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前回長々と他の業界の制御規格について記載しましたが、まだ続きます。(笑)

今回は規格ではなく制御部分や制御に関わる機構部分についてです。

自動導入機能をもったアマチュア用のマウントの殆どはサーボモーター、もしくはステッピングモーターを利用したオープンループ制御になります。

オープンルーブ制御というのは軸側の回転数をフィードバック制御する機構が無い制御方法になるのですが、実はオープンルーブ制御にすることで操作上の制約が多数生まれます。

・原点が無いため、ユーザー側で原点登録が必要になる
・クランプを緩めた手動による動作が不可
・原点、位置情報がユーザ定義、モーターのステップ数(サーボモーターの場合はモーター軸上のエンコーダステップ)依存になるのでパーク機能の実装が困難
・モーター脱調などが起きた場合再度アライメントからやり直し


オープンループがあるということはクローズドループ制御もあるということです。
こちらは回転軸上にも位置解析のエンコーダーが設置されており、その情報を元にフィードバック制御することで、軸の回転角度を正確に制御することが可能になります。

モータードライバにエンコーダーの原点情報を登録されていますので、非常に正確な原点復帰も可能になります。
原点や架台の向きが電源オフになっても機器により管理されているので圧倒的に扱いが楽です。

天体用のマウントとして理想的ですね。
ではなぜ正確さを要求されるアマチュア用の天体機器のマウントに採用されていないのでしょうか。(研究用は当たり前にクローズドループだと思います)

理由はおそらくですが
”ロータリーエンコーダーが高額で、モータードライバの開発にもよりコストがかかるから”だと思います。

過去はステップ数の多いロータリーエンコーダーは非常に高価でしたが、現在ではかなりコストが下がっています。
メーカー努力でモーターのカウント任せのオープンループから脱却して観測機器として扱いが容易なクローズドループ制御の架台が登場してほしいですね。

もう一つはかねてから記事でも多数取り上げていますが、制御端子やケーブルの取り扱いに関してです。
屋外で使用し、都度設置が必要なのにケーブルも端子もむき出し、鏡筒の向きによっては端子と干渉する危険があるなど、機器を追加設置する際の配慮が全くなされていません。。。

EAAや天体写真となると複数機器の取り付けは必須です。
ケーブル1本忘れるだけでも観望や撮影ができなくなります。


にも関わらずなぜ設置を考慮した設計がなされていないのでしょうか。。。
(当然ながら研究機関が使用する機器に関しては当たり前のように上記対応がされています。じゃないとトラブルの元になりますから。。。)

前回の規格でも触れましたが、現状機器の不足部分の対応をアマチュアの努力に依存している傾向があると思います。

そして、アマチュアに関しては機能を追求するがゆえ、機器の安全性や操作性に関してまで対応できない(機器の形状上安全性を配慮し辛いことや、ハイアマチュアの制作したアプリなどを利用した場合は、項目によっては不足部分があったり、複数機器を連動させた場合、動作が不安定になることもあります)=初心者が扱いづらい機器になるということです。

天文業界は人口が少ないですが、前回記載したイベント業界(照明機器製造)などは天文業界よりさらに輪をかけてニッチな業界になると思います。(それでも業界として独自規格を立ち上げて普及させています)

天文に対するユーザー層の拡大を狙うのであれば、メーカーサイドとして不足部分を見極め、魅力的、かつ安全に使いやすいな商品開発に取り組んでほしい所です。(アマチュアの努力は他の趣味領域と比較しても圧倒的に高いと感じます。そこに胡座をかいていたら新規層は獲得できないでしょう)


結構厳しい意見でのまとめになりましたが、横断的にいろいろな業界を見てきた本音です。
星空観望などのイベントでは沢山人が集まるのに、趣味として機材を購入したい人がほとんどいないのはなぜか?

積極的なアマチュアには機材の不具合に対処する情熱やスキルがありますが、興味がある程度の人はその敷居の高さ(機材の難易度、見た目(これも非常に重要です)で躊躇、もしくは踏み込む前に挫折しているというのが現状だと思います。(EAAとかも現状ではちっとも簡単ではありませんしね、電源入れたらすぐ見れる、ボタンひとつですぐ導入くらい簡単に使えるように見えないと試してみたいとは思わないでしょう)


追伸
ハイアマチュアでもかなり安全性に考慮された天文台の機材を自由に使っていいよ、と言われて喜んで使う猛者は少数でしょう。天体に興味がある程度の人にとってはアマチュア用の機材はそれとは別の意味で更に怖い存在に見えていると感じます。

