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INDIフォーラムでメイン開発者のジェセムがEAA機能の追加に対して意見を求めていました。

私自身も強く希望していた項目でしたし、今回アップデートトラブルでINDI環境がメインではなく、Windowsと共存することになりましたので、INDIに対する今後の要望も兼ねて、フォーラムに送付した内容をブログにも記載しておこうと思います。(これから始める方にとっても全容を把握する内容になるかと思います。)

まず初めにお伝えしたいこととしてINDIは動作も軽く、様々な制御信号をTCP/IPのパケット通信でカプセル化して送信出来るという特徴のほか以下様々な利点があります。

・ドライバのマルチクライアント対応

・マルチサーバにも対応(クライアント側で工夫が必要)

・無料環境で唯一のプラネタリウムアプリを含んだ自動天体撮影機能(ドライバの接続なども自動化できるため、使いこなせば完全無人撮影も可能になります。)


7年ほど前に使い始めた時に、ラズパイでも動作する軽量さと複数クライアントを自由に接続して使用できる柔軟性に着目し、Windows環境から移行しました。

一方で、長年使ってきたことでこの環境の検討点も見えてきました。

・初回の機器の接続までがとにかく面倒(サーバ・ドライバ起動→コントロールパネルの設定→保存)

・Ekosに写真撮影を行う上で若干の不足機能がある。(Parkなど、チャットで途中までやり取りしていましたが途中で終わりました。。現状正しくPark設定出来る場所は星図を右クリックして出るメニューで登録する以外ありません

・機能追加を繰り返したため、ユーザーインターフェイスの整合性が悪い部分がある。

・他の環境でよく見られるライブビューを見ながら撮影を行うという環境が弱い(惑星撮影には使いづらい)


以前からフォーラムでも何度か要望を出してきましたが、チャットなどでやり取り(懐かしい)して実装されたもの、無視されたものなどさまざまありますが、やり取りが完遂したものはありません。(全て途中で終了しています。)

EAAが実装されれば無料のみならず有料でも世界初の天体機器統合環境になりますが、前出のように現状の見直しも行っておかないとStellarMate登場時以上の混乱状態に陥ることになるかと思います。

ではフォーラムに投稿した内容を解説と共に記載します。

まず新機能(EAA)を搭載する前に検討する事項

・新規ユーザーが参入しても混乱しないドライバ接続ルールの見直し(現状の矛盾点の消込みとクライアントの機能不足で使いづらい状態になっているマルチサーバー対応、実装が不十分なパークなど)

・既存のモジュールなどにEAA機能を追加しない(撮影用の実装なので使いづらい、自動撮影などに悪影響が出る。既存ユーザーにとって不要なトラブルの追加要因になる。)

・EAA機能は独立的に使用し、既存機能と効率的に連携できるようにする。


まず既存機能に追加する部分です。

new-1-Kstar.png
New-4-Ekos.png

ご覧のように上部に機能毎のタブを設けるだけです。
Ekosはそれ自身にもタブがあるため、Ekos機能のタブは左側に移動します。
Ekosで機能が不足・矛盾し、ユーザーの混乱原因になっているサーバ接続のモジュールは廃止し、新規に以下のINDIーSettingモジュールとして独立させます。


new-2-indi-setting.png

新規にタブの独立項目として設置する”INDI-Setting"タブです。(個人的には一番重要だと思っているところ)
機器の接続を容易にすることを主眼に置きながら、マルチサーバ対応、シリアル以外はPlug&Play接続など抜本的に見直します。

この機能を実現する上で重要なのは”サーバの常時起動”です。
サーバは常時起動することで以下の働きを行います。

・Lan内全てのサーバの監視
・Lan内のサーバに接続された機器の自動リストアップ(USB接続機器(天体カメラなど)は自動、シリアル機器などユーザーが接続指定する必要があるものはシリアルアドレスとローカルアドレスでリストアップ)

・サーバ間でのユーザープロファイル、ドライバXMLファイルの共有(Lan内どこでも同じ状態に、ユーザープロファイル要素は以下)


ユーザープロファイル要素(接続機器はユーザープロファイルとしてまとめてサーバに記録します。):登録したユーザープロファイル、接続機器の設定用xmlファイル、パーク設定ファイル、KStars・Ekosの設定ファイル

Lan内にある全ての機器を自動接続にしたいのですが、シリアル機器はユーザーが明示的にドライバと紐づけしないとPC側ではなにかがわかりません。

そのため、サーバのXMLファイルからシリアル機器をフィルタリングし、ユーザーが選んでいけば接続するようにします。(上図赤枠吹き出しの真ん中部分)

マウントドライバは日時・緯度経度情報も必要になるため日時・緯度経度をどこから取得するかの項目を目追加します。(上図赤枠吹き出し右側)

