特集:天体機器のメンテナンスについて-レンズの清掃の補足
前回の記事が長くなってしまい、レンズや反射鏡の清拭のディテールが記載できませんでしたので補足します。
エアーダスターで見えるホコリなどを全て吹き飛ばしたあとに行うことです。
見える固着物がある場合
1.綿棒に精製水をたっぷりと含ませ、固着物をなでる。(カビの場合は界面活性剤)
2.綿棒の接触面を変えながらなでるように拭くを数回繰り返す。(取れなければIPAやEEクリーナーなど溶剤を変える、カビの場合のみ界面活性剤)
3.固着物が取れたら、以下に記載する全面清拭と同様の方法で周囲をならすように拭く。
レンズで湿式清拭を行う場合は、見える固着物がある場合のみ多めの溶剤(精製水orIPAorEEクリーナーor界面活性剤)を使います。
この場合周囲がムラになりますので、取り除いた固着物周囲をならし拭きします。
レンズ全面清拭を行う場合
1.割り箸やナイロン毛の平筆を軸にして折りたたんだクリーニングペーパーで挟んで持つ。
2.拭く面のクリーニングペーパー部分にごくわずかな量の溶剤(精製水orIPAorEEクリーナーor界面活性剤)をつけます。※
※溶剤量の目安やゆっくり動かした際、2~3cmで拭きスジが乾燥する程度(どの溶剤でも同じ状態、揮発が速い溶剤ほど量が多くなります)
3.最初は精製水で拭いてみて、拭きスジにムラが見えた場合は溶剤を変更します。(IPAorEEクリーナー)
4.クリーニングペーパーの接触面の位置をずらしながら拭きスジが均等に見えるまで同じ場所を拭きます。(一回拭くごとに挟む位置をずらし、レンズに傷をつけないように同じ面で拭かないようにします。)
5.場所を移動しながら拭き、外周半周くらい拭いたら一気に半周くらい拭き、拭きスジの消え方を見て問題なければ次の場所に移動します。
6.4~5を繰り返し、レンズ中心にきたら中心部分をかるくならし拭きします。
7.エアーダスターを全体に拭きかけ、レンズ面になにも付着物が見えなければ完成です。
ここで、ポイントになるのは溶剤量です。2~3cmで拭きスジが乾燥する程度の溶剤量で作業するときれいに仕上がります。
拭きスジを観察すると、目視では確認できなかった汚れをムラとして発見出来ます。
上記手順でうまく清拭出来ると、軽く息を吹きかけると均等に曇り、すぐに曇りが消えます。(レンズ面になにも付着していない場合はこのようになります。)
反射鏡の場合はレンズと清拭方法が異なります。
基本的に鏡筒から反射鏡を取り外して清拭します。
この際、取付時に同じ位置に配置出来るよう、マジックなどでマーキングしておいてください。(望遠鏡はどうやら現物合わせで調整されているようなので、部品配置や、反射鏡位置がずれると光学性能が出なくなります)
ブロアーで見えるゴミを全て吹き飛ばしすこと、見える付着物がある場合は綿棒でアプローチするのはレンズと同様です。
清拭は反射鏡面に目視で確認できる付着物が全て無くなった状態で始めます。
反射鏡の清拭手順
1.風呂場などにマットを置き、マットの上に反射面を上にして反射鏡を置く
2.中性洗剤1に対し、精製水10程度鏡面に注ぐ
3.脱脂綿をゴルフボール大にちぎり、脱脂綿の面を変えながらをゆすぐように鏡面全体を拭く
4.反射鏡を傾けて、洗浄水を可能な限り鏡面から流す
5.精製水を注ぎ、再度脱脂綿を先程同様ゴルフボール大にちぎり、脱脂綿の面を変えながらをゆすぐように鏡面全体を拭く
6.反射鏡を傾けて可能な限り精製水を鏡面から流す
7.泡が出なくなるまで5~6を繰り返す。
うまく清拭できれば鏡面が疎水状態になり反射鏡を傾けると鏡面に水滴が残りません。
反射鏡を傾けて、精製水を流す時、精製水が弾かれるような場所や、同じ場所で水滴が残るような部分がある場合は鏡面に目に見えない付着物があります。