触ったら壊れそう→実際に壊れる可能性がある(苦笑)
難しそう→実際に操作が難しい(苦笑)
見た目が複雑で触るのが怖い→そうかな?(埋めがたい大きなギャップ)


さて、あなたの機材は”自由にさわっていい”と伝えたら相手からどのような反応があるでしょうか?
(残念ながら私の機材も怖がられそうです(笑)、高感度ズーム観望セットがぎりぎりセーフかなあ(多分アウト))






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このブログでは天体機器の制御に関して多く触れています。

私はエンジニアではありませんが、過去業務でコンテンツ(グラフィック、サウンド、映像、Webなど)の企画制作や研究・教育を通じて複数の業界の制御規格に触れることがありました。(メインは芸術系です)

業界は違えど機器を制御するというところでは共通項があります。

まとめ方として業界別に記載しながら、天体機器の制御にも活用できそうな部分にも触れていきたいと思います。(連休中のひまつぶしとしてご活用ください。)

●音楽業界
音楽は複数の演奏をまとめて、一つの楽曲とする性質上かなり早くから制御の体制が整った業界でした。
その中でも特筆するのはMIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格です。
実は電子楽器というのは様々なスイッチの塊です。

その演奏情報やシンセの音色情報をデータ化(録音ではなく、演奏やシンセのパラメータを操作した制御情報)をデータとしてメーカーを問わず共通化したのがMIDIです。
MIDI登場前は各社とも演奏情報の信号の扱いがバラバラでしたが(YMOなどはMIDI前です)、MIDIが登場することにより対応機器はケーブルを繋ぐだけで演奏情報を伝達できるようになりました。

複数の演奏情報をまとめ、後からデータの編集を行うことで複数楽器の制御も可能になります。
これにはシーケンサーと呼ばれる専用機器やPCが利用されました。

MIDIが優れていた所はハード側で規格に対応することで、メーカーを問わずデータを活用できたこと、複数機器の制御が規格制定時から考慮されていたことでしょう。(TMがこの世代、シンセ大量に並べてシーケンサーで制御していましたね)

楽器も進化して1台の音源で複数の音色を同時に鳴らせるようになり、1台のシンセでも音楽ができるようになってきました。
音色のプリセットの番号やシンセのパラメータ類まで定義したGM(General MIDI)という規格も誕生したことにより、対応機器であれば正確に複数の演奏情報を再現できるようになりました。1台の音源とPCで音楽を制作するDTM(Desk Top Music)という趣味も生まれ、業界的にはそれらの機器を業務向けにセットアップした通信カラオケが誕生しました。

私がコンピュータに触れたきっかけは実はMIDIです。(メインの仕事ではありませんが)この規格が非常に幅広い制御情報を扱っていたため、他の領域の技術習得にかなり役立ちました。

印象的だったのは規格制定に対し日本の企業がかなりイニシアチブを取っていたことです。
そのため通信カラオケで使用されている音源チップはいまだに日本の企業が開発したものが使用されています。

規格として伝送プロトコルをハード側で用意(接続端子類含め)していたことが非常に先進性が高かったと思います。
先に触れたように電子楽器自体がスイッチの塊なので、実は様々な制御に活用できます。

某アーティストのコンサートでは専用インターフェイスを作り、MIDIで照明が制御されていました。


●映像業界
この業界は実は放送業界ビデオ業界で大きく二分されています。
どちらにおいても映像信号の伝送形態や伝送信号に関しては非常に厳密に規格化されていましたが、機器の制御に関しては世界的に見てもSony一強だったので、シリアルを利用した独自規格がメインでした。(後にVDCPとして定義)

民生用としてこれまたSonyのLANCなどもありましたが、各社バラバラ(どこかの業界と似ている。。)でした。

転機となったのはDVビデオ規格で利用されたIEEE1334規格です。
映像信号の伝送以外にも機器の制御も一本のケーブルで可能で、PCでの制御や編集も非常に容易にできる環境が整いました。

DV規格は元々は民生用(家庭用)の規格でしたが、画質も良くPCを利用した編集環境が容易に構築できることからビデオ業界で多数活用されました。(ちょうどPCの処理能力もビデオ信号を扱えるくらいのスペックになったのでタイミングが良かったと思います。)
それまでテープ一辺倒だった映像編集にノンリニア編集と呼ばれるPCを利用した編集環境が普及したのもDV規格とIEEE1334規格によるところが大きいと思います。(テープ・データのハイブリット編集環境)
その後、地上波のハイビジョン化に伴い、HDVに進化しました。

現在ではネットワークを利用したNDI(Network Device Interface)という規格もできており、業務機器一辺倒だったこの業界もかなり多様化が進んでいます。

