小さなお子さんのいらっしゃる方はイカリジンを含んだ製品を使用しましょう。

天使のスキンベープ 虫除けスプレー イカリジン ミストタイプ 200ml プレミアム ベビーソープの香り

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ディート並の防虫効果で肌にも優しい成分です。

防虫成分にアロマオイルなどが使用されているものもありますが、経験上効果は。。。


星空観望や、撮影などは長時間同じ場所にとどまりますので肌にスプレーする製品に追加して蚊取り線香など腰から吊るすのも効果的です。

コダマ パワー森林香 10巻 携帯防虫器セット 屋外専用 アウトドア・農作業

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こちらは知る人は知る製品ですが、森林伐採や農業など山間作業者向けに作られた屋外専用の蚊取り線香です。
私も愛用していますがかなり強力で、山などかなり虫が多いところで観望していても虫が近づいて来ません。
煙の量も多く、有効成分の濃度も高いようなのでくれぐれも密閉空間では使用しないでください。

機材などを設置して観望や撮影を行う場合は四方に設置しておきます。(通称・結界(笑))

私は更に粉末タイプの殺虫剤も四方に撒いています。

虫コロリアース 粉剤 殺虫&侵入防止 [550g]

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虫は空中からだけでなくムカデ、アリ、ヤマヒル、ダニ、ノミなど地面からやってくるのもいます。。。。(こいつらの破壊力も壮絶です。。。)
蚊取り線香同様四方に撒いておき(こちらは線を書くようにまんべんなく四方に撒きます。)防虫結界を強化します。(私は現地に着いて機材を設置する場所を決めたらまず最初にこれをやります。)



後、意外な部分ですが、電球や灯油ランタンなど熱を出す光源は虫が寄ってきます。
消費電力の少ないLED電源などは虫が寄ってこないのでおすすめです。

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ヘッドライトなどは両手が使えるので楽です。選ぶ際は電池が入手しやすいものが良いです。
星空観望・撮影を行う場合は赤色をメインに使用します。
明るさよりも長時間電池が持つものの方が便利です。

手許などでの作業はスマホのライトアプリで充分実用になります。
LEDを照射するものだと光が強すぎますので、画面を赤く点灯するアプリなどを揃えておきましょう。


不幸にも虫に刺されてしまった場合の対処
虫の毒成分などの多くは60度以上の温度で変質します。
温風を当てたり、その程度のお湯を幹部にあてることで毒の成分を中和できますが、やけどなど別の被害も懸念されますし、そもそも現地で簡単に処置ができません。
処置に慣れた方なら話は別ですが、そうでない方は以下のようなものを準備しておいた方が無難です。

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幹部から素早く毒成分を吸引する器具です。
私自身も最初は効果を疑っていましたが、吸引処置をするか否かで明らかにその後の幹部の状態が変わります。
刺されたらなるべく早めに処置しましょう。薬などはその後に塗布します。


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塗り薬は経験上この製品一択です。
本当にあらゆる虫の被害を緩和してくれます。


上記にも記載しましたが、今年は特に山間部で虫が大量に発生しています。

被害にあわないためにも万全の準備を行って、楽しい観望・撮影を行ってください。

上記はあくまで防虫・緊急処置になります。
山や海では虫のみならず、クマ、イノシシ、狸、狐、猿、蛇などあらゆる動物や爬虫類にも注意が必要ですが、虫に関しては対策をしておかないとまず間違いなく被害にあってしまいます。
都市部の虫とは比較にならないほど強い毒を持つ虫がいるため、くれぐれも注意してください。熱が出たり、体に異変が出たと感じたら医者の診断を受けることをおすすめします。






結構ハードな内容も多い当ブログですが、私自身の環境変化(引っ越し)により、観望やEAAなどライトな活動が中心となってきました。
入門用の記事も多数上げているのですが、正直それでもこれから天体に興味を持つ方にとっては敷居が高い部分があると思います。

このカテゴリではゆるーく天体観望したり、撮影したり、観望中に美味しいものを食べたり、観望や撮影しやすいのんびりした空間を作ったりなど、とにかくゆるやかに天体観望・撮影などを楽しむ記事を掲載していきたいと思います。

興味があるけど難しそう、天体機材は難しそう、高いなどこの趣味の敷居が高くなっている部分をちょっとした工夫や知識でとても低くして、はじめてみようかな。と感じていただけたら幸いです。

ゆるいことを基準として(笑)、様々な天体の楽しみ方を紹介していきたいと考えています。

不定期掲載になるかと思いますが、多くのことを記事にしていくと思いますのでよろしくおねがいします。
(私の活動自体も現状ではゆるゆるですので記事量は増やしやすいです(メインになったりして(笑))



ゆるく天体観望・撮影を行う上で便利なアイテムはいくつかありますが、現在ではスマホ+プラネタリウムアプリでかなりの部分はクリアできます。(スマホの天体活用に関してはコチラから)

この趣味を始めるとどうしても天体機器にばかり目が行きがちになりますが、ゆるくのんびりと楽しむためには快適な環境づくりがとても重要になります。(屋外で数時間立ちっぱなしって中々の苦行です。。)


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このような折りたたみ式でコンパクト、そして回転機構のついた椅子は肉眼や双眼鏡の観望で非常に快適に使用できます。
双眼鏡などは三脚につけるという方法もありますが、対空式でも無い限り結構見る姿勢が辛くなります。
椅子に回転機構がついていれば、見たい方向に自分が回れば三脚も不要になります。


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私は椅子に座るのもだるくなった場合、靴を脱いでこのようなクッションマットに座ったり寝転んだりしながら観望してしまいます。
靴が脱げる環境を作るだけで驚くほどリラックスすることが出来ます。


上記2つはベランダや庭で観望するときにもとても役立ちます。
一番ありがたいのはベランダなどで観望する際、椅子に座ると外から見えなくなるので通報される危険性が減るということです。(笑)(まあ、ベランダから双眼鏡使ってる姿はどう見ても不審者ですね(笑))


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このような高さが調節できる椅子は望遠鏡での観望で便利です。
私はこの3つを使い分けて自分が快適に過ごせる環境を作っています。

椅子って天体観望・撮影では軽視されがちですが、有ると無いとでは快適性が雲泥の差になります。
のんびり天体を楽しみたい方はぜひ椅子にもこだわってみてください。







天体系の本など読むと、星空観望で準備するものなどが記載されています。
結構揃えるものが多く記載されており、準備するのも大変だと思う方もいらっしゃるかもしれません。

私は今から始めるならば、正直言ってスマホに天体系のアプリを追加するだけで充分だと考えています。
と、言うよりむしろスマホ+天体アプリからこの趣味をスタートするのが最も効率的で便利だと感じます。

おすすめのアプリは以下の2点です。
・SkySafari(Plus以上)
ScopeTool


正直この2つのアプリを入れておけばかなり上級者になっても充分に対応してくれます。
SkySafariはいくつかバージョンがありますが、必ずPlus以上(Plusで充分です)にしてください。
有料ですが充分に金額以上の価値があると思います。
Plus以上のバージョンは星図を拡大すると多くの天体で天文台で撮影した写真を見ることが出来ます。
結構これを見るだけでも楽しいです(笑)


あとは、スマホ充電用のバッテリー虫除け(コレも必須)、少し長居をするなら椅子やマットなどを持っていけば事足ります。

え、これだけ?天体用の機材は?と感じる方もいらっしゃると思います。
一眼デジカメやミラーレスなどレンズを交換できるデジカメをお持ちの方は撮影にチャレンジしても良いでしょうし、家にオペラグラスや双眼鏡が有る方はそれらを持っていっての良いかと思います。

でも、最初は撮影したくてもどこにカメラを向ければ良いかすらわからないと思います。
SkySafariを空にかざせば大まかに天体の位置を知ることが出来ますので調べてみましょう。

最も注意する点は外灯などの灯りが無いところで確認することです。月が出ていても星はかなり見づらくなるほど星は暗いのでなるべく暗いところで観望してください。


SkySafariに関しては上記リンクを順番に見ていただくと結構踏み込んだ使い方までマスターできます。
今のバージョンは日本語に対応していますので初めての方でも使いやすくなったと思います。

少し欲が出てきたら、機材を買う前に(買ってからでも良いですが)星がよく見えそうな暗い場所で観望してみてください。
少しドライブすればびっくりするほど沢山の星を見ることが出来ます。(条件が良ければ天の川も)

簡単な観望方法や、撮影方法などは後日記載します。



天体に興味を持つ→望遠鏡を買う→月や惑星を見て押入れに放置

せっかく星に興味を持ったのに残念ながらこの流れになる方が多い(といっても望遠鏡を買う方は少ないかも)と思います。
なぜこんなことになってしまうのでしょうか?