接続した機器は画面下側部分の”My INDI Device"に並びます。
接続を終えたら接続用のユーザープロファイルとして保存すれば(用途に合わせて複数可能)、次からは自動接続が完了した状態で使用できるようになります。(トラブルさえ出なければ、初回以降は見る必要も無しです。)

今までユーザーが最も混乱する要素だった機器のコントロールパネルは接続機器の”エディット”項目として扱います。(ユーザーが設定する必要のないオプション項目)

これを実現するために重要なのはドライバ配布時に問題なく接続出来る設定ファイルを同封することです。(現状の一部ドライバの設定ファイルの中身が白紙とかは論外)

上部白枠部分に自動的にリストアップされた機器から使うものを選択→下の”My INDI Device”に緑色でリストされれば接続完了、接続した機器をユーザープロファイルとして保存すれば、Lan内のどのサーバーからでも選択→接続が可能、、、と、今までの煩わしい接続前の準備が不要になります。(INDIを難しく感じる諸悪の根源はドライバ接続時に怒涛のように登場するドライバコントロールパネルだと感じています。(しかも設定しないと使えないし))


さてではいよいよメインのEAA機能です。

new3-EAA.jpg

こりゃもう電視観望したことある人なら見ればわかる感じですね。(笑)
SharpCapとCCDCielのいいとこ取りです。

INDI全体がこのように見ればわかるくらい簡単になれば最高ですね。

余談ですが、昔フォーラムでユーザーが積極的に追加機能を要望していた頃、私も上記のような要望を端切れに出していましたが、その後StellarMateが登場して別の意味でフォーラムが賑やかになりそういった要望はかき消されるようになってしまいました。。。(ZWOがそこで出ていた要望をパクってASIAir登場・・・とか(笑))

まあ、昔ばなしも含め、INDI全体の説明にもなると思いましたので記事にしました。

どのような形で実現するかの最終判断はジェセムに委ねられますので、この大きな機能追加を期に良い方向に進んでほしいなと期待しています。(StellarMateの時のようなドタバタは本当に勘弁、しかも今だに続いているような。。。。私自身アップデートでドライバが接続しないとか報告し続け、ウザがられて無視されるのはもう嫌です。。。(苦笑))





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アップデートでマウントドライバの追尾がおかしくなってしまいEAA環境をWindowsに移行しました。

一通り安定して動作していますが、どうしても不満が残るのがPlateSolvingの遅さです。

ASTAPだとそこそこ速いのですが、こちらは解析が失敗することが多く、反対にAstrometry.netは解析の失敗はありませんが非常に遅いです。。。。

INDI環境で使用しているStellarSolverの快適さに慣れきってしまっていたので、使用していてストレスが溜まります。。。

幸いなことにCCDCielを利用するとLinuxやMac同様Astrometry.netのオプション設定が可能ですし、ASTAPとの切り替えも容易です。

Astrometry.netは解析が速くなるように、ASTAPは解析の失敗を減らすように調整します。(ちなみにここで行う調整はLinuxやMacでも有効です。)

2023-05-28-1

まずはAstrometry.netからです。

Astrometry.netは
・解析画像が小さい方が速い(かなり小さくても問題ない)
・Tycho2インデックスファイルを追加すると解析の失敗が減る(41○○番のインデックスを追加(これは既に実施済み)
・無駄な解析処理を減らすと速くなる
・ノイズに強い


という特徴がありますので、設定で最適化します。

上図の赤枠部分を変更します。

上から検索範囲
デフォルト30→20へ(検索範囲を狭める、15でも良い)

ダウンサンプル
可能な限り小さな画像に→私は4にしました。

オプション設定
デフォルトは
--no-fits2fits(fitsファイルのヘッダの不具合を治す)
だけでしたが、以下のように修正します。

--no-fits2fits --scale-units degwidth --scale-low 1 --scale-high 2 --guess-scale --no-plots --no-verify --no-remove-lines --uniformize 0

--scale-units degwidth --scale-low 1 --scale-high 2→で撮影画像の横幅を定義します。
--guess-scale→これも同様に画像サイズの取得です。(Fitsヘッダから読み取り)
--no-plots --no-verify→プロットしない、ベリファイしない
--no-remove-lines --uniformize 0→座標テーブルから線を削除しない、星の抽出をしない

画像サイズの定義が結構劇的に効きます。私の場合自分の環境の画角に合わせて--scale-low 1 --scale-high 2(横幅1~2°)にしましたが、この数字は環境に合わせて書き換えてください。
ここで画像の大きさを大まかに指定し、--guess-scaleでFitsヘッダから画像サイズを取得と二段階に画像サイズを定義することで取りこぼしなく画像サイズに合わせた処理を行うようになります。