映像に関しては制作業界だけではなく、産業・監視などでも利用されています。
この領域ではカメラのリモートによる一元管理などが求められるため、放送・ビデオ業界よりも積極的に制御に関する取り組みが行われています。
こちらで特筆すべきなのはONVIF(Open Network Video Interface Forum)でしょう。
対応した機器はTCP/IPを利用したネットワーク管理、リモート制御が可能になります。
(けっこうそのまま天体機器に使えそうですね。)


●製造業界
自動制御(オートメーション)などが最も早く取り入れられた業界です。
そのため、最も制御の取り組みが進化していそうに感じますが、ほとんどが独自プロトコル(しかもシリアルやパラレル)のようです。(未だにPC98などで制御しているのもこの業界です、中古のPC98が高値で取引されるのはこのため)
製造機器の導入スパンが長く、専用性の高い機器が多いため開発はその領域に特化した企業が独占的に行っている傾向が高いようです。(なんか天体機器業界と似ているような。。。。)


●その他
その他としてちょっとおもしろいのはMIDIでも触れた照明業界(イベントになるのかな?)です。
照明機器をリモート制御する規格としてDMX512-A(通称DMX)があります。

MIDI同様ハード側で規格に対応し、対応した照明機器を512台(理論値)までデイジーチェーン(数珠つなぎ)できるようです。
イベントの照明というとどちらかというと今までは超アナログなガテン系(偏見失礼)といったイメージがありましたが、MIDI規格を照明機器に寄せたような共通規格を制定してフルオートメーションができる状態ができています。

私も実験的に触ったことがありますが、PCを利用して制御することも専用機器で制御することも可能です。
MIDIよりはシンプルで理解しやすいですね。


●まとめこれからの天体機器制御に求められるものは
現状の天体機器の制御は全て独自プロトコルです。(カメラ類のみ別)

天体は映像機器、モーター、スイッチなどを統合制御する環境になります。
しかも、撮影やEAAとなるとそれらをまとめて使う必要があります。
それぞれの機器の独自プロトコルを一括制御する取り組みとしてはPC(しかもほとんどアマチュア開発者)任せになっているのが現状です。

一つは統合アプリ(アプリ内でそれらのプロトコルを制御できるもの、有料アプリが該当)、そしてもう一つは汎用ドライバ(正確にはミドルウェア、ASCOM、Alpca、INDI、INDIGO)とそれに対応した統合アプリを利用する方法(海外のアマチュア開発者が制作)です。(最近中国のカメラメーカーがSBCを利用した専用機を作っていますね、中身はINDI+専用アプリ+ハードです)

どちらにしても共通するのはハードウェアの動作保証が無いということです。(ハードウェア機器メーカーが関与していませんしね)

天文分野はアマチュア、研究開発機関とも非常に積極的な傾向があると感じています。(研究者やアマチュアがハードやアプリ開発にこれだけ深く関わっている分野は非常に少ないでしょう)

にもかかわらず機器を制御する取り組みがどこかチグハグです。
私達がメインで利用しているのはアマチュア有志が作ったアプリがほとんど、それにより機器を利用できているのでありがたいことですが、以前触れたようにPark機能など充分な実装になっていないものもあります。(自爆スイッチに早変わり)

これは、研究開発機関は、製造業界同様クローズドな専用機器を独自開発して使うため汎用性が求められず、アマチュアが使用する機器に関してはメーカーがそれぞれ独自に開発して自分の所に機器だけを制御できるようにしているからです。(データベースに関しては研究機関の恩恵をアマチュアでも受けることができます。。。が、制御に関しては皆無に近いですね)

研究開発機関、アマチュア用の機器共(サイズが異なるだけで制御内容はほぼ一緒です)、MIDI、ONVIF、MDXなどのようにハードウェア側が規格に準拠すれば状況は一変すると思います。(これだけ優秀な人材(研究者、アマチュア共)が揃った天文業界で統一規格がないのはもったいないですね。)


追伸
100%文字(笑)、でも横断的に制御に関して触れている記事って少ないのでご笑覧ください。
そして、過去最も自分が長く在籍してきた業界の情報が皆無です。(苦笑、非常にアナログな分野なのでしょう)


さて、それでは前回の続きです。

私は複数台Macを所有していますので、今回はメインマシン(MacPro)の環境を一式MacBookProに移したいと思います。(Macの場合ハードによって対応しているシステムバージョンが異なります。※両者が対応しているOSバージョンであればクローンから起動できます。)
※WindowsやLinuxではこんなことありませんが、Macの場合ハードがApple一社だけなので発売されたときのOSをベースにして数年間のアップデートができる構造です。発売されるより前のOSは使えません。古いマシンはOSアップデートが打ち切られます。(やりたい放題です。。。後述しますが年一度のメジャーアップデートは極力注意してください)

