INDIドライバの?な部分
このブログではINDIドライバ環境を中心として環境構築を行う記事を多数記載しています。
MacやLinuxではこのドライバのおかげで多くの天体機器制御が可能になるありがたい存在ですが、Windows・Ascomと比較すると世界的に見ても非常にマイナーな存在です。
そのため、環境構築やドライバ自体の情報が非常に少なかったため、自身の備忘録も兼ねて記事にまとめました。
私自身も当初は仕事ではMac、Windowsの兼用、天体機器制御はWindows・Ascomの組み合わせで使用していましたが、お気軽観望用に購入した望遠鏡をなんとかPCで制御したいというのがINDIに触れるきっかけでした。

上記機材はハンドルコントローラが別売りで、そのままではPCに接続できません。
海外の販売店がAscomのダイレクトドライバを配布しており、それを使用したのですが、バグが多いのか使いづらいものでした。
ちょうどその頃、遊び半分でRaspberryPi3を購入し、天体機器でINDIドライバを試したところあっさり動いたため、他の機器の動作も確認しながら軽量で電力消費の少ないシングルボードコンピュータをベースに天体機器制御環境を再構築しました。(今では上記架台のメーカー開発のAscomドライバがありますので、そちらで良いかと思います。)
ラズパイで動作するほどの軽量さ、ラズパイはモバイルバッテリーで動作しますので、遠征時重いバッテリーが不要になる、リモート制御が容易など、INDIドライバのメリットは多数あるのですが、一方でマイナーゆえの謎仕様も多数あります。
場合によってはトラブルの原因にもなりますので、ざっと記載しておきます。
1.パーク機能の扱い
EQModなど、有志が開発したドライバはソフトウェア的にパークが機能するようになっています。
しかし、INDIで配布されている多くのマウントドライバは、そのマウント自体がパークに対応していなくても機能が追加された状態(しかも初期値が緯度経度0)になっています。
パークはホームポジション情報、アライメント情報、架台の相対位置情報、緯度経度日時情報を電源終了時も保持し、電源を入れた際に以前の設定を読み込み上記が再開できるようにする機能ですので、架台側が対応していない場合、アプリ側でそれらの情報を管理する必要があります。
しかし、EQModなど一部のドライバを除いてINDIドライバ、クライアントアプリともパークの扱いが雑で上記のような正式な形でのパーク機能になっていません。
(非常に危険な状態です。)
今の状態では、EQModなど一部のドライバを除いてパーク機能は使えないと思っていたほうが安全です。
2.天体カメラドライバの謎仕様
天体カメラはそのままでは使用できず、Windowsであればアプリが独自にネイティブ対応、もしくはAscomドライバを介して制御となります。
INDIドライバも多数の天体カメラのドライバがあり、そのおかげで多くの機器を制御できるのですが、デフォルトの扱いが通常のドライバとかなり異なります。
Windowsのアプリなどは通常ストリームモードとしてRaw画像をUSBに流し、アプリ側で動画のように画像を扱いますが、INDIの場合は静止画(自動でFitsファイルに変換)と動画用のストリームモードに別かれています。
そして、いくつかのアプリでは動画の扱いが静止画ループしかありません。
(例としてはEkosのオートガイダーなどです。)
この静止画ルーブモードというのが勝手に Fitsファイルに変換され、更にそれを順次表示するモードのためとても遅いのです。。。。。
リアルタイム性が重要なオートガイドでなぜこのモードが使用されるのかなかなか理解に苦しみます。。。。
LinuxのPHD2に関してもINDIドライバを使用する場合のデフォルトは静止画ルーブモードです。
(幸いこちらは設定を変更すればライブビューモードが使用できます。)
INDIドライバの動画が遅いのはデフォルトの設定が静止画ルーブモードのためです。
3.INDIサーバ、ドライバの挙動
通常のサーバはインストールすると停止させない限りバックで動作していますが(Ascomなどもそうですね)
INDIサーバに関してはGUIのクライアントの操作では常時起動にできません。
サーバとドライバをセットにして起動します。
しかも、ローカルとリモートでは起動方法が異なります。(Ekosなど代表的なGUIフロントエンドではローカルのサーバドライバしか起動できません。リモートサーバの起動は、サーバ側にINDIWebマネージャーというサーバアプリを別途インストールする必要があります。)
ドライバをリモートからもフル制御するにはコマンドラインからの操作になります(GUIのフロントエンドではINDIドライバのフル機能が使えていないとも言えます。)。
4.多くのドライバがメーカーがチェックを行っていない。
マイナーゆえの悲しさです。
ごく一部のドライバを除いてメーカーが検証を行っていないようです。
そのため、多くのドライバで通常だと当たり前に設定されている初期値もユーザーが入力し、設定を保存する必要があります。(謎仕様の原因のいくつかもここにあるかと思います。)
ドライバの設定を最初に行って動作検証を行っておかないとトラブルの原因になります。(特に自動制御の場合)
このカテゴリにそれぞれのドライバの設定など記載していますので、ご一読ください。
5.情報が少ない(海外であっても)
ドライバ毎の取扱説明書などに該当するものがオフィシャルサイトにもありません。。。
これは開発者が実質1名のみですべて対応している(有志の補助スタッフはいますが、国もバラバラ、しかも開発途中でいなくなることもしばしば。。。)ことが原因になると思います。
上記のような謎な部分が残るのも、開発者にフィードバックが届いていないことが原因かと思います。
以前は、非常に開放的でディスカッションにより、機能が向上したり、安定性が増したりといったやり取りがありましたが、最近は残念ながら少し閉鎖的な環境になったように感じます。
しかし、使用者がフィードバックを行わないと進化がなくなります。
INDIの世界に足を踏み込んで、気に入った方はぜひ積極的に開発者に要望を出し、よりよい環境を手に入れてください。