--no-remove-lines --uniformize 0はnekomesiさんが検証していましたのでありがたく知識を流用させていただきました。(ありがとうございました)


次はASTAPの設定

こちらの特徴は
・そこそこ速い
・解析に使用する画像にシビア(大きすぎても小さすぎてもダメ、ノイズも少なくないとダメ)


Windowsの場合、Astrometry.netと比較すると速いですが、解析の失敗が多いです。。。
そのため、解析の失敗を減らす方向で調整します。

まずはCCDCielから

スクリーンショット 2023-05-28 015500

Astrometry.net同様解析範囲を狭めます。
デフォルト30→20

ダウンサンプルは私のカメラがASI224なので行いません。(減らすと解析が失敗する)

最後に"Advanced Setting"ボタンでASTAP側で設定


スクリーンショット 2023-05-28 015833

・解析の最小角をAUTOに変更(デフォルトは1)
・解析の最大角を180に変更(この設定でブラインドSolverも可能になる)
・インデックスファイルの読み込みをAUTOに変更(これで複数インデックスファイルを解析する)


私はEAAで焦点距離が短いため、インデックスファイルはG05、W08、V50の3つを入れてあります。
インデックスファイルに関しては使用する画角の最小限と記載するサイトが多いですが、可能な限り複数の選択肢を持たせたほうが解析の失敗が減ります。(ASPSで解析の失敗が多いのはこのため)

上記設定の結果ですが、Astrometry.netは解析速度が4~5倍(ブラインドSolverで1~2分かかっていたものが2~30秒に)、ASTAPは解析の成功率が2割程度→9割程度に増加しました。

Astrometry.netはWindowsではエミュレーション環境なので、どうしても本家のLinuxやMacに比べると遅くなりますが、ブラインドSolverでこれだけの速度がでればマウント座標を取得する状況であればおそらく10秒以内で解析してくれると思います。(多分もっと速そう、ASTAPと比較してもそれほど見劣りしません。。。というか下手したらASTAPより速いかも)
ASTAPもかなり解析の失敗が減りましたので、通常はこちらをメインにして解析が出来ない対象はAstrometry.netを使用してもそれほどストレス無く使用できそうです。

CCDCielを使えば解析後のマウントへの同期なども安定して行なえますのでようやくこれで不満部分は消し込めたと思います。

Solverの不調でお悩みの方はお試しください。


追記
なんとCCDCielとSharpCapでカメラのドライバを接続したまま利用できます。
今までSharpCapは広角のファインダー映像確認に使用していましたが、CCDCielでSolver→同期後、CCDCiel側のループを止めればSharpCapでそのままスタッキングが可能です。

EAA環境はSolverも速くなったので、もうこれでいいかも

ちなみにMacやLinux系はAstrometry.netに関してはINDIが入っていれば上記対策しなくてもバリバリにオプション設定がされていたので不要でした。(逆にデフォルト状態じゃないとエラーが出る)

月と惑星接近を眼視で確認した後、せっかくの晴天なのでリモートEAA観望も行います。
(そろそろ高感度カメラ+電動ズームレンスでの観望の方が楽しくなりそうですが、チェックも兼ねて)

さて、新環境のEAAですが、立ち上げるアプリ数も多いため観望前の準備が面倒です。。。。

観望が出来るまでの工程数を数えるとなんと27。。。(ちなみにINDI環境の時は14です。)
毎回こんな面倒なことをするのは嫌なので、マクロで自動化しました。

WindowsやMacは簡単に使えるマクロアプリが多いので私同様設定などが面倒に感じている方はお試しください。
ちなみに私が使用しているのはUWSCです。


2023-05-24-1.png

マクロを作り終えたらタスクバーに登録します。
あとは、クリックして数分放置。

待っている間にタブレットのSkySafariを接続すれば。。。。


IMG_5412.jpg

デジャブ感たっぷりの準備完了です。

さて、何見ようか


Screenshot 2023-05-24 225113

Solveが遅い。。。が、しっかり解析します。
ピントズレてるな。。。


Screenshot 2023-05-24 225418

アプリ切り替えて直します。


Screenshot 2023-05-24 225534

ちなみにSolveは画像を右クリックして選びます。
機能が豊富ですね。

一回目のSolveは遅いですが、二回目以降はそこそこの速度です。(StellarSolverの速度に慣れた身には少しつらい)

ちなみに以前記載した通り、Solve時もLoopかけたままです。
この辺の操作感や安定感は魅力ですね。

この後も観望続けましたが、安定しています。

次は高感度カメラ+電動ズームレンスで観望かな。(対空双眼で眼視という手もあります。)


追記
ライブスタックした画像をアップしようと開いたらFITSだとモノクロになってしまう。。。デベイヤーかけてもカラーにならない。。。
こりゃ保存形式変えないとダメだ。


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