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屋外での安定動作の要、電源について その1

天体機材を自宅外で使用する場合、最も注意しなくてはならないものの一つに電源があります。

過去にも何度も記事にしましたが、備忘録として安定して使うための方法などまとめて記載しておきます。

まず初めに行うこと
●使用する機器のACアダプタ(ACアダプタを使わない機器の場合は本体)に記載された電圧、電流をもとにその機器の最大消費電力を計算する。

例)12V、1Aの場合は12☓1=12W

それぞれの機器の電源の入り口にあたるACアダプタ(使わない機器の場合は本体に最大電力(W)の記載があります。)でその機器の最大電力を計算しておきましょう。
ACアダプタを使用する機器の場合は安定動作するために余裕をもたせたアダプタを組み合わせてありますので、ここに記載された数字から電力を計算しておくと安全です。

これを使用する機器全て(PCなどにUSB接続するものを除く)で行い、足し合わせた電力の数字をメモしておきます。

合計電力が200Wを超えているような構成になっていた場合は、まず、機器の選定から検討する必要があります。
この場合、検討する機器はPC(利用する場合)になります。
省電力のPCを利用することで一気に総電力量を抑えることが可能になります。

総電力量がわかったら次に電源の選定になります。


電源を選ぶ場合に注意すること

・(100Vを使用する場合)インバーター出力が正弦波のものが必須
天体機器のほとんどが電子デバイスを内蔵していますので(ヒーターなどごく一部の機器を除く)100Vで利用する場合は正弦波インバーター搭載の電源が必須になります。
(但し、100Vインバーターを利用すると変換ロスが生じます。)

・電源のWhを確認し、10、または5で割った数値が使用する機器の総電力量を上回ること
例)400Whの電源の場合 400÷10=40W、400÷5=80W、この場合は機器の消費電力の合計が80W以内であれば安全に利用できます。

・使用可能な外気温がご自身の利用環境に収まっていること。
リチウム系のセルが内蔵された電源の場合、BMS(バッテリーマネジメントシステム)と呼ばれるセルの駆動回路が内蔵されています。
これが例えば0度に設定されていると、外気温が0度以下になると電源が落ちて使えなくなってしまいます。
天体機器を接続する場合、いきなり電源が落ちるのは困りますので、使用可能温度が利用する環境で動作する機器を選んでおくと快適に使用できます。(0度以下で停止する機器の場合、事前にヒーターなどを巻いて使用可能温度内に調整するなどの対策が必要になります。)

・電源の接続端子最大電力が接続する機器の最大電力以上になっていること
例)電源のUSB端子にラズパイ4などのSBCを接続する場合、USB端子が5V3A以上に対応していないと一時的に電力不足になる可能性があります。

落とし穴になる部分ですが、機器をまとめて接続したりする場合接続端子の許容電力量に収めておかないと不具合の原因になります。特に12Vのシガーソケットなどで機器をまとめて接続する場合、端子側の電力量を確認しておきましょう。

電源を選ぶ場合はWhの記述が非常に重要になります。
この記述が無いもの(AやmAの記述のみ)は機器を繋いで利用することを想定していない(スマホなどの充電目的)機器になりますので、利用する場合は細心の注意が必要になります。(利用する場合は中に入っているセルなどの情報を調べてWhを計算する必要があります。)

Whの記述通り、1時間で最大消費出来る電力になりますが、内蔵された蓄電池の性能によってこの記述の読み方が変わります。
鉛バッテリーの場合は1/10~20での放電能力記載になっていますので、一度に安定的に取り出せる電力はWhを10または20で割った数字になります。(10時間、または20時間かけてWhの数値を消費する)

リチウムの場合は大体1/5になりますので、5で割った数字で計算します。

こう考えていくと天体機材を安定的に動作させる電力を得るのはなかなか大変ですね。

重要なポイントは以下

・接続する機器の電力が電源の接続端子の電力以下であること

・電源のWhの記載から5または10(内蔵セルの種類がわかれば確定できます)割った数値以内に機器の総電力を収めること

・電源の使用可能温度が、観測場所の気温内であること

以上です。
本当に自宅から一歩外に出ると一気に面倒になりますね。。。
他にも、ケーブルの接触不良や断線PCアプリのバグ寒さ・暑さ、虫・獣(笑)、忘れ物(苦笑)など自宅ではそこまで気にならなかったトラブルが、外で活動すると沢山出てきます。

電源は事前に対処すればかなり安定的に利用できるようになりますので上記参考に環境構築してください。


追記
上記にバッテリーの利用時間が書いてありませんね。
実は上記の計算で環境構築しておくと、安定して使えるだけではなく、かなりバッテリーの利用時間も長くなります。

これは単純な話で、上記では機器が安全に動作する最大電力量で計算していますので、実際の使用電力よりはるかに多い電力計算になっているからです。PCやマウントが電力消費量の多い機器の代表ですが、通常時は最大電力量の数分の一しか電力を使っていません。
そのため、計算より長時間使えることになるのです。

但し、外気温が低いとセルの性能が落ちますので使用時間は単純に測れません。

バッテリーの残量が数字で表示されるような機器であればある程度使用時間の予想が出来ます。




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