答えは簡単です。
・望遠鏡の倍率が高いほど視野が狭い

・望遠鏡、導入用に使用するファインダー共に上下左右反対に見える(探しづらい)

・倍率が高いほど天体の移動が早くなり、ブレなども大きくなる(100倍の場合は100倍速く対象が動き、ブレなども100倍増幅される)

・入門用望遠鏡の多くが架台が弱い傾向がある(ぶれまくって対象を探しづらい)

・都心部の空が明るすぎてファインダーで星が見えない(見えたとしても上下左右反対)


望遠鏡は購入後組み立てもしないといけませんので、初心者の方はまずそこで苦労します。
苦労してなんとか組み立ててもファインダーと望遠鏡の位置合わせが出来ていないと導入すらできません。
ファインダーが正しく設置出来たとしても、入門用についてくるファインダーでは都心部などで満足に星が見えません。
更に上下左右反対に見えます。。。

期待を込めて買っても初っ端から苦行の嵐です。

初心者の場合、そもそも星がどこにあるかもわからない場合が多いと思います。

まずはスマホアプリで自分がどのあたりを見ているのかを確認しましょう。

長い前置きになりました。
ここからが本題です。

星に興味を持った方は、低倍率で正立像で見える機材からスタートすることをおすすめします。

具体的には
・肉眼(肉眼も立派な観望です。)

双眼鏡(低倍率、レンズの口径が30~40mm位のものがおすすめ)

・一眼デジカメやミラーレスなどレンズを交換できるカメラ+三脚(この場合は撮影からスタートになります。)


どれもすべて正立像で見ることが出来ます。
しかも、望遠鏡よりはるかに拡大率が低いので対象を探しやすくなります。(カメラを除く)
カメラからスタートする場合が一番覚えることが多く対象の確認が大変ですが、ピント合わせさえなんとかなれば簡単に撮影する方法があります。

この記事この記事で触れていますが、実は高倍率で楽しめるのは、月、球状星団、銀河くらいです。

低倍率で見たほうが楽しめるものも結構ありますし、高倍率で見る対象も小さくなりますが確認できることが多いです。

スマホで星の位置が確認できるようになったり、見てみたい対象が決まったら双眼鏡で覗いてみてください。
特に散開星団などは、写真で見るよりはるかに綺麗です。

天の川が見えるような場所なら天の川に双眼鏡を向ければ視野いっぱいに星がひろがります。

カメラで撮影する場合も倍率(この場合は焦点距離)が重要です。
焦点距離が長くなるほど地球の自転の影響を受け、星を点に写せなくなります。

これから天体趣味を始める方は低倍率+正立像をキーワードに機材などを検討してみてください。
視界も広く、結構楽しめる対象も多いため、望遠鏡で始めるよりも多くの対象を見つけることができる可能性がはるかに高くなります。


追記
私も所有していますが、フィールドスコープも結構天体趣味でも使える機材です。
双眼鏡よりは若干扱いが面倒ですが(三脚必須、視野も狭い)、防水、正立像なので望遠鏡よりは大分扱いやすいです。
ライトな観望がメインになりそうな方は検討する価値はあると思います。


観望や撮影で長時間外にいると意外と疲れます。
山などに行くと夏場でも寒くなってきたりします。

そうなると温かい食べ物や飲み物が無性に欲しくなってきます。

しかし、屋外で温かい食べ物や飲み物を確保するのは結構大変だったりします。(近くにコンビニとかあれば別ですが、コンビニがあったとしても機材を出しっぱなしで買い物には出かけづらいです。)

だいたいは現地に向かう途中のコンビニで買い出しするのですが、温かいものを買ったとしても冷えてしまいます。

私は観望に行くときは以下の4点を車に積んでおきます。(スープジャーだけは2つ、飲み物用と食べ物用)

サーモス 真空断熱スープジャー ネイビー 500ml JBX-500 NVY

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アルポットとスープジャーは買った当初キャンプで使うつもりでしたが、キャンプではイマイチだと思って少しの間放置していました。しかし、キャンプより天体観望や撮影に最適でした。
(火を使っていることが外から見えないのでどこでもお湯沸かせますし、どんなに寒かろうが、風があろうが使えます。)
お湯さえ沸かす事ができれば、かなり食べものや飲み物のバリエーションが広がります。
定番のカップラーメンはもちろんですが、ちょっとしたものなら中に放り込んで少し放置すれば料理も出来ます。(おにぎり+お茶漬けの元とかパン+ポタージュスープとかオートミール+ポタージュスープとか工夫次第で結構色々楽しめます。)

しかも、食べ終わるまで熱々で、食べ終わったあとも汚れ物が出ません。
(スープジャーのふた閉めればいいですから)

カセットコンロとかが使えそうな場所であれば、食事に関してはなんでも出来てしまいますが、私はホットサンドメーカー(本体を二分割できるもの)を持っていきます。

さすがに天体観望や撮影している時に凝った料理を作るのは面倒なので、鍋ではなく、ホットサンドメーカーを使っています。
実はこれ、かなりの便利ものです。
おにぎり入れれば焼きおにぎりに、まんじゅう入れれば焼きまんじゅうに、餃子も出来ますし、目玉焼きや焼き肉まで出来ます。
(おいなりさん焼くのも意外といけます)
もちろん本来の使い方であるホットサンドも熱々に美味しく出来ます。

これだけの事ができるのにスープジャー同様汚れ物が出ません。
(蓋をしておけば色々作ったあとでも汚れないで済みます。)

天体観望や撮影の場合、機材があるのでかさばるものや特に汚れ物など出したくありません。
(鍋を持っていかないのはこのため)
以前はサンドイッチなどを買ってしのいでいましたが(冷えたおにぎりはまずいです。。。。チョコレートは石に変わりますし(苦笑))この組み合わせを見つけてからは温かい食べ物や飲み物を楽しめています。

観望地で温かい食べ物や飲み物があると、退屈な撮影の待ち時間なども楽しく過ごせます。

外で食べると更に美味しく感じるのは私だけでしょうか?

なんか、ゆる天のめしレシピ(簡単に作れて美味しい)だけでも結構記事になりそうです。(笑)

皆さんのおすすめはなんですか?



星が綺麗に見える場所に行った時、なんとかこの星空もカメラに納めたいと感じる方もいるかと思います。

興味をもってネットなどで調べると、特別な機材や多くの知識を持たないと出来ないのではないかと思いがちです。

天体を撮影する趣味の方々は専門的な機材や知識を情報発信していることが多く、それぞれにこだわりがあるので初心者にとっては敷居の高い状態になっているように思います。

天体はとても暗い対象なので、残念ながら通常の撮影のようにオートで手軽に手持ち撮影は出来ないと考えてください。
その上、地球の回転に沿って位置が動きますので長く露出をかけると星が点ではなく、線になります。

しかし、最低限の条件を満たせば結構星空を写すことができます。
実際に撮影するまでの手順まで順に説明します。


●星空が写せるカメラの条件
・マニュアル機能が使えるカメラ

たったこれだけです。WIFIなどでスマホアプリで連携できる機能がついたものや、レリーズ端子がついているものは更に便利に使うことが出来ます。(必須ではありません。)
マニュアル機能が無いカメラの場合は残念ながら撮影は難しいです。


●星空を写すために必要になるもの
・マニュアル機能のついたカメラ
・三脚


この2つだけで撮影できます。できればレンズキャップも持っていきましょう。
レリーズ端子に接続するリモートレリーズやWIFIで操作できるスマホアプリに対応したカメラをお持ちの場合はそれらも準備しておくと快適に撮影できます。


●事前におぼえておくこと
・マニュアル操作への切り替え方法、絞り、露出の変更方法
・ライブビューの使い方
・マニュアルフォーカスの使い方
・撮影画像のヒストグラム表示の方法
・ISOの切り替え方法
・タイマー機能の使い方


レリーズ端子に接続するリモートレリーズやWIFIで操作できるスマホアプリに対応したカメラをお持ちの場合はそれらも準備して上記設定方法をおぼえておくと簡単です。

では実際の撮影方法をご説明します。
以下のカメラ設定は明るいところで事前に済ませて置いてください。

・マニュアルへの切り替え
・露出を15秒に変更
・カメラの絞りを開放(最も数字の少ない状態に)
・フォーカスをマニュアルにして無限遠に
・タイマー機能を2秒に設定(レリーズや、スマホアプリで操作する方は不要)
・ホワイトバランスは5000Kに
・ISOは800に