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MacやLinuxではこのドライバのおかげで多くの天体機器制御が可能になるありがたい存在ですが、Windows・Ascomと比較すると世界的に見ても非常にマイナーな存在です。
そのため、環境構築やドライバ自体の情報が非常に少なかったため、自身の備忘録も兼ねて記事にまとめました。
私自身も当初は仕事ではMac、Windowsの兼用、天体機器制御はWindows・Ascomの組み合わせで使用していましたが、お気軽観望用に購入した望遠鏡をなんとかPCで制御したいというのがINDIに触れるきっかけでした。
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上記機材はハンドルコントローラが別売りで、そのままではPCに接続できません。
海外の販売店がAscomのダイレクトドライバを配布しており、それを使用したのですが、バグが多いのか使いづらいものでした。
ちょうどその頃、遊び半分でRaspberryPi3を購入し、天体機器でINDIドライバを試したところあっさり動いたため、他の機器の動作も確認しながら軽量で電力消費の少ないシングルボードコンピュータをベースに天体機器制御環境を再構築しました。(今では上記架台のメーカー開発のAscomドライバがありますので、そちらで良いかと思います。)
ラズパイで動作するほどの軽量さ、ラズパイはモバイルバッテリーで動作しますので、遠征時重いバッテリーが不要になる、リモート制御が容易など、INDIドライバのメリットは多数あるのですが、一方でマイナーゆえの謎仕様も多数あります。
場合によってはトラブルの原因にもなりますので、ざっと記載しておきます。
1.パーク機能の扱い
EQModなど、有志が開発したドライバはソフトウェア的にパークが機能するようになっています。
しかし、INDIで配布されている多くのマウントドライバは、そのマウント自体がパークに対応していなくても機能が追加された状態(しかも初期値が緯度経度0)になっています。
パークはホームポジション情報、アライメント情報、架台の相対位置情報、緯度経度日時情報を電源終了時も保持し、電源を入れた際に以前の設定を読み込み上記が再開できるようにする機能ですので、架台側が対応していない場合、アプリ側でそれらの情報を管理する必要があります。
しかし、EQModなど一部のドライバを除いてINDIドライバ、クライアントアプリともパークの扱いが雑で上記のような正式な形でのパーク機能になっていません。
(非常に危険な状態です。)
今の状態では、EQModなど一部のドライバを除いてパーク機能は使えないと思っていたほうが安全です。
2.天体カメラドライバの謎仕様
天体カメラはそのままでは使用できず、Windowsであればアプリが独自にネイティブ対応、もしくはAscomドライバを介して制御となります。
INDIドライバも多数の天体カメラのドライバがあり、そのおかげで多くの機器を制御できるのですが、デフォルトの扱いが通常のドライバとかなり異なります。
Windowsのアプリなどは通常ストリームモードとしてRaw画像をUSBに流し、アプリ側で動画のように画像を扱いますが、INDIの場合は静止画(自動でFitsファイルに変換)と動画用のストリームモードに別かれています。
そして、いくつかのアプリでは動画の扱いが静止画ループしかありません。
(例としてはEkosのオートガイダーなどです。)
この静止画ルーブモードというのが勝手に Fitsファイルに変換され、更にそれを順次表示するモードのためとても遅いのです。。。。。
リアルタイム性が重要なオートガイドでなぜこのモードが使用されるのかなかなか理解に苦しみます。。。。
LinuxのPHD2に関してもINDIドライバを使用する場合のデフォルトは静止画ルーブモードです。
(幸いこちらは設定を変更すればライブビューモードが使用できます。)
INDIドライバの動画が遅いのはデフォルトの設定が静止画ルーブモードのためです。
3.INDIサーバ、ドライバの挙動
通常のサーバはインストールすると停止させない限りバックで動作していますが(Ascomなどもそうですね)
INDIサーバに関してはGUIのクライアントの操作では常時起動にできません。
サーバとドライバをセットにして起動します。
しかも、ローカルとリモートでは起動方法が異なります。(Ekosなど代表的なGUIフロントエンドではローカルのサーバドライバしか起動できません。リモートサーバの起動は、サーバ側にINDIWebマネージャーというサーバアプリを別途インストールする必要があります。)
ドライバをリモートからもフル制御するにはコマンドラインからの操作になります(GUIのフロントエンドではINDIドライバのフル機能が使えていないとも言えます。)。
4.多くのドライバがメーカーがチェックを行っていない。
マイナーゆえの悲しさです。
ごく一部のドライバを除いてメーカーが検証を行っていないようです。
そのため、多くのドライバで通常だと当たり前に設定されている初期値もユーザーが入力し、設定を保存する必要があります。(謎仕様の原因のいくつかもここにあるかと思います。)
ドライバの設定を最初に行って動作検証を行っておかないとトラブルの原因になります。(特に自動制御の場合)
このカテゴリにそれぞれのドライバの設定など記載していますので、ご一読ください。
5.情報が少ない(海外であっても)
ドライバ毎の取扱説明書などに該当するものがオフィシャルサイトにもありません。。。
これは開発者が実質1名のみですべて対応している(有志の補助スタッフはいますが、国もバラバラ、しかも開発途中でいなくなることもしばしば。。。)ことが原因になると思います。
上記のような謎な部分が残るのも、開発者にフィードバックが届いていないことが原因かと思います。
以前は、非常に開放的でディスカッションにより、機能が向上したり、安定性が増したりといったやり取りがありましたが、最近は残念ながら少し閉鎖的な環境になったように感じます。
しかし、使用者がフィードバックを行わないと進化がなくなります。
INDIの世界に足を踏み込んで、気に入った方はぜひ積極的に開発者に要望を出し、よりよい環境を手に入れてください。
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