そのような場所があった場合は上記同様綿棒でその部分にのみ溶剤でアプローチ→クリーニングペーパーでならし拭きします。
油性、タンパク質、炭水化物などの汚れであれば、これで消えますが、精製水でならし拭きをしてもムラが消えない場合は水垢の可能性が高いです。
水垢は清拭ではまず取り除けませんので、乾燥させて終了します。※
※水垢の最大の原因は水道水です。反射鏡は大きい場合が多いので水道水を使いたくなりますが、かなり多くのミネラル(特に炭酸カルシウムとシリカが厄介です。。。)を含んでいるので水道水は利用しないようにしましょう。
目視できない程度の水垢であれば光学性能にさほど影響がありません。
目に見えるほど白くなってしまった場合は。。。我慢して使うor再研磨+再メッキのいずれかになってしまいます。。。
以上です。
前回伝え切れなかった手順や清拭する際の溶剤の量の目安(自己流ですが)を記載しました。
溶剤で注意が必要なのは界面活性剤です。
必ず精製水で拭き取り、洗剤成分を残さないようにしてください。(洗剤が残っているとシミの原因になりますし、汚れを固着させる原因にもなります)
クリーニング液を利用してムラに苦しんでいる方は、液のつけすぎ(溶けた汚れの再固着)か、ご使用になっているクリーニング液が界面活性剤のいずれかになります。
つけすぎの方は上記の通り拭きスジが2~3cmで消えるくらいの量に調整してみてください。
クリーニング液が界面活性剤の方は精製水で仕上げればムラが消えます。
あと一つ注意点があるとすれば、
乾拭きをしないことです。(コーティング部分への攻撃性が高くなり傷を作る原因になります。)
前回の記事でも記載しましたが、対物レンズや反射鏡の傷などは少しであれば全くと言っていいほど結像する像質に影響しません。
しかし、所有者にとっては非常に気になる部分になるかと思います。
日常的にメンテナンスしていればきれいに保つことが出来ますので参考になるところがあればお試しください。
エアーダスターで見えるホコリなどを全て吹き飛ばしたあとに行うことです。
見える固着物がある場合
1.綿棒に精製水をたっぷりと含ませ、固着物をなでる。(カビの場合は界面活性剤)
2.綿棒の接触面を変えながらなでるように拭くを数回繰り返す。(取れなければIPAやEEクリーナーなど溶剤を変える、カビの場合のみ界面活性剤)
3.固着物が取れたら、以下に記載する全面清拭と同様の方法で周囲をならすように拭く。
レンズで湿式清拭を行う場合は、見える固着物がある場合のみ多めの溶剤(精製水orIPAorEEクリーナーor界面活性剤)を使います。
この場合周囲がムラになりますので、取り除いた固着物周囲をならし拭きします。
レンズ全面清拭を行う場合
1.割り箸やナイロン毛の平筆を軸にして折りたたんだクリーニングペーパーで挟んで持つ。
2.拭く面のクリーニングペーパー部分にごくわずかな量の溶剤(精製水orIPAorEEクリーナーor界面活性剤)をつけます。※
※溶剤量の目安やゆっくり動かした際、2~3cmで拭きスジが乾燥する程度(どの溶剤でも同じ状態、揮発が速い溶剤ほど量が多くなります)
3.最初は精製水で拭いてみて、拭きスジにムラが見えた場合は溶剤を変更します。(IPAorEEクリーナー)
4.クリーニングペーパーの接触面の位置をずらしながら拭きスジが均等に見えるまで同じ場所を拭きます。(一回拭くごとに挟む位置をずらし、レンズに傷をつけないように同じ面で拭かないようにします。)
5.場所を移動しながら拭き、外周半周くらい拭いたら一気に半周くらい拭き、拭きスジの消え方を見て問題なければ次の場所に移動します。
6.4~5を繰り返し、レンズ中心にきたら中心部分をかるくならし拭きします。
7.エアーダスターを全体に拭きかけ、レンズ面になにも付着物が見えなければ完成です。