ステップ1 撮影準備
1.カメラを三脚に固定
2.撮影したい方向に向けて固定

ステップ2 試し撮り
1.ズームを広角にしてレリーズを押す(事前に設定が出来ていればレリーズを押してからタイマーで2秒経過後、15秒露出されるはずです。)
2.撮影画像を再生して構図の確認→場所を調整したい場合は調整、ヒストグラムの確認→下図の状態になるまでISO値を変更する。
3.ライブビューを見ながらフォーカスを正確に合わせる

H.jpg

ヒストグラムは天体写真を撮影する上でとても重要です。
グラフの読み方は左側が暗い情報、右に行くほど明るい情報になります。
上図左側のようにグラフからはみ出るような状態になっている場合は撮像素子の能力を発揮できない状態になっています。(この場合は暗すぎ)ISO値を変更しながら右側のようにグラフ内に情報が収まるように撮影してください。

変更するのはISOのみです。

右側のグラフのような状態になっていれば撮影画像が綺麗に見えると思います。
なれないうちは、ピント合わせが大変です。
事前に無限遠に合わせておけば、若干ピントがずれていてもなんとかライブビューで確認できるはずです。
ライブビューで拡大してなるべく見やすい状態でより正確に星にピントをあわせてください。


準備が終わったらいよいよ撮影です。

1.先程設定した状態で5枚撮影→最後にレンズキャップをして1枚撮影
2.ISO値を設定した値から一つ下げて5枚撮影→最後にレンズキャップをして1枚撮影(例:1600だった場合は800に)
3.ISO値を設定した値から一つ上げて5枚撮影→最後にレンズキャップをして1枚撮影(例:1600だった場合は3200に)


おめでとうございます。
以上で撮影終了です。

なんでこんなに枚数を撮影するのか疑問に思う方もいらっしゃると思います。
これは後々画像処理をしたくなった場合にも対応できるようにするためです。

上記の操作、手順をマスターすれば星空を写す事ができます。
事前に設定しておく手順などを怠ると一気に撮影が難しくなりますので手順通りに進めてください。
ピント合わせが大変ですが、それ以外は事前に設定しておけばISOを変更する程度ですのでそこまで難しくなく操作できると思います。

この方法を使えば目で見るより数段見える状態で写真に収めることができます。
天の川が見えるところだと天の川も写せますよ。




○○の部分に何を記載するかで楽しみ方が変わってきます。

旅行、夜景、キャンプ、ドライブ、車中泊など・・・
〇〇の部分とセットにしての星空の楽しみ方です。(なかなか贅沢ですね)

ただ、この方法の場合共通で一つだけ準備しておいた方が、より楽しめるようになります。

それは「灯りの無い開けた場所を探しておく」になります。
(あ、月の出入りもですね。2つです。)

観光地や、キャンプ地、道の駅など人がアクセスしやすい場所はだいたいどんな田舎でも外灯まみれになっています。
「かなり自然に溢れた場所に行ったのに思ったより星が見えなかった」という経験をした方は、おそらく外灯などの灯りの下で星を眺めた事が原因です。(月ももちろんNG要素です。)

事前に近くに広場などがあるか調べてそこで星空を眺めて見てください。
都心部とは比べ物にならないほど、びっくりするほどの数の星を見ることが出来ます。

大都市にお住まいの方でも、60~100kmくらい離れれば、条件さえ揃えば天の川を眺めることが出来ます。
(場所の探し方などはコチラを参考にしてください。)

60~100kmというと日帰りなどもできる小旅行くらいの距離ですね。
天の川が見えるような満天の星空を楽しみたい方は、ちょっとした小旅行に星空を楽しむ項目を加えてみてください。

若い方にとっては初めての経験になるかもしれませんし、年配の方にとっては子供の頃の記憶を呼び覚ます景色を楽しむことができますよ。
(〇〇の中にキャンプを選んだ方(車中泊もかな)は、道具選びに注意してください。キャンプも天体も道具沼という深い沼にハマりがちです。(苦笑))


満天の星空を楽しみたい方にとっては、月は天敵とも呼べる存在になります。

どんなに空の暗い観望地に出向いても、月が出ているだけで見える星の量が激減してしまいます。
(それでも都心部よりは少しは見えるでしょうが。。)

月は地球の周りを約一ヶ月ほどで回りますので、常に空で見える位置が変動します。(この辺は惑星も同じですね)
満天の星空を楽しみたい時は事前に月の出入りをネットや、プラネタリウムアプリなどで調べておきましょう。

と、天体趣味の方にとっては敵対視されてしまう月ですが、月自体も非常に魅力的な天体です。
小口径の望遠鏡などでも図鑑の写真以上に見ることができるおそらく唯一の存在です。
(もちろん、肉眼、双眼鏡などでも楽しむことが出来ます。)

月が出ている夜は、団子片手にお月見を楽しむのも一興でしょう。
(月光浴なんて楽しみ方もあるみたいですね。)

月は初心者から上級者までさまざまな楽しみ方ができる対象です。
月が出る夜はお月見をしてゆるく楽しみましょう。



衰えをしらないコロナ渦が続く中、アウトドアなど過密状態を避ける趣味を持つ方が増えたようです。
天体趣味というのもアウトドア活動ですね。(夜専門ですが。。)

キャンプなどと同様天文も道具沼があるところなどもよく似ています。(苦笑)

天文趣味は高齢層が多いようですのでまずは大人買いで道具から揃えてしまわれる方もいらっしゃるかもしれません。(ますますキャンプと似ている。)

機材を買ったら試したい、が、いきなり大変な思いをしたくないという方はベランダ(もしくは庭)でデビューしてみましょう。
都心部などで条件が悪いところでも以前紹介したZoom観望やEAA(電視観望)、眼視でも双眼鏡などがあれば肉眼よりはるかに星が見えますし、カメラや望遠鏡などに光害用のフィルターなどを装着すればさらに対象が確認しやすくなります。(撮影などでも対象が写りやすくなります。)

星を見たり、撮影したりするには天の川が見えるような場所が最高ですが、不慣れな道具を持ち出して設置や設定ができずに苦しむより、星を見る条件が悪くても、気軽に設置して試せる環境からスタートしたほうが長続きするように感じます。

天体機材は専門性が高く難しいものが多いので、気軽に設置できるベランダ(もしくは庭)で積極的に実戦経験をつんで機材の扱いに慣れましょう。

最初は月からスタートして、低倍率で散開星団や大型の星雲(M42など)にチャレンジしてみましょう。
高倍率が必要になる惑星はある程度機材の扱いに慣れ、星空の位置関係を覚えてから挑戦したほうが観望や撮影の選択肢が増えます。

キャンブ道具なども結構天体活動で使えるものが多いので一緒に楽しむのも良いかもしれません。

どちらもある程度機材の扱いに慣れたらぜひ天の川が見えるような空の暗いところに挑戦してみてください。
都心部ではうっすらとしか見えなかった対象が驚くほど鮮明に大きく見えます。
(天の川を双眼鏡で見ると視界一面星で埋まりますよ。)

趣味でストレスを貯めないためにも(機材の扱いや対象探索など、慣れないとけっこうストレスになります。。)お気軽にベランダ(もしくは庭)でのんびり楽しみながらスキルアップしましょう。






天体に興味を持ち、これから趣味として始めたいなと考えている方は本を読んだりネットで情報を探したりして、購入する機材の検討をされる方が多いかと思います。

殆どの方は本やネットで画像を見て自分も見てみたい(または撮影してみたい)と考えてそれらを見る(または撮影)するためには望遠鏡などの機材が必要になるというところまでは意識されていると思います。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

画像で見た天体の視直径と実視等級がどのくらいであるかということです。

多くの天体写真は観賞用途に撮影されており、撮影機材もバラバラ、そしてその天体がきれいに見えるサイズで画像が作成されています。

画像では大きく、きれいに見えているものでも、実際には非常に小さく見えるものであったり、望遠鏡を使っても暗くて見えないものなども多数あるということです。

地球から見た天体の大きさは視直径という言葉で表されています。
単位は度、または分、秒(60分が1度)のいずれかで表記されています。

同じく地球から見た天体の明るさは実視等級という言葉で表されています。

興味を持った天体があったらまずその天体の視直径と実視等級を調べてみましょう。

例えば有名なアンドロメダ銀河実視等級は4.3等級、視直径は190分× 60分になります。
郊外の暗いところであれば、肉眼で5~6等級まで見えますので、暗いところに行けば肉眼で見ることが出来ます。
驚くべきは視直径です。