2022-04-27-1.jpg
まずは”アプリケーション”→”ユティリティ”→”ディスクユティリティ”でMacのディスクユティリティアプリを開きます。
左側のHDD欄からクローン元のシステムが入ったSSDを選択して赤枠部分のボリュームのフォーマット形式を確認しておきます。
(私のシステムはHigh SierraなのでAPFSでした。)

2022-04-27-2.jpg
次は、クローン先のSSDを選択して起動ディスクとして使用できるよう初期化します。(重要)
1.クローン先のディスクを選択→2.消去ボタンをクリック→3.SSDの名前をつける→4.フォーマット形式をAPFSに変更(画像ではまだ変更されていませんね。。)→5.”方式”と記載されているパーテーション形式を”GUIDパーテーション”に変更(重要、このパーテーションでないと起動ディスクになりません。)→6.消去ボタンをクリック

Macの場合クローン前に事前にディスクユティリティを使ってパーテーション形式とフォーマット形式を変更する必要があります。
パーテーション形式は”GUID”、フォーマット形式は”HFS+(〜OS12)もしくはAFPS(〜OS13)に事前に変換しておきましょう。


2022-04-27-3.jpg
次は前回紹介したCarbon Copy Clonerを起動します。
”ソース”をコピー元のSSDにして、”コピー先”を先程初期化したSSDを選択します。

あとは”クローン”ボタンを押して放置※
※Macが一台だけの場合はMacを立ち上げて、外付けケースに入れたSSDを上記初期化をしたあと、接続し、Carbon Copy Clonerで”ソース”のコピー元を内蔵ディスクにして、”コピー先”を先程初期化した外付けSSDにします。
時間がかかりますが、元となるOSにインストールしたアプリや設定など一式引っ越せます。

通常であればこれでネットワークのIPアドレスの変更(固定している場合)や、ユーザー名の変更、アクティベーションが必要なアプリ(音楽系に多い)を行って終了です。

私はアプリだけで600GBほどあるので、新規からインストールすると数日かかりますが、この方法だと一日でなんとか終わります。(それでも長い。。。。)

万が一この方法でうまくいかなかったり、アプリなどもあまりないので新規でインストールしたいという方はMacBookProをLanケーブルに接続して起動時に”コマンド”+”オプション”+”R”キーを押しながら起動することでネットワークリカバリーモードに入ります。

ネットワークを通じて起動ディスクが構築され、ディスクユティリティやOSのインストーラーが利用できますのでHDの初期化やシステムの再インストールが行なえます。

OS標準の移行アシスタント – Time Machineでうまくいかない方は上記お試しください。


追記
Macは年に一回OSがメジャーアップデートされます。
その間マイナーアップデートが何回か行われます。
アプリが使えないなどの不具合が無ければ年に一回OSアップデートはしなくても良いです。(アップデートしたほうがトラブります。。。)
年に一回のメジャーアップデート後も以前のOSもマイナーアップデートされ続けます。
大体小数点.6が最終バージョンになります。
その環境が一番安定していますのでのんびり対処してください。
(ウィルスの脅威もありませんし(笑))

私は初期の頃はOS標準のTimeMachineでバックアップを取っていましたが以下の理由でCarbon Copy Clonerに切り替えました。
・バックアップが都度全て履歴されるのであっという間にバックアップ用のHDDの容量が無くなる。
・システムが立ち上がらなくなったときバックアップから復帰ができないことが多々あった。

Carbon Copy Clonerはクローンも簡単に作成できますし、その後差分アップデートも可能です。
私は別のHDDにシステムのシステムクローンを作り、自動で差分アップデート、自分が作成するデータなどは別のHDDに保存し、これもまた別のHDDにクローンして自動で差分アップデートする設定にしています。

万が一システムに不具合が出ても起動時に”オプション”キーを押してすぐにクローン側のOSを起動することができます。
(そしてクローン側で不具合が出たOSを修復します。)

別のマシンに不具合が出たときは、不具合が出たマシンを”T"キーを押しながらターゲットディスクモードで立ち上げ、不具合の出ていないMacに接続します。こうすることで不具合が出て立ち上がらないMacがHDDとして表示できますので、接続したMac側からシステムを修復できます。


プロフィール

TーStudio

Author:TーStudio
色々工夫しながら星空を楽しんでいます。
興味あるカテゴリを選択してお楽しみください。

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