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特集:天体機器のメンテナンスについて-設置時や日常的に行うこと

今回は設置時や、日常的に行っておくと効果が高いメンテナンスについて記載します。

簡単なことが多いので、今までしていなかった方はぜひ取り入れてみてください。

天体機器について

1.架台や鏡筒などの可動部を動かす。(ギアも含めて)

2.ホコリを払う(溜めない)

3.電源や制御端子の清掃


1については日常的に行うことも効果的ですが、特に設置時に行っておくと効果があります。
やり方としては以下

●架台の場合
・クランプを緩め軸を数回回転させる(回転の重さが変化する場合は変化がなくなるまで行う)
・クランプを締め、ハンドコントローラーなどで各方向軸を動かす。


●鏡筒などの場合
・フォーカサーなど可動部を動かす。

これらを行う理由は可動部に塗られているグリースの固着、ムラなどを改善することにあります。

特に架台に関しては軸のグリースの状態が精度に大きく影響します。

天体機器に塗られているグリースは固いものが多く、ほとんどが鉱物油が使用されています。
天体機器のように動かさない期間が長く、かつ使用する時は屋外という機材はグリースが劣化状態になっていることが多いため、動作確認的に各部を動かすことでグリースの固着やムラなどを改善することが出来ます。

特に架台の軸がアルミで、各軸のギアがアルミ製のものはグリースの状態が悪いと性能が低下します。

設置後はチェックも含め、可動部を動かしグリースをなじませるようにしてください。


2についてはホコリを溜めたまま屋外で機器を使用すると、ホコリに夜露が付着して、電子機器の不具合の原因になる可能性が高くなります。

エアーダスターでホコリを飛ばし、クリーニングクロスにスプレーボトルに入れた精製水を一吹き程度含ませ、清拭しましょう。(乾拭きは静電気でホコリをよびますので、ほんの僅かに湿らせたクリーニングクロスを使います。精製水を含ませすぎるのもNG)

3についてはIPAと綿棒などで端子部の汚れを取ります。
屋外で電子機器を動かす場合、電源と並んで多い不具合が接触不良になります。

市販品でカーボンオイルなどが使われた接点復活剤もありますが、屋外で使用するとかえってトラブルの原因になります。
IPA+綿棒などで接点表面を清拭して接点表面に不純物が無い状態にしておくことが最善です。

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IPA、レンズクリーナー、精製水などを小さなスプレーボトルに入れ、クリーニングクロス、エアーダスター、綿棒、レンチなどの工具とともに常備しておくと便利です。


PCについて

1.機器の制御チェックは家で行う

2.電源や制御端子の清掃

3.シリコン素材など低温で変質しないケーブルを準備


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1については以前INDIのセットアップ記事で記載しましたが、全ての天体機器を接続して問題なく制御出来るかを自宅で行いましょう。(とても重要なメンテナンスです、遠征時のトラブルで一番多いのがPCアプリでの制御と感じます。。。)

カメラを先に設定してから(昼の景色でカラー・ホワイトバランスなど)カメラ部をシミュレーションドライバに変更すれば全ての機器の制御確認が可能です。
自動導入、オートガイド、フォーカス・フィルター制御、撮影シーケンスなど現地で行うことを一通りチェックして問題無く動く状態にしておきましょう。

カメラのシミュレーションドライバによる動作確認は以前はINDI環境のみの機能でしたが、同様の確認方法がWindows・ASCOMでも可能になりました。(ASTAPでおなじみのハンが作ってくれました)

PCの場合は使用するアプリの動作チェックが重要な項目になるように感じています。

2については天体機器同様ですが、PCの場合はUSB端子への接続機器が多くなります。
ケーブル、端子共クリーニングして接触不良が起こらないようにメンテナンスしておきましょう。(USB機器などの接触不良は原因究明が困難ですので)

3のUSBケーブルは特に冬の屋外で使用する場合にトラブルが起きやすくなります。
通常のビニール皮膜のケーブルだと固くなり断線することがあります。シリコン素材など低温に対応した素材のケーブルを準備しておきましょう。

予備のケーブルも必須です。(ケーブル1本の不足や不具合で遠征が台無しになります。。。)

追伸
架台のグリースについては触れられている記事が少ないですが、架台の動作・精度に関して非常に大きな影響を与える要素と感じています。

天体機器のグリースは機器の不具合を恐れてか、硬めなものを使用している傾向があるように感じています。
鉱物油のグリースは気温変化で粘度などの特性が変化しますし、酸化もします。

屋外、しかも低速での精度を求められる天体機器だと温度特性も安定して変質しないシリコーンなどの化学合成グリースを使用してほしいところです。
特に軸やギアにアルミ素材が使われている架台などはかじらないように軸部にもグリスが塗布されていますので、低温時の固着や、経年劣化の変質(これも固着)などで制御精度の悪化に繋がるように感じています。
記事にも書きましたが、オートガイドの精度など事前駆動軸やギアを動かしてグリースをなじませると結構安定しますよ。(ウォーム軸のクリアランスを自分で変えていたらそれだけでは改善しないかもですが。。。)

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