なんと190分×60分もあります。度数に直すと約3.2☓1度になります。
月の視直径がおおよそ30分程度(度数にして約0.5度)ですから、横方向の長さは月の約6倍もあるということです。

もう一つ初心者の方が興味を持つ対象の一つとして土星はどうでしょうか。
土星や木星などの惑星は地球と同じく太陽のまわりを回っているので、時期によって見える場所や明るさ、大きさが変動します。

非常にざっくりとあらわすと、実視等級は0等級程度、視直径は16秒~ 20秒程度、度数に直すと20秒のときでも0.00555556度です。

こちらはびっくりするほど小さいですね。

上記の度数は地平線から地平線まで(東~西、北~南)が180度になります。
(東~西、北~南に巨大な分度器があると考えるとイメージしやすいです。)
月がだいたい0.5度と覚えておけばそれぞれの天体の視直径を把握しやすくなります。

ここで問題になるのが望遠鏡や双眼鏡で観望する場合、触れられる単位が倍率であるということです。

単位が全く揃っていないので、実際にどのように見えるのかが見当がつきませんし、本やネットでもどのような機材でどのように見えるのかを解説しているところがとても少ないです。

ここでぜひ憶えて欲しいのが視野角というワードです。

視野角は使用する機材で見える範囲を角度で表す表記になります。

これで大きさの単位が度数で揃いますので、どの機材でどのくらいのものがどのくらいの大きさで見えるのかを把握できます。

視野角は機材の組み合わせによって異なりますので計算が必要になりますが、殆どのプラネタリウムアプリでシミュレーションすることが出来ます。


実視等級や視直径もプラネタリウムアプリで簡単に情報を見ることが出来ます。

この3つのキーワードを前もって調べておけば、目的の天体が実際にどのように見えるのかを予め把握することができるようになります。

視野角の大まかな目安としては以下になります。

●肉眼→90~120度程度
●双眼鏡(口径40mm、8倍程度の手持ち可能な双眼鏡)→7~9度程度


望遠鏡の場合アイピースとの組み合わせで視野角が異なりますが、同じ望遠鏡であれば倍率が高くなるほど視野角が狭くなります。(なので拡大して見える)

カメラに関してもレンズ、撮像素子の組み合わせで視野角が変わります。

画像を見て興味を持った対象の実施等級が11~12等級とかだった場合、眼視も撮影も初心者にとっては非常にハードルが高い対象です。
このような天体は視直径も非常に小さいものが多いです。(画像では立派に見えていますが。。)

面倒な計算はプラネタリウムアプリが全て行ってくれますので、天体に興味を持ちどのような機材を購入したら良いか悩んでいる方は見たい天体の視直径、実視等級を調べ、購入を検討している機材の視野角でシミュレーションしてましょう。(本やネットで見てきた画像がバラバラなサイズであることに驚くと思います。。。)


追記
アンドロメダ銀河は大きいのでさぞかし立派に見えるだろうと思うかもしれませんが肉眼ではどんなに立派な望遠鏡を使っても(そもそも立派な望遠鏡では視野角的に全体を見ることもできません、全体を見れる最大の望遠鏡のサイズとしては口径10~12cm程度の望遠鏡で最低倍率にしてギリギリ入るかはみ出るかといったところです。)中心部分しか見えませんので月よりはるかに小さくぼんやりしか見えません。。。

撮影する場合は撮像素子の大きさにもよりますが、望遠鏡よりカメラレンズの方が向いています。(対象が大きいので)
あの立派な姿はさぞかし大きな望遠鏡で撮影したんだろうと考えがちですが、実際はコンパクトな機材で撮影されています。
(中心部と周辺部の明度差が大きいので撮影・画像処理などの技術は必要になります。)



何気なくアマゾンで機材チェックしていたら、目を疑うような信じられないような価格のフィールドスコープが。。。

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SVBONYは最近よく聞くメーカーですが、80mmのEDフィールドスコープが25980円って価格破壊過ぎます。。。
表記間違いかと思ってこの機種の情報をネットで確認しましたが、硝材はFK61(中国製のFPL51相当)のEDレンズを搭載した80mmF5のフィールドスコープのようです。

アイピース交換が出来ないようですが、20倍から60倍の倍率は得られますので、低倍率から中倍率くらいのお気軽観望には最適でしょう。(低倍率での視野角が2度程度みたいなので、あまり視野は広くないかもしれませんが)

この価格で80mmEDであれば入門用やサブ機としても面白そうです。

いやはや。。中国恐るべしです。

マニアックな記事も多い当サイトですが、実は私個人としては天体観望入門の項目にかなり力を入れています。
これは私がこの趣味を再開したときに、その当時住んでいた環境の空が明るすぎて今まで持っていた知識では目的の対象を望遠鏡に導入できなかった苦い経験から来ています。(良くて2等星が見える空でした)

残念ながら星を見る環境は空の明るさの増加や、大気の濁りなど年々悪化しています。
今回ご紹介する奇数の法則は天体を観望したり、機器と接する時に自身がわかりやすいように実体験に基づいて体系化した内容になります。

ではなにを奇数にすると快適になるのかをご紹介します。

奇数の法則その1ーそれぞれの方位で覚える星座(または星)
星座は星空を観望する時の指標になります。星座を元にしてその周辺にある星団・星雲などを探しやすくなりますし、夏の大三角形など星座の明るい星同士を結んで図形を作ったりと空の位置確認の目安になります。

ここでの奇数は北天で3つ(北極星、北斗七星、カシオペア座)、南天でその季節に見える星座占いの星座(黄道12星座)を3つ、そして天頂付近の明るい星を一つ覚えて観望などを行おうとかなり空を把握しやすくなるということです。

北天に関しては北極星は常に見えますので、星空の東西南北を見分ける起点になります。それを探すための北斗七星やカシオペア座は季節によっていずれかが見えている状態になります。北天でこの3つの項目を覚えておけば起点となる北極星を見つけることが容易になります。

北極星から反対方向(180度回転)を向けばそこが南天になります。
南天には黄道12星座が見える状態になります。(黄道とは太陽の軌道になります。)
この星座は季節によって見えるものが異なります。
見たい時間に最も見やすい星座を一つ見つけることができればそれを中心として東側、西側にも星座を見つけることができるようになります。

夏を例に挙げれば、蠍座を見つけられたら、それより東側に射手座が、それより西側にてんびん座があるといった状態になります。

実は黄道12星座といっても明るく見やすいものとそうでないものがありますので、まずは南天の黄道12星座を一つを見つけられるようにしてみてください。
これだけでもかなり位置関係が把握しやすくなります。

最後は天頂付近です。
これは明るい星やわかりやすい星座があれば1つ見つけておきましょう。

面白いもので北極星にしろ黄道12星座にしろ一つのものを見つけるのに関連付けできる要素が2つほどあります。

まずは北天の三項目(北極星、北斗七星、カシオペア座)を覚えてしまえば北極星が探せるようになりますのでそこを起点に覚えてみましょう。

カシオペア座が見える季節(秋、冬)はカシオペア付近に天の川もあり、二重星団やMel20など双眼鏡などで楽しめる天体も多いです。

このように北天で3つ(年中)、南天でその季節の黄道12星座3つ(こちらは季節ごと)を覚えてから空を見上げれば星空の全体スケールを捉えやすくなります。

プラスして天頂付近で面白そうなものがあれば1つを確認しておけばかなり星空を楽しめます。
(覚える数も少なくてすみますよね)

双眼鏡などを持っていれば、星座の中にある星雲、星団などにも挑戦してみましょう。
このときも、覚えるのは1つか3つです。
(蠍座を例に取ればM7(メイン)、M6、M4といった感じです。)

このようにメインの一つを探すのに2つの要素を関連付けする癖を付けると位置関係が把握しやすくなりますし、覚えやすいです。

星空で迷子になりやすい方はご参考にしてみてください。








星空を快適にする奇数の法則-その2は視野角(天体機材などの視野を角度で表した単位)になります。

望遠鏡や双眼鏡で頻繁に話題になるのは倍率ですが、実はこの倍率で考える事自体が初心者を混乱させる原因になっているのではないかと考えています。

視野角の計算はほどんどのプラネタリウムアプリで可能ですので有効に活用してください。

視野角の重要性に関してはこちらの記事でも取り上げていますが、星空の地上座標は全て角度で表すことが出来ます(方位は北を起点に360度、高度は0~90度)ので望遠鏡や双眼鏡も倍率ではなく、視野角(その機材で見える範囲)で考えたほうが単位を揃えることができるので理解しやすくなるように感じます。