ここで、ポイントになるのは溶剤量です。2~3cmで拭きスジが乾燥する程度の溶剤量で作業するときれいに仕上がります。
拭きスジを観察すると、目視では確認できなかった汚れをムラとして発見出来ます。
上記手順でうまく清拭出来ると、軽く息を吹きかけると均等に曇り、すぐに曇りが消えます。(レンズ面になにも付着していない場合はこのようになります。)
反射鏡の場合はレンズと清拭方法が異なります。
基本的に鏡筒から反射鏡を取り外して清拭します。
この際、取付時に同じ位置に配置出来るよう、マジックなどでマーキングしておいてください。(望遠鏡はどうやら現物合わせで調整されているようなので、部品配置や、反射鏡位置がずれると光学性能が出なくなります)
ブロアーで見えるゴミを全て吹き飛ばしすこと、見える付着物がある場合は綿棒でアプローチするのはレンズと同様です。
清拭は反射鏡面に目視で確認できる付着物が全て無くなった状態で始めます。
反射鏡の清拭手順
1.風呂場などにマットを置き、マットの上に反射面を上にして反射鏡を置く
2.中性洗剤1に対し、精製水10程度鏡面に注ぐ
3.脱脂綿をゴルフボール大にちぎり、脱脂綿の面を変えながらをゆすぐように鏡面全体を拭く
4.反射鏡を傾けて、洗浄水を可能な限り鏡面から流す
5.精製水を注ぎ、再度脱脂綿を先程同様ゴルフボール大にちぎり、脱脂綿の面を変えながらをゆすぐように鏡面全体を拭く
6.反射鏡を傾けて可能な限り精製水を鏡面から流す
7.泡が出なくなるまで5~6を繰り返す。
うまく清拭できれば鏡面が疎水状態になり反射鏡を傾けると鏡面に水滴が残りません。
反射鏡を傾けて、精製水を流す時、精製水が弾かれるような場所や、同じ場所で水滴が残るような部分がある場合は鏡面に目に見えない付着物があります。
そのような場所があった場合は上記同様綿棒でその部分にのみ溶剤でアプローチ→クリーニングペーパーでならし拭きします。
油性、タンパク質、炭水化物などの汚れであれば、これで消えますが、精製水でならし拭きをしてもムラが消えない場合は水垢の可能性が高いです。
水垢は清拭ではまず取り除けませんので、乾燥させて終了します。※
※水垢の最大の原因は水道水です。反射鏡は大きい場合が多いので水道水を使いたくなりますが、かなり多くのミネラル(特に炭酸カルシウムとシリカが厄介です。。。)を含んでいるので水道水は利用しないようにしましょう。
目視できない程度の水垢であれば光学性能にさほど影響がありません。
目に見えるほど白くなってしまった場合は。。。我慢して使うor再研磨+再メッキのいずれかになってしまいます。。。
以上です。
前回伝え切れなかった手順や清拭する際の溶剤の量の目安(自己流ですが)を記載しました。
溶剤で注意が必要なのは界面活性剤です。
必ず精製水で拭き取り、洗剤成分を残さないようにしてください。(洗剤が残っているとシミの原因になりますし、汚れを固着させる原因にもなります)
クリーニング液を利用してムラに苦しんでいる方は、液のつけすぎ(溶けた汚れの再固着)か、ご使用になっているクリーニング液が界面活性剤のいずれかになります。
つけすぎの方は上記の通り拭きスジが2~3cmで消えるくらいの量に調整してみてください。
クリーニング液が界面活性剤の方は精製水で仕上げればムラが消えます。
あと一つ注意点があるとすれば、
乾拭きをしないことです。(コーティング部分への攻撃性が高くなり傷を作る原因になります。)
前回の記事でも記載しましたが、対物レンズや反射鏡の傷などは少しであれば全くと言っていいほど結像する像質に影響しません。
しかし、所有者にとっては非常に気になる部分になるかと思います。
日常的にメンテナンスしていればきれいに保つことが出来ますので参考になるところがあればお試しください。
- 関連記事
スポンサーサイト