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多段露光の活用

EAA(電視観望)においても天体写真撮影においても多段露光が有用であると何回か記事で記載してきました。
当家では木が邪魔して長時間露光が出来ない環境なので、EAAで実際どのように多段露光を行うのか記載します。
EAAでの多段露光においても天体写真においてもポイントになるのはヒストグラムとモニタでの対象の見え方になります。
今回はM42をサンプルにしていますが、どの対象でも同様です。

ステップ1
EAAの場合はゲインを高くしてモニタ上で対象の全体が見える秒数をチェックする。
ヒストグラム全域に情報が広がっているのが適正状態になります。

ゲイン300の状態でM42で確認した場合5秒で適正露出になりました。(撮像素子の感度、ゲイン値、空の明るさ、フィルターの有無で適正露出秒数は変わります。モニターできちんと対象が見え、ヒストグラム全域に信号がある状態が適正露出です。
これをベースにします。

天体撮影の場合にはゲインを0にして同様にヒストグラム全域に広がる秒数を確認します。(おそらく2~3分位)

ゲイン(ISO)場合は暗電流ノイズが増幅されませんので、スタッキング枚数は数枚~10数枚で充分です。

ステップ2
上記で確認した秒数で2~30枚ライブスタッキングする
これがベース画像になります。

デットピクセルやアンプノイズが気になる場合は同じ秒数のダーク画像を重ねてください。

ステップ3
上記の倍の秒数で2~30枚ライブスタッキングする
ベース画像に対し露出オーバーの画像(10秒)をベース画像と同じ枚数ライブスタッキングします。
ガス星雲の細部(暗い部分)の情報を増やします。

天体写真も同様にベース画像の倍の露出をベース画像と同じ枚数撮影しておきます。

デットピクセルやアンプノイズが気になる場合は同じ秒数のダーク画像を重ねてください。

ステップ4
ベース画像の半分の秒数で6~70枚ライブスタッキングする

M42は暗い周辺のガス部分が見える状態だとトラベジウム部分が完全に露出オーバーになります。
ガス部分があまり見えないアンダー画像を撮影して重ねることで飽和部分の情報を復活させることができます。

アンダー画像の枚数が多いのは暗電流ノイズを消すためです。
EAAの場合はハイゲインで観望していますから、暗電流ノイズが見えるため、スタッキング枚数を増やして可能な限り暗電流ノイズを平均化します。(本来はEAAでもアンダー画像枚数を同じに出来るくらいのゲインで撮影するのがベストです。この場合モニタに映る画像はベース画像と似たものになります。(が、画像に含まれるシグナルの情報量ははるかに多いです)

天体写真の場合はベース画像と同じ枚数で良いです。

上記の撮影方法で撮影した画像が以下になります。


スクリーンショット 2022-11-07-5

ベースとなる5秒露出を20枚、オーバー画像も20枚、アンダー画像を80枚撮影して重ねています。
アンダー画像の枚数を増やしたので画面上ではアンダーに見えています。(が実際にはベース画像の情報もオーバー画像の情報も含まれています。)

この画像を保存し、KStarsのFitsビューアで開きます。

スクリーンショット 2022-11-07-7

KStarsのFitsビューアは自動でモニタで見やすいようにレンジ調整してくれます。
このままではノイズも目立ちますので、下のスライダを調整して明るさを調整します。


スクリーンショット 2022-11-07-8

ランニングマンが見え、ガスの細部も分かる程度に暗く調整した画像です。
ノイズも目立たなくなりました。
私のカメラはASI224なので、画素数が少ないため、モニタでみた場合ピクセルが等倍表示されるので星像が肥大して見えますが、画素数の多い天体カメラや一眼デジカメであれば、縮小表示になりますので、画面上でよりシャープに見えます。
ノイズもこの程度であれば画面上でほぼ目立たなくなります。

ちょこっと画像処理するとこんな感じ

M42テスト (1)


このように多段露光を有効に活用すると効率的にシグナルをモニタの可視領域にまとめることが出来ますので、画像処理の手間を大幅に省くことが出来ます。

上記の通り、天体写真でも有効に利用できる方法なので興味ある方はお試しください。


追記
EAAにおいても天体写真においてもモニタで適正に表示されてヒストグラム表示で広く分布している状態が適正露出になります。

ゲイン(ISO)を上げれば短い秒数で適正露出に出来ますが、暗電流ノイズが目立つ状態になります。(当然ながら本来の適正露出と比較して対象のシグナルも少ない状態です)

EAAにおいてもゲインを下げ適正露出になるまで秒数を伸ばせば天体写真と同様の品質で見ながら撮影することが可能です。

多段露光は限られた撮像素子の電荷飽和量を広げ、データ内に効率的にまとめる方法になります。

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No title

T-Studioさん
具体的に、電子観望ってやったこと、殆どないのですが、色々準備したのでやってみたいと思ってます。
それと、撮影作業が、数値で具体的でこれ、いただきます。(笑)
KStarsのFitsビューアも使ってます。
また、今まで、オリオンで5秒露光をいれてスタックすると、白飛びせず、その中の星がみえたりしましたが、どの位の枚数どおしをスタックしたら良いのか、検討もつきませんでした。
新しい観測環境(SD81S II)のセッティングも終わり、昨夜は期待したのですが、またもや、ふられてしまいました。(笑)

No title

オヤジさん

ゲインを下げて同様に適正露出にしてガイドすればまんま撮影にも使えますよ。
画像を見ながらの撮影法になります。

No title

追記

ゲインを上げている場合はスタッキング枚数を多く、ゲインを下げている場合はスタッキング枚数は少なくても大丈夫です。

EAAはライブ目的でゲイン高くしますのでノイズ消すためにアンダー画像のスタッキング増やしましたが、理想は多段スタッキング後のヒストグラムも適正露出にとどまる状態になります。
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