では初心者の方におすすめの視野角はどれになるのかを紹介します。
おすすめは1、3、7(または9)(単位は度)になります。
空の状態が悪いようであればここに星座望遠鏡の視野角27~30度程度の視野角を追加してあげるとかなり観望しやすくなります。

1度の視野角はざっくり望遠鏡や双眼鏡の倍率に直すと50倍程度です。
この視野角だと月が視野に大きく写り、大型の球状星団の形がわかります。
木星の縞も、土星の輪も小さいながらも確認することができます。
架台に追尾機能がなくてもなんとか操作できるので初心者向けの拡大観望視野角(最大倍率)として最適です。

3度の視野角はざっくり望遠鏡や双眼鏡の倍率に直すと20~25倍程度です。
この視野角は大型の散開星団や星雲に最適です。
視野内に最も星がたくさん見えるので、RFT(リッチフィールドテレスコープ)と呼ばれており、彗星などの探索にも適しています。

ここで注意が必要なのは、望遠鏡で視野角を3度まで広げられる機材が非常に限られたものになるということです。
一時期高倍率云々が取り沙汰されましたが、メーカーもユーザーも望遠鏡に関して意識が高倍率に傾向しているように感じます。

肉眼で1度以下の視野角で楽しめる対象はほんの一握りになります。(土星、木星、火星、一部の惑星上星雲程度)
実はこの高倍率志向(狭視野角傾向)が望遠鏡を使うのを困難にしている要因の一つになっているのではと強く感じています。


私自身も3度の視野角での楽しさを知ったのは天体趣味を始めてからかなり時間が過ぎてからでした。(お決まりの大口径病、大口径の望遠鏡は焦点距離の関係上広い視野角が望めません)

広い視野角で楽しめる対象が非常に多くあることを入門時に知ってほしいと強く感じています。
(個人的には回り道をしたと感じるくらいでした。。)

7度(または9度)の視野角はざっくり望遠鏡や双眼鏡の倍率に直すと7~8倍程度です。
この視野角になると焦点距離の関係上望遠鏡では対応できなくなります。
望遠鏡のファインダーや手持ちの双眼鏡がこの視野角になります。

天の川が見えるような場所であれば、天の川を散策すると視野中星でいっぱいにすることが出来ます。
用途としては3度の視野角に準じますが、対象が小さく見えて周囲まで広く確認できるので空の状態が良ければ星空の探索用に最適です。

最後に27~30度の視野角を紹介します。
これは機材としては星座望遠鏡が該当します。
ちょうど星座がすっぽり収まるくらいの視野角になります。
星座望遠鏡を使用すると肉眼より2~3等級暗い星まで見えるようになりますので、文字通り星座確認に最適です。
天の川が見えるような暗い空であれば、天の川観望にも最適でしょう。

空の明るさによっても星や星雲・星団の見え方が全く異なります
目安としては望遠鏡のカタログなどに記載されている限界等級を基準にして

明るい空(二等星くらいしか見えない空)=限界等級-7等級程度
暗い空=限界等級-3等級程度


を目安に見たい対象を絞りましょう。

例を挙げると限界等級が11等級の望遠鏡の場合、明るい空で楽しめる対象は5等級くらい、暗い空だと8等級くらいが実際に探せる範囲になります。

ここまで記載してお気づきの方もいらっしゃると思いますが、おすすめの視野角(1、3、7(または9)、明るい空だと追加で27~30)を一つの機材で賄うことが出来ません。
最初の一台として考えるなら双眼鏡やフィールドスコープの方が視野角的に現在の星空では適しているように感じます。(どちらも正立像ですし)
望遠鏡を購入する場合でもその機材の視野角に留意してください。多くの場合視野角が狭すぎます。(見えない、探せない、探しても追尾機能が無いと忙しくて楽しめないといったことになります。)

テクノロジーの力を借りるのであれば、1/2~1/3の撮像素子を持った天体カメラや高感度監視カメラとCマウントズームレンズの組み合わせはおすすめの視野角をほぼ満たすことが出来ます。(更に眼視用の機材より2~3等級は暗い星まで確認できるので広角側でも見たい対象を確認することができますので自動導入や導入支援に頼らなくても対象を探せます。)

これから星空を楽しみたい方は機材選定の一助にしてください。


天体趣味と奇数の関係を書き綴ってきました。
これは体験的に1つのメイン項目を快適な状態で充足させるためには最低でも2つの補足項目が必要になることを項目を変えながら述べているのかもしれません。

これは機材においても同様のことが言えます。
1台購入すると、それを快適にするために複数台の機材を購入(苦笑)と沼にハマるとキリが無くなります。

これから天体趣味をはじめようという方に沼を紹介するのもいかがなものかという思いもありますので、ここでは1台で完結できる機材を紹介します。

実は一台だけで完結できる機材というのはほとんどありません。

以下はご自身の趣向に合わせてどれを優先するかお考えください。

その1 GPSスマホ+天体アプリ
最初に一つ揃えるものとして、今の時代にもっともおすすめな機材になります。
スマホにはカメラ、LEDライト、GPSなど天体趣味に必要なものが網羅されています。
これに天体アプリが加われば様々な計算や、観望支援に役立てることが出来ます。
スマホにしてもアプリにしても複合的に多くの項目をカバーできますので下手な天体用機材を購入するよりスマホ片手に観望地に行ったほうが星空を楽しむことが出来ます。
最低でもプラネタリウムアプリは必要になりますが、機能をアプリで追加していくことができるので荷物は増えません。
これから天体趣味を始める方はまずはスマホのプラネタリウムアプリを使いこなすことをおすすめします。

その2 手持ちできる双眼鏡
肉眼以外に観望できる機材が欲しければ最初の一台に関しては手持ちできる双眼鏡をおすすめします。
ただし、この機材は都心部で星を眺めてもあまり面白くありません。(眼視観望全般に言えることですが。。)

暗い空の元であれば、広視界、正立像の本領が発揮され面白いくらい沢山の対象を観望することが出来ます。
ただ、現在の状況ではスマホほどの万能性はありません。
スマホアプリで星空に慣れてから購入しても良いかもしれません。

暗い空であれば肉眼でも充分に星空を楽しめます。

その3 広角ズームレンズ+一眼デジカメ+三脚
カメラでの撮影となると最低でも上記3点が必要になります。(ここでも奇数の法則が(笑))

日本人はカメラ好きなので天体に関しても写真から、と考える方も多いかと思いますが、私個人の感想としては上記二点と比較すると圧倒的に優先順位は低くなります。

最初に写真となると星空のこともわからないのに何を撮るの?と感じてしまいます。
まずは、どこに何があって、どのように撮りたいのかがわかるようになってからでも遅くはないと思うのですが。。。。

簡単な写真撮影法はこちらにまとめてありますので興味ある方はご確認ください。

以上さまざまな側面から奇数項目の有用性を記載しました。
一つのメイン項目を快適に充足させるためには複数項目を補足してあげると便利ということですが、視野角などは面白いことに1度や3度といったように奇数角度の方が楽しめる対象が多いように感じています。


天体趣味を快適にするワードとして頭の片隅に置いていただけると幸いです。


追伸
望遠鏡セットというのは名前の通り望遠鏡を使う上で最低限必要になる項目(鏡筒、架台、ファインダー、アイピースなど)がセットになったものです。
ただし、セットになっているからといって使いやすいのかと問われると話は別です。
ほとんどの製品は高倍率側(狭視野)に偏っていますし、自動導入や導入支援装置が無いものはそもそも観望対象を探すことから苦行になります。
セットとは言っても一体型のような気軽さはありませんので、組み立てなどにも知識が必要になります。
望遠鏡は機構上上下左右が反対に見えますので高倍率側(狭視野)と相まって初心者にとって目標天体の導入が鬼門になります。(見えない、見つからない、使いづらい部分などをどのようにして克服するかがポイントです。)

私は望遠鏡セットを購入することからこの趣味をスタートしましたが、現在であれば個人的にはスマホや双眼鏡で天体の位置関係を覚えて、さらに一歩進んだ観望や撮影が行いたいとなってから購入検討をした方が無難と感じています。(こと撮影となると必要項目(機材)が一気に膨れ上がりますし、知識もそれ相応に必要になります。)

昨今流行りのEAA(電視観望)も現状では快適に利用するにはかなり大掛かりな機材選定と、複数機材をPCで連携制御する環境になりますので、環境を作る知識も必要になります。(PCメインなので外で利用する場合は大きなバッテリーも必須)

機材を利用して見やすくする、使いやすくするといった項目に対しての取り組みが他の業界と比較して希薄なので現状ではユーザー側の工夫や追加購入による環境構築が必須になります。

星空を楽しみたくて始めてみたらコンピュータに張り付くことになったり、機材の動作不良で苦しむ(苦笑)ことになることも。。。
まあ、それも含めて幅広く楽しめる(苦しめる(笑))趣味といえます。
(だから奇数の法則性を発見したのかも(笑))
梅雨に入ってしまいました。
きれいな星空を想像しながら久々の入門記事です。

タイトルを見て???と思われる方も多いと思いますが、これからこの趣味を始めたいと考えている方、初心者の方が楽しみながら知識や技術を向上させるために記載します。

天文系のブログやYoutube、書籍もそうですが、タイトルにある「気軽」の定義がかなり一般的な感覚からかけ離れているように感じています。。。
興味を持ち、気軽にできそうなところから始めようと考えてる方にとって「入り口」を見誤ると失望する状況になりがちです。。。

以下に気軽に試せること、実は気軽では無いことを分けて記載します。(私の体験に基づきます。)


「気軽」に始められること

・自宅敷地内(庭、ベランダなど)での観望、撮影、EAA(電視観望)

・旅行先で少し足を伸ばして照明が無い暗い場所での観望(PCを使用しない観望機材(双眼鏡がおすすめ)、もしくは肉眼のみ)

・観望会や天文台のイベントへの参加

・(海外通販に抵抗がなければ)高感度カメラ+ズームレンズを使用した電視観望


以上になります。
ここで大きなポイントになるのは自宅です。
自宅であれば少し工夫をすれば屋外(庭orベランダ)でも室内同様電源やネット環境がそのまま使えます。

天体機材を用いた写真撮影やEAA(電視観望)ははっきり言ってどちらも揃える機材が多く、機材の準備(組み立て、配線、調整など)面倒な作業(その後のPC操作も)多数あるため、お気軽な要素は全くありません。
しかし、自宅であれば天体機材を用いた撮影やEAA(電視観望)も気軽に試すことが出来ます。

なぜなら電気も使い放題、ネットも使える。操作の方法を忘れたり、配線などを間違えてもネットで調べたり取説を読んだりしてクリアできます。ケーブルなどが足りなくても家で探して取り付ければOK。

これほど気軽な環境は自宅外にはありません。

機材から入りたい方(多いように感じます。)は「自宅」で気が済むまで楽しんで(苦しんで)みましょう。

天体機材にあまりこだわりが無い方(星が見たい方、好きな方)は、上記の旅行先で暗い場所を探して観望や、天文台などの観望会に参加するのが気軽で得られるものが多いです。

郊外の暗い場所であれば、市街地より驚くほど星が見えますし、観望会などに参加すれば解説付きで超高級機材を使用した観望が可能です。

その際、おすすめなのはスマホの天体アプリを事前に用意しておくことです。
観望会の説明を聞いて興味ある天体を探したり、暗い場所で観望しているときに見ている星を調べたりとお気軽観望をするのに必須な機能が多数備わっています。

私が以前記事で記載した高感度カメラ+ズームレンズによる電視観望は海外通販がネックですが、面倒なPC操作や接続が不要(テレビにビデオを繋げる程度の知識は必要)で電子デバイスを使用する観望としては最も敷居が低い観望環境です。

広角側でもかなりの星が見えますので自動導入などの設備も不要です。(見たい対象もスマホ片手に自動導入や導入支援不要で探せます。)

定義づけるのであればやりたいことを気にせず出来る環境であることが重要と感じています。
客の立場で見聞きしたり、観光の一環で行動すれば気が楽です。
機材を使用するものは通常であれば気軽言えるものはありません。が、しかし面倒な作業でも自宅で時間やトラブルを気にせず取り組むことができれば気軽に感じることができます。


「気軽」と記載してあるのに実は全く気軽でないこと

・自宅敷地外での観望、撮影、EAA(電視観望)
例:気軽に近くの広場でEAA(電視観望)or星景撮影or撮影
・RAW画像などの扱いや画像処理
・気軽に操作出来るように充実したスペックのPCを用意


自宅敷地から一歩でも外に出ると天体機材を用いた撮影、EAA(電視観望)などは、一切お気軽な要素がなくなります。
近所の公園、広場でも移動距離が若干近いだけで準備などは郊外での遠征と全く変わりません。

マウス操作を伴う、PC作業は屋外で気軽と感じたことは今まで一度もありません。
制御するものが増えるほど設置、配線、アプリの操作が煩わしくなります。(しかも準備も操作も暗いところで行う必要があります。。室内では苦にならないマウス操作も屋外ではかなり苦行です。。。)
更にPCの性能にもこだわると電力の確保が深刻な問題になります。
(天体機材だけでも重いのに、バッテリーも大型となると。。。)

PCのスペックが上がると楽が出来ると考えがちですが、屋外では逆です。制御用であればPCは低スペックなもので充分です。(操作が面倒なだけで処理が重い作業はあまりありませんので。。。)

唯一の重い処理はライブスタッキングです、EAAは処理的にも操作的にも気軽とは言いづらいように感じています(むしろ上級向けの観望方法だと感じています)

太文字ばかりになってしまいました。(笑)
自宅敷地から一歩でも外に出ると電源とネット環境がなくなります。
ネットはスマホとテザリングなどを行えば繋ぐことができますが、電源はそうはいきません。

PC作業が伴う機材操作は自宅敷地から一歩外に出るだけで全くお気軽な要素が無くなります。(そもそも、撮影もEAA(電視観望)も簡単ではありません。)
どんなに近くの公園でもケーブルを1本でも忘れれば、撮影もEAAも不可能です。(機材も組み立て直し、置きっぱなしにできませんし。。。)

個人的には機材から入るより、星の綺麗さを実感する体験を最初にしたほうが長続きするように感じます。

日本でもまだ天の川見えるところは沢山あります。

気軽に郊外をドライブがてら空が開けた暗い場所で星を見てみませんか?
肉眼でもびっくりするほどの星を見ることが出来ます。(双眼鏡なら視界全てが星で覆われます)



この写真は以前記事に記載した地方中規模都市から車で40分くらいの場所です。
肉眼ではこれより少し淡いですが、天の川がしっかり見えていました。
暗い場所の探し方マスターすればちょっと遠出のドライブで天の川と満点の星を楽しめますよ。



ブログを始めてから自身の環境に合わせて環境を構築した結果、現在はリモートや眼視の観望が多くなりましたが、この趣味を行う方でもっとも人口が多いのは天体写真を撮影する方だと認識しています。

ただ、天体写真というのはかなり特殊な領域なのでありとあらゆる情報が錯綜しているように感じます。

私はメインではありませんが、写真や印刷、画像処理など業務でも25年ほど携わっており、フィルムからデジタルに移行する際、画像の取り扱いや処理方法などをいろいろと検証してきました。(25年の内、15年ほどは研究職でしたが。)
それらの技術が活かせる部分もあれば、新たに覚える必要がある部分(機材制御など)がてんこ盛り、というのが天体写真の撮影であると認識しています。

天体写真に関してはその特殊性からかなり情報が錯綜しているように感じますので、入門者の方に向けてシンプルに情報を整理してお伝え出来ればと思います。

前提条件として

まず、第一に知って欲しいことは、天体写真を撮影することはあらゆる撮影の中で最も難易度が高いということを理解してください。

断言しますが、撮影環境の構築、レンズなどの機材の精度、撮影方法など全てにおいて最も難易度が高いです。

○○を使えば簡単に天体写真が簡単・・・というような記事には必ず記事につながる商品紹介があります。(所謂提灯記事)
提灯記事にだまされないためにも、まず天体写真はとてもむずかしいという前提条件を理解するようにしてください。

むずかしいから失敗するのも当たり前なのです。どんなものを使っても簡単になることはありません。
昔から提灯記事が多い業界です。それらに惑わされることなく自身の環境を作ってください。

なぜ難しいのか?

・対象が微小な点光源である

・光量が非常に少ないので長時間の露出が必要

・地球が自転しているため、点光源として捉え続けるためには地球の自転に合わせた追尾機能が必要

・長時間露光を行うと撮像素子、カメラ本体共にトラブルが増える。(デッドピクセルやアンプノイズなど)

・対象が暗すぎるため適正露出の判断がし辛い(モニターなどで判断し辛い)


これだけでも充分大変ですね。。
最低でも地球の自転を追尾する架台として電動モーターを設置した赤道儀、長時間の露光が可能なカメラが必要になります。
実際には撮影カメラとは別により精密に架台を追尾するためのガイドカメラとガイド鏡などを用意し、専用機器やPCで精密に追尾するオートガイドと呼ばれる環境も作る方が多いです。
しかし、撮影するには上記に対しての機材の準備をしても片手落ちになります。

以下の項目もぜひ把握しておいてください。(実は最も混乱を生んでいる要素の一つです)

撮像素子の特性

・じつは想像以上に高感度(しかしノイズまみれ、撮像素子が実際にどのような情報を取得しているのか正確に確認することができない)

・デジタルカメラの場合はカメラ内で想像以上に画像処理が行われている。(ノイズも減りきれいに見えるようありとあらゆる処理がカメラ内で行われている。)

・天体カメラは画像処理機能がほぼ無い(若干画像処理がカメラでできるものもあるが、撮像素子の特性を把握しないと使いこなせない、ただしモニターに表示される画像はある程度撮像素子の正確な情報が見える(ドライバによる))

・天体カメラの場合はデジタルカメラのISO、色温度のような基準に沿った情報が無い。(カメラによってバラバラ)

・天体カメラのゲイン、デジタルカメラのISOは後段で読み込む数値を上げているだけで感度が上がるわけではない(情報量は撮像素子の性能と露出時間で決まる。)

・RAW画像で撮影しても画質が上がるわけではない(天体カメラはRAWでしか撮影できない、デジタルカメラの場合はカメラの画像処理と同等の画質を確保するためには現像ソフトでユーザーがかなり工夫しないと実現できない。)

・デジカメでJPG記録を選んだ場合、カメラの画像閭里の恩恵を受ける代わりに画像の圧縮、8ビットカラーに落とされる。

・天体カメラ、デジタルカメラ共RAW画像をリアルタイムに正確にモニタリングできる環境がない。(どちらもPCアプリの後処理画像しか確認できない)


上記に加え、RAWで撮影した場合、開くアプリによっても見え方が異なり、画像を確認しようにもモニターも8ビットしか情報を表示できません。

微細な光量の点光源を点に見えるように追尾し、長時間露光して情報量を増やさないと対象が見えないのにモニター環境も撮像素子の情報量を全て写せるわけではなく(8ビット)、RAWで撮影した場合、画像の情報がどのような状態かを把握しずらいというなかなか上手く撮影するのが困難な状態です。

結論を先に述べると上手くいかなくなる最大の原因は露出不足です。次にRAWで撮影した画像の処理が出来ないこと、ガイド撮影が上手く出来ないことなどになります。

なぜ露出不足が起きるのか、対処法はどのようなものがあるのかなどは次回に記載します。



前回の記事で天体写真は難しいこと、提灯記事が多く情報が錯綜していること、必要となる知識の概要、失敗写真ができる原因は露出不足であることを記載しました。

今回はなぜ露出不足になるのかの原因と対処法を記載します。
デジタル環境になってから撮影した画像のチェックがすぐに行えるようになりました。

天体カメラの場合はゲインを、デジタルカメラの場合はISOを上げると見えていなかった対象が簡単に見えるようになります。
しかしこれは感度が上がったわけではありません。撮像素子に記録されている一部の情報を見やすくしただけです。
巷に溢れる提灯記事も問題ですね。。RAWで画像処理の一点張りです。露出に関して詳しく記載している記事は全くありません。(まあ、露出のことを記載しても儲かりませんからね)
この状態で撮影してしまうので、結果的に露出不足の画像になるわけです。


カメラの撮像素子は電荷飽和量分の情報量しか取り込めません。これはコップに水を注ぐ時のコップの大きさと考えてください。高性能な撮像素子ほど多くの水を溜め込むことが出来ます。

コップの中に水ではなく、砂(ノイズ)と砂金(必要な信号)を入れると考えてみてください。
砂金の量を可能な限り増やすのが適正露出になります。
効率よく情報を取得する手段としてフィルターを利用するのも効果的です。(フィルターを使用した場合は更に露出時間が伸びます。)

適正な露出時間で撮影をすることが最も重要な要素になります。(RAWで撮影しても当然ながら情報量は増えません。14ビットをフルにとか言っても同様です。上記の例えだとコップの大きさ自体は変わらないということです。変わるのは砂と砂金の粒の大きさだけ、砂金の量に関しては露出時間を増やす以外に方法はありません)

現在のデジタルカメラの場合はISOを400くらい(公表されていないことがほとんどです)、天体カメラの場合はゲインが0の状態が電荷飽和量を最大にできる環境になります。

この状態で露出時間を変えながらモニターで最適に見える露出時間が適正露出になります。

この時注意することは、光害が強い環境だと対象が適正露出になる前に画像が飽和してしまうということです。
光害が強い環境であれば光害フィルターなどを装着して対象の情報をより多く取り込めるようにしてください。


電荷飽和量に関する概要はこの記事を参考にしてください。

この時、ヒストグラムを利用するとより正確に適正露出を確認することが出来ます。
このあたりの情報はこの記事を参考にしてください。

上記の設定でモニター上できれいに見えるようにするには結構露出時間が必要なことがわかると思います。
撮像素子の最大の性能が出る状態で、対象がきれいに見える露出時間を見つけることが上達の早道になります。(デジタル撮影の場合はすぐにプレビューが見えるのでこれを活用しないのはもったいないです)

この時に注意しなければ行けないポイントがいくつかありますので以下に記載します。

・デジタルカメラの場合はホワイトバランスを固定(色温度5000がベター)、マニュアルでバルブにする。(フィルターを使用する場合はカスタムホワイトバランスを作っておくと後工程が楽です)

・露出時間と同じ時間のダーク(蓋をかぶせて撮影)画像を撮影する。(長期露光のデッドピクセルとアンプノイズを画像処理で効率的に消すため)

・天体カメラの場合はゲインを0にする。

・光害の強い環境であればフィルターを装着する


カメラ側で行うことは実はこれだけです。
デジタルカメラを利用する場合は慣れないうちはJPEGで撮影することをおすすめします。

JPEGできれいに見えない画像ははっきり言って露出不足です。画像処理云々よりもまずは適正露出で撮影できるようになりましょう。

上記の通り、撮影時にフィルターを使用するとより必要な情報を取得しやすくなります。
そうするとさらに露出時間が長くなるので、架台の制御(オートガイド)などの環境も整える必要があります。

まずは上記の適正露出撮影をマスターすることがきれいな天体写真を撮影する早道になります。
特定の商品が見え隠れする記事とは書いてある内容が大分異なりますね。(世の中には如何に提灯記事が多いことか。。)
適正露出で情報量の多い画像が取得できれば、画像処理をあまりしなくても見栄えする写真になります。
(唯一必要なのがダーク補正です、デットピクセルは根気があれば画像処理アプリで消せますが、アンプノイズは難しいですから)当然ですが画像処理をマスターしたら更に情報を引き出すことも可能です。

これがもっとも基本になる撮影方法なのでまずはこの方法をマスターして対象ごとの適正露出値を体験的に身につけてください。

適正露出が把握できれば以前紹介した多段露光も可能になります。

適正露出を中心にアンダーの写真、オーバーの写真を撮影し、加算平均で合成することにより情報量を増やすことが可能になります。

以上が基本的な撮影方法ですが、実は、デジタルで撮影する場合、もう一つ撮影方法があります。
今回の方法が王道(なのにほとんど情報として記載されない)だとすると、そちらは撮像素子の特性を利用した応用(手抜き、しかし実は王道よりもはるかに面倒なのに王道より主流扱い)撮影方法と言えます。(でも上手くやればそこそこの画像に仕上がります。)
そちらについては後日別記事で記載します。


追記
提灯記事について記載しましたが、提灯記事全てが悪いわけではありません。
記事の中には非常に有用な情報も含まれている場合もあります。(無い場合もありますが。。。)

情報自体を売り物にしている場合、多かれ少なかれ情報のバイアスはあると考えたほうが良いです。(報道や広告業界などは露骨なバイアス情報は法律規制されていますが、実際は。。。)
今回の記事で少し触れた応用撮影方法をかなり曲解した撮影方法も世の中に出回っています。(しかも端切れで)

このような情報が溢れてしまうと、ユーザー自身が何が正しいのか判断できなくなるでしょう。
(特定の商品がちらつく記事は盲信しないのが身のためです。)

重要なのは必要な情報を見分ける力だと考えます。(正直世の中バイアスされた情報だらけです。。。)






前回の記事までで、撮像素子に最も多く情報を取り込むためには露出時間が非常に重要であることを記載しました。

天体のような情報量の少ない対象の場合は

・撮影時に不要な情報をカットする(フィルターを利用する)

・ヒストグラム上欠けが出ないくらい充分に露出をかける


ことが何よりも重要になります。
当たり前のことのようですが、このことがしっかりと明記されている記事がほとんどありません。。。(とくにカラーカメラの場合は輝度情報以外は補完処理になりますし、輝度情報に関してもフィルター分損失がありますので露出時間を多めに取る(少しオーバーになるくらい)ことが重要になります。)


しかし、デジタルの撮像素子を利用するといわば抜け道とも言える方法である程度の画像を取得することも可能です。

今回はそのことに触れて、このシリーズの締めにしようと思います。

その1の記事で記載したのですが、実は撮像素子はかなり微細なシグナルも感知する感度を持っています。合わせて暗電流ノイズと呼ばれる信号がなにも無くても出てしまうノイズがあります。

実際どのくらいのシグナルを受信できるのか、暗電流ノイズの量がどのくらいあるのかは撮像素子により異なります。

デジタルカメラのISOなどは撮像素子の特性を考慮して国際基準に合わせて定義付けしたものであり、実際の撮像素子の感度とは無関係です。

今回の記事で書く内容を効率的に実践しているのがEAA(電視観望)になります。

以下に方法を記載します。(露出時間を除けば写真撮影であっても同様です)

1.短い露出秒数(2~30秒のいずれか)で露出を固定

2.天体カメラの場合はゲイン、デジタルカメラの場合にはISOを最大に上げる

3.その状態で対象が捉えたい部分まで見えるか確認(ノイズは無視)

4.見えない場合は秒数を伸ばして2.3を確認

5.見えた場合は見えるギリギリのところまでゲイン、ISOを下げライブスタッキング


以上です。
EAAの場合はライブスタッキングと呼ばれる手法でスタッキング操作が自動化されます。

撮影の場合は画像をPCに取り込んでスタッキングアプリで後処理します。

自動導入経緯台を用いたEAAの場合は星が点に見える秒数が最大になります。

赤道儀、オートガイドなどで追尾する場合は露出時間に制限がありませんが、この方法を試すのであれば、10~30秒露出で露出を設定してください。(あまり長くするとモニターでチェックする時、効果がわかりづらくなりますので。。。)

両者とも1~3の準備は変わりません。
準備後に撮影、またはライブスタッキングするという流れです。


この操作を行うことで暗電流ノイズがスタッキングにより平均化されます。(フラットなグレースケールになります)
暗電流ノイズがフラットなグレーになるため、微細な信号と選別しやすくなります。

この状態で再度、画像処理としてグレー部分を暗く、信号部分を明るく見えるよう調整します。(名称はアプリによりことなりますが、ヒストグラム上の特定領域のレベルを上下する操作になります。)

この操作を行うことで、本来撮像素子が設定した露出時間で取得しているシグナルを効率よく見えるようにすることが出来ます。(しかもけっこうきれいに)

スタッキング枚数の目安としては対象の明るさにより異なりますが、暗い対象だと最低でも数百枚無いと完全には平均化されません。(暗い対象ほどノイズと選別しずらくなりますので。。)

そして、スタッキングを行う場合は撮影時の露出時間のダーク画像は必須になります。(スタッキングだけだと長時間露光で顕著になるアンプノイズやデットピクセルが増加します。)

明るい対象であれば、少ないスタッキング枚数でそこそこ綺麗になりますが、暗い対象の場合はゲイン(ISO)を上げることになるためかなり大量のスタッキングが必要になります。(暗い対象ほど歩詰まりが悪くなります。)

さて、ここまで書いて簡単に感じる方は何人いらっしゃるでしょうか?

適正露出で撮影する方法と比べるとPCでの画像処理が必須になるため、難易度は高くなります。(そして暗い対象ほど歩詰まりが悪くなります)

この方法は本来撮像素子が露出時間で取得しているシグナル情報を見やすくするための方法です。
誤情報があふれていますが、スタッキングを何枚重ねても露出時間が増えるわけではありません。(誤った情報が錯綜しています。。。あくまでも取得できる情報量は露出時間に依存します。

あくまでも露出時間で得られたシグナルが見やすくなるだけです。(ただし、ダーク処理を施さないと、アンプノイズとデットピクセルは増えます)

とはいえ、PC操作に慣れた方なら気軽に対象を確認できる方法とも言えます。(しかもそこそこきれいに見えます)
モニタ上で観望するだけであれば、ダーク画像を取得しなくても気にならない方もいるでしょう(アンプノイズやデットピクセルは増えていますが)

現在ではライブスタッキングが可能なアプリなどもありますので、PC操作に慣れている方であればEAAなどからこの方法を試してみるのも面白いと思います。


追記
将来4Kビデオなどで星雲などが写るような感度を持つ機材が出現したら、惑星処理で利用されているラッキーイメージング法(ビデオのフレームをスタッキング→強調処理)が可能になります。(この方法も誤情報が多いですね。。。デジカメで数秒露出ではラッキーイメージング法になりません、上記のスタッキング利用した暗電流ノイズを平均化する方法になります。)

ラッキーイメージング法は暗電流ノイズを低減するだけで無く、分解能も高めることが可能です。(ビデオのフレームのように短い露出時間でスタッキングすると大気のゆらぎなどを平均化できます。その後の画像処理である程度大気の悪影響をキャンセルできます。)

画像処理に関してはその原理を把握し、適切に準備や処理を行わないと目的に到達することが出来ません。

端切れの情報や方法論に振り回されるのでは無く、対象にとって最適な露出時間の把握や、それぞれの処理法に取り組むのであればどのような原理なのかを理解するように心がけてください。

個人的には初心者の方はカメラ側で国際基準の測定値に順した設定を持つデジタルカメラ(天体カメラの設定値は基準がありません)を用いて、カメラ側の画像処理結果をプレビューできるJPEGで撮影を行い、最適な露出時間の把握や、機材の制御を最優先して、RAWでの撮影や画像処理などの知識はある程度撮影に慣れてからの方が迷子になりづらいように感じます。(デジタルカメラの場合ISO、ホワイトバランス、プロファイルといった基準となる設定値がありますが、天体カメラはそれらが全てありませんので、ある程度自身でパラメーターの関連性を把握する必要があります。(上級者向けです))

更に追記
最も綺麗な画像が得られる方法は、一部のマニアの方が実践しているカラーフィルタ-を持たないモノクロ撮像素子のカメラ+カラーフィルターでそれぞれを個別に撮影し、画像処理で合成するLRGB合成になります。(感度的にはCMYフィルターを利用するほうが有利です)
画像処理必須、手間もかかるので完全なマニア向けです。

が、しかしカラーカメラでも露出時間さえ適正であればそこそこ良い写真になるはずです。

短時間露光+スタッキングで撮像素子本来の感度を見やすくする方法は上記に比べて数段劣る画像になります。(なにせ元の情報量が少ないですから。。。)

しかし、画像を確認するモニターもプリンタも8ビットさえまともに見えていないような状況なので、それらの違いが大差なく感じる方もいるかもしれません。(それも誤情報を招く一つの要因になりますが。。。現状はそれ以前に感じます。)

更に追記
撮像素子の受光特性を正確にシミュレーション出来る画像処理技術が確立されれば、もしかしたらビデオ映像からフレームスタッキングにより長時間露光のシミュレーションが出来るかもしれません。(かなり複雑な処理になりそうですが。。。)

これができれば記録時間の半分(フレーム分シャッターが閉じていますので)の長時間露光のシミュレーション画像を映像から作り出せます。

惑星画像を映像のスタッキングから解析処理して作り出すことも出来たので、この技術が確立されれば映像から天体写真を作ることが出来るかもしれませんね。

プロフィール

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Author:TーStudio
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